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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2010年12月27日月曜日

年末年始休業のご案内

本年、皆様には大変お世話になりました。
心より御礼申し上げます。

今年は動力式の活版印刷機の入手に始まり、オーバーホール、操作の訓練、資材の輸入、Webの開設、ワークショップの企画など、目まぐるしくあっという間の1年でした。
紙と印刷を愛するたくさんの方々との出会いがあり、多くの気づき・学びを得ることができました。
お陰様でスタッフ一同成長できた事、お客さまにお喜びのご声援を頂けた事を大変嬉しく思います。
重ねて御礼申し上げます。

さて、誠に勝手ながら12月29日(水)~1月4日(火)を年末年始の休業日とさせていただきます。
期間中は何かとご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

ご紹介しきれないほど個性豊かな紙たちが、まだまだ沢山あります。
その個性を活かす印刷や加工があります。
新年も皆様と共に「心に残る印刷」を目指して参りたいと存じます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

いよいよ寒さが厳しくなって参りました。
ご自愛の上、どうぞ良いお年をお迎えください。

2010年12月14日火曜日

活字のふるさとを訪ねて(4)

モトヤさんの活字資料館のレポート最終回です。

【自動フート印刷機】
動力式の活版印刷機がありました。
このタイプの実物を見るのは初めてです。
手フートにモーターを付け加えた構造で、インキの供給と圧胴の動きが自動化されていますが、給紙と排紙は手フートと同様に手で行います。
手フートと比べると、インキを溜めておくインキ壺がある、インキローラーが1本多い(3本)などの特長があり、生産性と品質の向上が図られています。



















インキ壺が付いています


インキローラーは芯棒だけになっていました


【和文タイプ・ワードプロセッサ】
活字が形を変えて進化していく過程ですね。
活字をインクリボン越しに紙に押し当てて印字をします。
僅かに子供の頃の記憶に残っている程度で、こちらも詳しくありません。
資料の撮影に夢中で、残念ながら解説を聞き逃してしまいました。
次の機会にはぜひこの時代を学びたいです。
メカ好き男子にとっては格好の被写体ですので、とりあえず写真だけでも。



 

【活版活字とタイプ活字】
活版活字は鉛を主成分としたアンチモニー・錫の合金ですが、タイプ活字は亜鉛を主成分としたアルミニウム・銅の合金です。
その成分の違いにより、タイプ活字は活版活字よりも硬く、鋳造温度も異なります。
(活版活字は300度前後、タイプ活字は420度前後)
また、形状面の違いとして、タイプ活字のネッキ(切り欠いた溝)は活版活字のそれよりも大きくなっている事と、タイプ活字の字面はタイプレスのプラテンの曲面率に合わせた曲面活字になっています。この曲面活字は、モトヤ様の特許なんだそうです。
タイプ活字の母型も、ベントン彫刻機によって彫られた父型から作っていたそうです。

タイプ活字(写真提供モトヤ様)


















 
活版活字(写真提供モトヤ様)















【歴史に学ぶ】
先人の知恵と工夫による進化の過程と情熱の証を、この活字資料館で学ぶことができました。
また、文字の美しさ、可読性という活字の設計ポリシーはデジタルフォントにも引き継がれ、メディアや用途など現代のニーズを取り入れながら進化を続けていました。
私にとってこの活字資料館はノスタルジアに浸る場所ではなく、未来を考える場所となりました。



 進むべき道に迷ったとき、
歴史に学ぶ「活字資料館」を再訪しようと思います。
最後にモトヤの皆様には大変お世話になり、誠にありがとうございました。
特に野口様には過去の社内報まで遡って資料をご提供頂きました。
重ねて御礼申し上げます。


2010年12月10日金曜日

活字のふるさとを訪ねて(3)

モトヤさんの活字資料館には、まだまだ見どころがあります。

【閲覧可能な資料】
書体見本や技術資料など、大正~昭和にかけての貴重な資料を閲覧することができます。
インキローラーの広告に載っている、膠やゴム製との性能比較が興味深いです。
その昔、猛暑の時期には膠でできたローラーは溶けてしまい、仕事にならなかったと聞いていたのですが、それを裏付ける資料に出会えて感激です。
ビニール・ローラーとありますが、どの様な物だったのでしょうか。ウレタンローラーのことかな?




【書体見本】
大正から昭和初期の貴重な資料が読めるのも紙ならではかもしれません。
それを手にとって読むことができる幸せ。
細心の注意をもってページをめくります。
時間を忘れて怒られます。。。






【ユニークな花形(装飾)活字】
想像以上に豊富なデザインがあります。
日本独特のものと思われるモチーフもありますね。



 
【フートプレス印刷機の広告】
手フートには数種類のバリエーションがあったようで、他のページにもいくつか掲載がありました。
1日に7,000枚~8,000枚刷れると書いてあります。
これは約3秒に1枚のペースで、1時間に1,000枚といったところでしょうか。
給紙-印刷-排紙を全て人の手で行なう印刷機ですから相当ハイペースに思います。
熟練した職人さんたちにとっては当たり前のことだったのかもしれませんが、インキの補充なども必要ですし、食事や休憩もとるでしょうから、理屈通りにはいかないでしょうね。
もっとも、手フートで印刷できるのは約B5サイズ(美濃判半裁)までなので、主に小ロットの名刺やカード類で活躍したのでしょう。
重さは約57㎏(凡拾五貫目)だそうで、なに活の手フートを持ち上げた時の感じからしてほぼ想像の通りでした。
金額は四拾三圓と書いてあります。企業物価指数と消費者物価指数から推定すると、現在のお金で約3万円~8万円という感じだと思います。
もっと高価なものかと想像していました。



