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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2014年10月23日木曜日

レタープレス修行の旅2014 後編


DAY 8 : 10月7日(火)アトランタ(ジョー ジア州)

手漉き紙の工場を立ち上げ、自身の手による活字で書物を出版したDard Hunter。
紙漉きの研究のために世界を旅し、手漉き紙や紙漉きの道具などを収集し、たくさんの著書を残したこ とで知られています。
研究の対象は日本の和紙にも及び、1933年(昭和8年)には来日もされています。
彼のコレクションを見てみたくて紙の博物館Robert C Williams Paper Museumを訪問しました。

中国に始まる紙漉きの起こりから製紙術の伝搬、機械漉きへの発展が展示されています。
和紙のコーナーもあり、百万塔陀羅尼が展示されていました。
原料の紹介コーナーには見慣れた木やコットンに加えサボテンがありました。
サボテン紙は強度が出ないため 、普及することはなかったそうです。

レンタカーでナッシュビルに移動。約400km4時間のドライブです。
単調な直線続きで睡魔に襲われましたが、事故を目撃して目が覚めました。

今日の気になる文字はこれ。
落ち着いた色使いだけどインパクト抜群でした。


DAY 9 : 10月8日(水)ナッシュビル(テネ シー州)

カントリーミュージックの街として知られるナッシュビルにあるHatch Show Printに来ました。
音楽、映画をはじめとした広告宣伝のポスターを得意としてきただけに、大きな木活字や木版がたくさ ん並んでいます。
全盛期は1950年代に過ぎたとは言うものの、今でも年間500~600種類ものポスターを印刷しているそう 。また、切手のデザインに関わるなどデザインワークの舞台も拡げています。

作品を販売するショップには、壁一面にポスターのサンプルが掲出されています。
ポストカード、Tシャツ、ステッカー、缶バッチなどのグッズも充実しています。
眺めているだけでも楽しいお店ですが、きっと何も買わずにお店を出ることはできないでしょう。

ギャラリースペースではTYPES OF BUGS : BUGS OF TYPEという作品展が開催されていました。
木活字を中心にレコード盤などを版にして昆虫をデザインした作品たちは、書体のチョイスや繊細な色使いがとても魅力的で、今にも動きそうに活 き活きとしていました。
アーティストのBill MoranはHamilton Wood Type & Printing Museumのアートディレクターでもあります 。

今日の気になる文字はこれ。ホテルのフロントです。
これを見るためだけにやってきました。
宿泊者ではありませんが、快く撮影の許可をいただけました。


DAY 10 : 10月9日(木)ツーリバース(ウィスコンシン州 )
次の目的地はHamilton Wood Type & Printing Museumです。
飛行機でグリーンベイに移動。ナビなしのレンタカーしか無くて、しかもWi-Fiの電波も入らないので 、紙の地図だけが頼りです。

案の定、近くまで来て迷ってしまいました。地元の方に道を尋ねると親切に教えていただき、無事到着すること ができました。
建物に入るとBobが出迎えてくれ、ミュージアムのガイドをしてくれることになりました。
ショーケースのガラス戸を開けながら、たくさんのコレクションを紹介してくれていた時、2つのAを取り出して見せてくれました。
一見では同じ書体なのですが、よく見ると細部のデザインが僅かに異なっていました。
側面には別の社名の刻印があり、同業者を合併してきた歴史を教えてくれました。

次に生産工程の案内をしてくれました。
原木のカット、乾燥、サンディングの工程を経て彫刻の工程です。
パンタグラフという器具で文字の原型をなぞり、連動したルーターで木を彫刻した後、彫刻刀で手仕上 げをして完成です。
展示だけでなく、木活字の製造技術を継承するWorking Museumとして2名の若手がパンタグラフオペレーター として技を磨いているそうです。

ワークショプの開催や印刷機のレンタルもあり、木活字の印刷体験から本格的な作品づくりに取り組むことができます。
この日もお一人の女性プリンターが作品づくりに没頭されていました。
広いギャラリースペースには、スチームローラー(工事現場で地固めに使う重機)で擦った大きな木版プリントの展示がありました。
ディレクターのJimと話してい たとき、Hatch Show PrintでTYPES OF BUGS : BUGS OF TYPEを見てきたことを話すと、アーティストの Billとは兄弟ということでした。

