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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
名刺、招待状、ステーショナリー、年賀状のカスタムプリンティング承ります。 ワークショップや、活版印刷機の時間貸しもしています。

大阪府公安委員会 第62113R030016号 株式会社大同印刷所

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2015年1月28日水曜日

強印圧による凹みが嫌われる5つの理由

いま私が刷っている印刷物は、名刺、カード、招待状などが中心です。
頂戴するご注文は、厚い紙に凹みがつく強い印圧のご希望が大半です。
私も凹みは大好きですので、紙とインキの物質としての存在感を際立たせているものとして喜んでお引き受けしています。
皆さまと同じで、インキの有無を除けば空押しと同じ感覚です。

お客さまには大変驚かれることが多いのですが、活版印刷が商業印刷の主役だった頃を知る印刷人にとって、凹みは下手の証しとして忌み嫌う方が大半のようです。
これにはちゃんと理由があるのですが、いくつかの理由が積み重なって、ただ感情的に嫌悪感のみを語られるケースも見聞きします。
凹みが嫌われる理由を整理してみようと思います。

【第一の理由】活字の寿命
鉛、錫、アンチモンの合金から作られる活字は金属のイメージに反して非常に短命であり、過剰な印圧はその寿命をさらに縮めてしまうことになります。
私は強印圧を中心にしているため、主に樹脂版と金属版を使用しています。

【第二の理由】印刷機の寿命
過剰な印圧は印刷機にとっても歪み、摩耗、破壊の原因になります。
私は過剰印圧に対する安全装置付きの動力式の印刷機を使っていますが、強印圧を好むプリンターにとって常に悩ましい問題です。

【第三の理由】印刷へのニーズ
活版印刷の活躍の舞台であった出版印刷物(本や雑誌)、広告宣伝印刷物(ポスターやチラシ)や事務用印刷物(伝票や封筒)にとって、「凹み」という「演出」は機能的な意味を持たなかったからです。
また、名刺やカード類の端物(はもの)と呼ばれるジャンルにおいても、当時は厚い紙を凹ませる印刷には価値が見出されなかったのです。

【第四の理由】技能の証し
印刷機や活字の精度の問題と絵柄の混み具合によって、必要最小限の印圧で刷るにはムラ取りの手間暇がかかり、その良否が品質に影響を及ぼします。
その為、技量の下手を印圧で誤魔化す行為は、腕の良い職人から嫌われました。
余談ながら強印圧は簡単というのは誤解で、強印圧で綺麗に刷るにはインキ量をはじめ標準印圧とは異なる調整が必要です。

【第五の理由】強印圧のノウハウ不足
胴張りをブランケットなどで柔らかく仕立てた場合、強印圧を掛けると出来損ないのエンボスのように裏面が飛び出ます。また、文字や線がダブったように印刷品質が劣ります。
これらの印刷物のみを見て強印圧の評価とされているケースもあるようです。
強印圧の際は、標準印圧とは異なる胴張り資材の選択が品質の決め手になります。

【強印圧の是非について】
印刷所の立場から見ると、強印圧を嫌う理由は十分にご理解いただけたと思います。
しかし、凹みのリクエストを躊躇う必要は全くありませんので、どうぞご遠慮なく。
私は活字に強印圧を掛けるのを好みませんので樹脂凸版と金属凸版を使いますが、母型と鋳造設備を持っていればきっと答えは異なることでしょう。
価値観はそれぞれの時代背景や環境によって変わるもので、絶対の価値などというものは無いと思うのです。
凹みの有無にどちらが正解かなんて事はありません。
私は強印圧の是非を語る事より、皆さまと活版で何を作るかを大事にしていきたいと考えています。

19世紀のプライベートプレスのウィリアム・モリスは、凹みが良いのだということを言っています。
自らデザインした活字と手引き印刷機で理想の書物を追及したケルムスコット・プレスの『黄金伝説(The Golden Legend. Kelmscott Press, 1892)』に貼付された署名入りの文章を引用してみます。

IF this book be bound the edges of the leaves should only be TRIMMED, not cut.
In no case should the book be pressed, as that would destroy the “impression” of the type and thus injure the appearance of the printing.  W.MORRIS.


