Contents

2017年2月21日火曜日

樹脂版と金属版

樹脂版と金属版の違いについてよく聞かれますので書いてみます。
樹脂版と言っても様々の種類がありますし、金属版についても亜鉛、マグネシウム、真鍮、銅と様々で一概には言えませんが、一般的には

 コスト(安価) 樹脂>金属

 硬さ 金属>樹脂 

と言えます。
樹脂版は優れた版ですが、その特性を理解しないままコストだけで選択すると後悔することになるかもしれません。
(再現性(精度)、着肉性、耐久性などその他の特長は銘柄によって変わりますので、私が使用している銘柄という前提で進めます)

さて、下の画像は私の名刺ですが、左右どちらが樹脂版、亜鉛版かお判りになられますでしょうか?















ちょっと判りにくいですね。拡大して見ましょう。

















正解は左が樹脂版で右が亜鉛版です。
印刷条件は印圧以外が同じで、樹脂版が標準印圧で亜鉛版が強印圧です。
樹脂版は着肉性が良い分、少し濃度が上がっているようです。
本当は標準印圧同士で比較しなければなりませんが、刷るのを忘れてしまいました。
用紙の凹みはさて置き、文字の品質で樹脂版が劣るという事はありません。
ちなみに、下の画像の左は以前使っていた国産の亜鉛版で、右が輸入の亜鉛版です。
印刷時期が違うため印刷条件は異なりますが、左の方が僅かにシャープです。
原稿より少し痩せているのですが、こちらを好む方もおられるかもしれません。
同一データですが、FAXのセリフにも違いがありますね。
国産の亜鉛版は製造中止になったため、以前と同じニュアンスというのが難しくなってしまいました。

















樹脂版のお話しに戻りましょう。
優れた特性を持つ樹脂版ですが、用紙が凹む位に印圧を掛けると文字や線が太ってしまいます。
左が樹脂版で、右が亜鉛版、共に強圧です。
並べて見なければ気にならないかもしれませんが、凹みを求めてさらに圧を加えるとますます太くなっていきます。

















名刺で凹みが欲しい方にまず金属版をおすすめするのはこのためです。
ただし、大きいサイズの太ゴという場合には、太りが判らないために樹脂版で問題無い場合もあります。
また、凹み具合は
 絵柄の面積、密度
 用紙の硬さ、厚さ
 裏面への影響
によって変わります。
硬い紙に大きな絵柄という場合には、絵柄が太るばかりで凹まないという事も考えられます。
これらの点を踏まえて版の選択をお考えいただければと思います。
樹脂版と金属版はどちらも優れた版ですので、その特性を理解した上で使い分けるのが最善だと思います。
版種の選択に迷われたら提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。