モーテルにチェックイン。鍵をもらって部屋を開けたら先客がいて???
安モーテルをはしごしているので少々のトラブルには驚きませんが、さすがにこの事件にはびっくりしました 。
今日の気になる文字はこれ。トラブルにもめげず、前進あるのみ。


DAY 11 : 10月10日(金)シカゴ(イリノイ 州)

レンタカーでシカゴに移動。約300km3時間のドライブです。
アメリカのハイウェイは全てフリーウェイと思っていましたが、シカゴ郊外には有料の路線もありました 。
本線から逸れた有人の料金所で料金を支払いましたが、下調べしていなければ無人の料金所に突入していたか もしれません。
車が渋滞しだしたころ、シカゴの高層ビル群が見えてきました。

ニューベリー図書館で、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿という説もあるニューベリー・ アルファベット、グーテンベルグの四十二行聖書(1シート)、ケルムスコット・ プレスの黄金伝説とトロイ戦史抄などを閲覧しました。
身分証明を提示してReaders Cardを取得すれば、特別室で貸し出しをしてくれます。

今日の気になる文字はこれ。シカゴの消防車を見て、映画のバックドラフトを思い出しました 。


DAY 12 : 10月11日(土)シカゴ(イリノイ 州)

Center for Book & Paper Arts(CBPA)を訪問しました。
アポ無しでしたが、快くスタジオを案内してくださいました。
印刷から製本まで学べるほか、暗室も備えています。

また、CBPAは本格的な紙漉きスタジオを備えています。
右奥に馬鍬と漉き舟が見えます。
別室にはホーレンダービーターが4台もありました。

オフセット印刷機の操作を学ぶこともできるのもCBPAの特長の1つ。
これまで2名の方が操作をマスターしたそう。

CBPAで紹介してもらったAnchor Graphicsはエッチングプレスとリトプレスを持つ版画スタジオ。
機材 のレンタルも可能とのことです。

The Papermaker's Gardenはシカゴの街のど真ん中で、いろんな植物を育てて紙を漉くプロジェクト。 これはおもろい!!!
いくつかのブロックでは刈り取られた跡がありましたが、ど んな紙になったのでしょうか。

今日の気になる文字はこれ。
ゴミ捨て場とファンシーな壁画のコントラスト。理想と現実。


DAY 13 : 10月12日(日)

紙、レタープレス、製本に関わる人たちとの出会いと学びを求めて、駆け足で6都市を巡ってき た旅も今日で最後です。
訪問先ではレタープレスのみならず、タイポグラフィーやブックアートを含めて体系的に学ぶ場、発表する場、交流する場が充実しているように感じました。
この旅で出会った人たちは、タイポグラフィーやブックアートの領域にも造詣が深く 、新しいものづくりへの情熱に満ちていました。
熟練者は若手に技術を伝承する機会を惜しまず 、継承者たちはパソコンを接続した活字鋳造機やレーザーを利用したオリジナルの木活字や写真版、木活字書体のデジタル化など、新しい技術も取り入れながら現代のレタープレスシーンを牽引していました 。
また、ミュージアムでも展示のみならず「技術の継承」をとても大切にしていて、Working Museumとして機械の維持・メンテナンスと後進の育成を怠らない姿勢に共感を覚えました。
また何時の日か再会できることを願って帰国します。


少し先になる予定ですが、この旅で得られた収穫をまとめてZINEを発行したいと思っています。
レタープレスの、レタープレスによる、レタープレスファンのためのZINEにする予定。
ご期待ください!






2014年10月19日日曜日

レタープレス修行の旅2014 前編


DAY 1 : 9月30日(火)サンフランシスコ
サンフランシスコに到着。
2週間の滞在でネットをガンガン使いたかったので、現地でプリペイドWi-Fiを調達することに。
Verizonのお店に行き、プリペイドWi-Fi($49.99)を入手。
無事ネットに接続できて一安心です。
10GB/月のプラン($90)を選択してもレンタルよりお得でした。

印刷から製本まで学べるThe San Francisco Center for the Book(SFCB)に来ました。
カリグラフィー、レタープレス、製本などの魅力的なワークショップが年間300回以上も開催されています。

なに活は手製本のワークショップを受講しました。

ギャラリースペースも充実しています。

今日の気になる文字はこれ。ヤレた感じがレンガの壁に似合ってます。


DAY 2 : 10月1日(水)サンフランシスコ

今年は酷い時差ボケに悩まされました。
ベッドメイキングのスタッフのノックで起きたのは10時過ぎ。
今日はホテルの近辺をのんびり散策です。
画材店で製本用品や本などを購入。トイレでも楽しませてくれます。