日本語訳を「ケルムスコット・プレス ウィリアム・モリスの印刷工房」(ウィリアム・S.ピータスン著、湊典子訳、平凡社、1994年)から引用します。

「もしこの本を装幀するのであれば、紙葉の縁(へり)は揃える(トリム)だけにして断裁(カット)しないでください。どんなことがあっても、本を押さえつけてはいけません。活字の『刷り(インプレッション)』を潰してしまい、これが印刷の見た目を損ないますので。」

昨年の秋、シカゴのニューベリー図書館で閲覧した黄金伝説は、裏面に無様な跡を残すこともなく、手漉き紙に黒々としたインキでしっかりと刷られていました。
それは想像していたほどのディープインプレッションではありませんでしたが、モリス自身がデザインした活字が手漉き紙に残した痕跡を愛おしく感じたのでした。

2015年1月8日木曜日

新・活字ホルダーAntik生産終了のお知らせ

Moderneをベースにエイジング加工を施したAntikですが、この度2015年1月31日(土)までの受注をもって生産終了となります。
今後はModerneをリニューアルしたModerne-2のみの販売となります。
どうしてもAntikを、という方はお急ぎください!
(仕様は旧Moderneと同じですが、ウッドハンドルは新タイプの1色のみになります)

















Antik 31,900yen(税別) 
※2015年1月31日受注分を持って生産を終了します。
アンティック風な加工を施したウッドハンドル付きモデル。
取扱説明書、レザーケース、レザーパッド(印字用)、お名前活字(センチュリーオールド18pt)つき。
ウッドハンドルはリニューアル後のタイプのみになります。(画像参照)

お得な活字とのセットもあります。
センチュリーオールド 18ptセット 48,000yen(税別)
ピラネジイタリック 18ptセット 50,800
yen(税別)




















【ご注文方法】
お問い合わせフォームよりご連絡先をお知らせください。
注文書の書式をお送りしますので、必要事項をご記入の上、FAXまたはメールでご注文ください。
右利き用と左利き用をご用意しております。ご注文時にお選びください。
ご購入されたお客様のお名前活字(センチュリーオールド18pt)をホルダーに組んだ状態で発送致します。
例 築地太郎の場合→T.TSUKIJI(鉛活字数本+込物)

【納期】
受注生産品の為、ご注文から納品まで約1ヶ月半ほどお時間をいただいております。受注状況により変動する場合があります。

【お支払い方法】
銀行振込、代引(代引手数料別途)、PayPal

【送料】
ホルダー1個またはホルダー+活字セット1個の送料 800円(税別)

新・活字ホルダーはひとつひとつ手作りですので、webサイト上の写真と実物は色味等異なります。
活字は、鉛、アンチモン、スズの合金です。お子様やペットがお口に入れないようにご注意ください。
活字に過度の強圧を加えたり床に落とすと傷つき、きれいな印字が出来なくなりますので丁寧に扱ってください。
また、使用されてゆくうちに文字の角も減ってゆきます。消耗品とお考えください。

International Buyers – Please Note:
Import duties, taxes, and charges are not included in the item price or shipping cost.
These charges are the buyer's responsibility.
Please check with your country's customs office to determine what these additional costs will be prior to bidding or buying.






2015年1月7日水曜日

プライベートプリンターさんへのお年玉キャンペーン

個人でレタープレスを楽しむ方にとって、資材の入手は悩ましい問題かもしれませんね。
代用品が見つかれば良いのですが、業務用では量が多い・・・。
そんなお悩みを解決しちゃいます!
期間中に容器をご持参いただければ、無料で小分けさせていただきます。

(対象となる方)
・1月5日~2月28日までに製版をご依頼いただいたお客さま
 →製版のご依頼はこちらから
または
・これまでに手フートをご購入いただいたお客さま
いずれかの方で、容器持参でご来社いただける方

(期間)
2月28日(土)まで

(対象資材)
おすすめ品
 ※洗浄液(普段使い用)
 ※洗浄液(色替え用)
 ※裏付き防止パウダー(胴刷りした時や、手の汚れに)
 ※00ワニス(インキを柔らかくしたい時)
 ※重金属用手洗い石けん原液(活字を触った後に)
 ※機械油

エキスパート向け
 ・洗浄液(速乾タイプ)
 ・レジューサ(インキを柔らかくしたい時)
 ・コンパウンド(インキを柔らかくしたい時)















(お渡し方法)
あらかじめご来社の日時をお知らせください。
容器をご持参の上、ご来社ください。


2015年1月1日木曜日

新・活字ホルダー Moderne-2 のご紹介

新年おめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2015年のブログは、昨年11月にリニューアルが発表された「新・活字ホルダー Modrne-2」のご紹介からスタートしたいと思います。















2011年に築地活字さんと廣田岳さんが協同開発された新・活字ホルダー。
一品一品、丁寧な手仕事で作られ、使いやすさと美しさを兼ね備えており、おかげさまで国内のみならず海外のお客さまにもご愛用いただくようになりました。
開発から3年を経て、この度より使いやすいModrne-2へと進化しましたので、先代のModrneとの比較を交えながらご紹介させていただこうと思います。
















今回のリニューアルでは各部のデザイン変更と製作工程の見直しを行い、より使いやすく改良するとともに印字精度を一層向上させました。
上の写真の左が旧Modrne(なに活スペシャル)、右がModrne-2です。
Modrne-2はブラスト仕上げになり、ツヤ消しの落ち着いた外観になりました。
写真の旧Modrne(なに活スペシャル)もブラスト仕上げのため、この写真では見た目の違いはありません。
