【活字の高低差に関する技術資料】
活字の高さは地方ごとに若干異なっていたそうですが、同じ鋳造所の製品でもばらつきがあったそうです。
この資料は活字の高低差がテーマ。今回一番気になったのはこの資料です。
ウチが電子出版に進出することがあれば、最初のコンテンツにしたいですね。(結構本気)


つづく

2010年12月9日木曜日

活字のふるさとを訪ねて(2)

モトヤさんの活字資料館のつづきです。

【ベントン彫刻機】
活字の母型を製作する彫刻機。
彫刻する文字の大きさを可変できるため、手彫りの種字→母型に比べて生産性が上がり、合理的な書体設計、品質管理が可能になったそうです。

以下モトヤ様の解説文を引用します。
ベントン彫刻機は活字母型又は父型を直接金属材に彫刻する機械で、米国人のLinn Boyd Bentonが1885年特許を得たものです。
始め電胎母型用種字を彫刻するだけでしたが、後にパンチ母型用の父型を彫刻するようになりました。機構はパンタグラフの原理で、これを堅型に構造してあります。
パターン(原版)を下部のテーブル上に取付け、フォロアーでなぞりの働きを縮減して上部に取付けた精巧な小旋盤に伝え、その力ッターは毎分8,000~10,000回転し、その下の母型材に彫刻します。通常カッターは荒彫・中彫・仕上の3本を使用します。
60ポイント以下の母型の彫刻に使用されます。




















【パターン(亜鉛板)】
彫刻母型の設計図となるのが亜鉛で出来たパターンです。
パターン上に刻まれた文字をベントン彫刻機の針でなぞると、その動きに連動して彫刻刃が動き、母型の材料を刻みます。

【活字鋳造機】
活字地金(鉛合金)を350℃前後で溶かし、母型に流し込んで活字を鋳造する機械です。



【新聞輪転機用の鉛版】
新聞輪転機用の印刷版は円筒形でした。
活字組版を特殊な紙で紙型にとり、活字地金(鉛合金)を流し込んで円筒形の版を鋳造します。
正確な重量はわかりませんが、鉛は比重が大きいので相当重たいはずです。
漫画や週刊誌の一部で今でも用いられている輪転機(活輪)では、扱いの容易な樹脂版を使っているそうです。
こちらは、枚葉機(平判)用の鉛版。限られた活字を効率良く使うために、ページ物、再版物などに用いられたそうです。紙型を保管しておいて、必要な時に鉛版にしていたのでしょう。
一見、現在の亜鉛版、マグネシウム版などの腐食版に似ています。

【紙型】
活字組版から型を取った紙型です。がっつり凹んでいます。
写真やロゴの部分は金属の腐食版を組み合わせているのでしょうね。
先にも書きましたが、この紙型に活字地金(鉛合金)を流し込んで鉛版をつくります。
ご一緒させていただいた出版社の方の会社には、昔の紙型が眠っているそうです。
(ウチには写植の文字版だけが残っていますが、捨てるに捨てられず放置・・・)
カーター大統領就任!とか、ワリチョー年7.388%!?など、昭和の香りを感じます。
昭和52年(1977年)1月21日の夕刊でした。


木版や石版の展示もありました。


以前ご紹介した私のイチオシ「印刷に恋して」で予習していくと、楽しさ倍増間違いなしです。
関係者ではありませんが、ほんとオススメの本です。

印刷に恋して
著者/訳者:松田 哲夫
出版社:晶文社( 2002-01-10 )
定価:¥ 2,730
Amazon価格:¥ 2,730
単行本 ( 198 ページ )
ISBN-10 : 479496501X
ISBN-13 : 9784794965011

活版印刷、写植、バーコ、箔押し、コロタイプなどの工程をイラストでわかりやすく教えてくれます。
教科書的な堅苦しさは全くなく、まるで自分自身が工場見学に来ているようなドキドキワクワク感がたまりません。
印刷の世界は幅広くそして奥深いものだなあ、と改めて実感させられます。
買ったのは数年前ですが、何度読んでも飽きることがありません。
活版印刷に興味を持つきっかけとなった私のお気に入りの本です。

つづく

2010年12月8日水曜日

活字のふるさとを訪ねて(1)

12月7日、@mojirukaiさんの「文字る会」にお邪魔してきました。
第3回目となる今回の企画は、株式会社モトヤさんにある「活字資料館」の見学会でした。

モトヤさんは大正11年に活字の製造・販売会社として創業されました。
戦後、消失を免れた活字鋳造機1台から復興され、昭和40年代に製造・販売のピークを迎えられたそうです。
その後、オフセット印刷の普及や組版システムのコンピュータ化に伴い活字の需要は減少に転じ、平成8年に活字部門を廃止されました。
活字の開発で培った書体への想いを未来の技術へと紡ぐため、平成9年にこの活字資料館を開設されたそうです。
現在、その創業の精神は、全国紙を含む新聞やテレビ、ゲーム、携帯など様々なメディアで利用されるデジタルフォントとして引き継がれています。

 株式会社モトヤ http://www.motoya.co.jp/
 モトヤフォントの歩み http://www.motoyafont.jp/menu.html
 文字の解体新書 http://www.motoyafont.jp/images/mojikai.pdf



【DATA】活字資料館
所在地:大阪市中央区南船場1丁目10-25
     株式会社モトヤ内
問合せ先:06-6261-1931
入場料:無料
見学にあたっては事前の予約が必要です。
開館時間は(株)モトヤさんの営業時間内です。

大変貴重な機械、設備、備品、資料が間近で見られたり、触れたり、まるで大人の遊園地です。
気づけば予定の時間を大幅にオーバーしてしまいました。

つづく
活字のふるさとを訪ねて(2)

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