スーパーで食料とビールを調達。
特にTrader's Joeのサラダとパンがお気に入りで、各地でお世話になりました。
今日の気になる文字はこれ。お目当てのお店が、移転の為まさかの休業中でした。


DAY 3 : 10月2日(木)サンフランシスコ
ケーブルカーに乗ってハイドストリート・ピアを散策後、画材店へ。

バスに乗り換え、Legion of Honor(美術館)に。
企画展はMatisse and the Artist Book。

限定本や特装本の出版を手掛けるTHE ARION PRESSと、活字鋳造を手掛けるM & H TYPEを訪問しました。
つい先日、アメリカの詩人Walt Whitmanの詩集Leaves of Grassを100番目の出版物として刊行しましたが、手組みの活字組版、特注のイギリス製透かし入り紙、紙を湿らせて刷るため手差しのプラテン印刷機を使うなど、限定本に相応しい拘りぶりです。

活字の鋳造はMONOTYPEで行っていますが、本来用いる鑽孔テープに替わり、コンピュータを接続する改造を施した鋳造機もありました。
全て自動鋳植という訳ではなく、用途によって手組みと使い分けているようです。

手前から奥までずらりと並んだ活字棚に圧倒されます。
左の棚は新品活字で、活字鋳造・販売部門のM & H Typeから購入可能。

糸かがりは機械を使うこともあるそうですが、基本的に製本は手作業で行われます。
余談ながら2000年に発行された聖書の限定版でイニシャルの装飾を手掛けたのはカリグラファーのThomas Ingmire氏で、昨年の4月に、なに活の壁文字を見学に来られた方。何だか不思議なご縁を感じます。

見学を終えた後、バスに乗りグレース大聖堂に。
到着したのは礼拝の時間でした。
讃美歌の響くなかステンドグラスを眺めます。

今日の気になる文字はこれ。たまたま通りかかった製本屋さんの店頭にて。


DAY 4 : 10月3日(金)LA

飛行機でLAに移動後、レンタカーを借りました。
7車線もあるハイウェイは気合と根性で乗り切りました。

和紙をはじめ世界のユニークな紙を扱うHiromi Paperでメキシコ産の紙を購入。
拙い英語で産地を尋ねた店員さんが、翌日のPrinters Fairで日本出身の方と判明。
次にレタープレスのスタジオとショップを兼ねたCHURH OF TYPEを訪問しました。

オーナーのKevinはレーザー加工とルーターを駆使してハーフトーンによる写真版とオリジナルの木活字を製作しています。
それに加え、Vandercookと大型のプレス機を駆使して主に大判の作品を手掛けています。

今日の気になる文字はこれ。しっかり車間距離をとりました。


DAY 5 : 10月4日(土)LA

The International Printing Museumで開催されたLA Printers Fairに出店しました。
ワークショップの参加者さんの作品と、イラストレーターさんとコラボした作品も出品しました。

今年のセールスパートナーはSaki。
イギリス訛りのアリゾナ娘?。

会場のあちこちでは印刷と活字鋳造の実演で楽しませてくれます。
こちらのColumbian pressはアメリカ初の鉄製ハンドプレスで、1813年に発明されました。
200年ほど昔のアンティークなプレスをがんがん使うのは素晴らしい。
豪華な意匠が目を惹きますね。

売り物のプレスがどどーん。今年はVandercookの売り物も多かったです。

前日訪問したCHURH OF TYPEのKevinが実演していました。
Hiromi Paperもブースを出店されていて、前日に発見できなかったユニークな紙を購入。

今日の気になる文字はこれ。活字鋳造の実演で使われていた母型です。


DAY 6 : 10月5日(日)LA

Adobe MAXのプレイベントの1つ、Carl Rohrs氏による手書き文字のワークショップに参加しました。
午前中はトラヤヌス帝碑文のスライドレクチャーから始まり、様々の書体の解説がありました。
午後からはローマン体とイタリック体の実習です。
最後に自分の手書き文字をデジタル化する手順を習いました。
B以降は宿題ということで・・・

今日の気になる文字はこれ。壁文字の初挑戦は次の機会に。


DAY 7 : 10月6日(月)アトランタ

飛行機でアトランタに移動。時差が3時間あり、移動は1日がかりでした。

今日の気になる文字はこれ。
Please...書体の選び方でニュアンスも変わりますよね。


後編につづく

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