高さは3mm(約8.5ポイント)大きくなり、内寸が約58ポイントになりました。(右がModerne-2)
















幅も3mm(約8.5ポイント)大きくなり、内寸が約230ポイントになりました。
パイカで表すと19パイカ余りで、12ポイントの全角活字が19文字入ります。(上がModerne-2)
















全体に一回り大きくなった分、組版のバリエーションを楽しむことができるようになりました。
持ち比べてみると旧Modrneより若干重く感じますが苦痛に感じる程の差ではなく、むしろ印字の際の安定感が増した印象です。















柄の取り付け部を5mm延長し、柄を取り外した時や標準の柄が握りやすい長さになりました。(右がModrne-2)















印字の際の位置合わせもし易くなりました。
上の写真は付属の調整板ですが、一番下の調整板の両端には突起を付けてあります。
















突起付きの調整板を上の写真のように組版の下部に組み込むと、印字の位置が判りやすくなります。
















このように印字の際に突起が組版の位置を示してくれます。
















上の写真の左が旧Modrne(なに活スペシャル)、右がModrne-2です。
両端から突起を確認できますので、上下左右の位置合わせが正確にできるようになりました。
さて、横ネジの違いにお気づきになられたでしょうか?
ネジ位置の変更と、ネジ径を大きくして保持力と耐久性を向上しました。
















中心ネジは材質から見直し、形状が変更となりました。
右がModrne-2 になります。
















中心ネジは組版のボリュームによって使い分けられるよう、長いものと短いものが付属します。
ネジ1つとって見ても、実用性と美しさを兼ね備えた機能美にこだわって製作されていることがお分かりいただけるかと思います。
















オプションのウッドハンドルは形状から見直し、握りやすくするとともに、色もModrne-2 向けに変更しました。
ただしネジの規格は旧ModrneやAntikでも使えるよう同じにしてありますので、従来モデルのユーザーにもお使いいただけます。
















上の画像はAntikとの組み合わせ例です。ご覧の通りエイジング加工を施したボディにとても良く似合うお色目になっております。
ウッドハンドルは箔押しや熱空押しなどで加熱してお使いいただく場合の他に、見た目のアクセントにもなりますのでおすすめのオプションです。
















これまでご紹介させていただきましたように、Modrne-2 はペーパークラフト用としても、レザークラフト用としても使いやすい実用的な活字ホルダーです。
それに加えて永らく愛着を持って使い続けられる美しいデザインは、プレゼント用のお品としても大変喜ばれております。
なに活内のPrismショップでは実物を手に取ってご覧いただけますので、ぜひお確かめください。

※Antikは1月31日をもって販売終了となります。



INFORMATION

【Price】
・Moderne-2 単体 23,200円(税別)説明書、お名前活字(センチュリー・オールド)付き

※セット販売につきましては、2014年3月31日(火)受注分をもって終了します。
4月1日以降につきましては、単品でご購入いただけます。
活字の販売価格につきましては、追ってご案内させていただきます。
(2015年3月24日更新)

・・Moderne-2 センチュリー・オールド18ptセット 37,800円(税別)2015年3月31日受注分まで

・・・Moderne-2 ピラネジ・イタリック 18ptセット 40,600円(税別)2015年3月31日受注分まで

 ※セット活字の内訳は、大文字、小文字各2本(母音各4本)、数字、記号、込物です。





【オプション】
ウッドハンドル 2,100円(税別)

【ご注文方法】
お問い合わせフォームよりご連絡先をお知らせください。
注文書の書式をお送りしますので、必要事項をご記入の上、FAXまたはメールでご注文ください。
右利き用と左利き用をご用意しております。ご注文時にお選びください。
ご購入されたお客様のお名前活字(センチュリーオールド18pt)をホルダーに組んだ状態で発送致します。
例 築地太郎の場合→T.TSUKIJI(鉛活字数本+込物)

【納期】
受注生産品の為、ご注文から納品まで約1ヶ月半ほどお時間をいただいております。受注状況により変動する場合があります。

【お支払い方法】
銀行振込、代引(代引手数料別途)、PayPal

【送料】
ホルダー1個またはホルダー+活字セット1個の送料 800円(税別)




新・活字ホルダーはひとつひとつ手作りですので、webサイト上の写真と実物は色味等異なります。
活字は、鉛、アンチモン、スズの合金です。お子様やペットがお口に入れないようにご注意ください。
活字に過度の強圧を加えたり床に落とすと傷つき、きれいな印字が出来なくなりますので丁寧に扱ってください。
また、使用されてゆくうちに文字の角も減ってゆきます。消耗品とお考えください。

International Buyers – Please Note:
Import duties, taxes, and charges are not included in the item price or shipping cost.
These charges are the buyer's responsibility.
Please check with your country's customs office to determine what these additional costs will be prior to bidding or buying.


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