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2012年12月1日土曜日

LA Printers Fairに行ってきた(3)


「LA Printers Fairに行ってきた」編の最終回です。
ここの機械たちが幸せなのは、そのほとんどが稼働できる状態を維持していることです。
活字の鋳造も例外ではありません。

何やら機械を囲んで行列ができています。
Linotypeの実演
Linotypeの実演でした。
Linotype (ライノタイプ)自動鋳植機

Linotype (ライノタイプ)
1886年、Ottomar Mergenthaler (オットマー・マーゲンターラー, 1854-99)によって発明された欧文の自動鋳植機。
自動植鋳機とは、活字を自動的に鋳造すると同時に植字(組版)をも行う機械。
原稿に従ってキーボードを押すと、上部の母型庫から母型が1本づつ落下してきて並び、一行がいっぱいになると鋳型に送られ、一行分の文字が塊、slug(スラッグ)になって鋳込まれる。
鋳込みを終えた母型は、自動的に分類されて母型庫に戻る。

Line of type(一行の活字)という意味からLinotypeという名称が生れた。
鋳造能力は7,000~11,000字/時。
ボディから字面がはみ出たKerned letter(カーンドレター)は鋳込むことができない。
Linotype以前にも様々な自動植鋳機が考案されたものの、実用化には至らなかった。
鋳造してから植字をするという方法ではなく、植字してから鋳造するという方法が実用化に成功した一因とされる。

同様の機械に、Linotypeに改良を加えたIntertype(インタータイプ)がある。
訂正がある場合は一行単位で打ちかえる必要があるが、スピードが求められる新聞や雑誌を中心に導入が進んだ。
日本には1903年(明治36年)に印刷局に導入され、英字新聞社などに採用された。

今回の実演にはありませんでしたが、もう1つの自動鋳植機 Monotype にも触れておきます。

Monotype (モノタイプ)
Tolbert Lanston (トルバート・ランストン, 1844-1913)が、1887年に取得した特許をもとに発明され、改良を加えられながら1897年頃までに完成された欧文の自動鋳植機。
穴を開けた巻紙で自動演奏するピアノにヒントを得たと言われている。
活字を1本ずつ鋳込んで植字する点でLinotypeとは異なり、主に書籍の組版に利用された。
キーボードとキャスター(鋳造機)の2基に分かれて構成されている。
キーボードを押すと文字ごとに決まった穴を紙のリボンに開け、鑽孔テープをつくる。
次に、鑽孔テープをキャスターにかけると母型が選別され、鋳造、植字を行う。
1928年には、鑽孔テープの内容を通信装置で送り、遠隔地での鋳造が実用化された。
鋳造能力は8,400字/時(10pt.)。
日本では、1920年(大正9年)頃に邦文モノタイプが開発されたが、品質面での課題が多く普及しなかった。
1947年-48年(昭和22年-23年)頃から再び研究、開発が行われて技術改良が進み、昭和40年代に本格的に普及した。

US Patents 364521 - 364525 (1887年)


さて、閑話休題。
何と、自分の好きな文字を鋳込んでくれるというではありませんか!
Linotypeのオペレーター
原稿を渡すと、早速タイプしてくれます。
Linotypeのキーボード


Linotype実演の映像です。
途中で映像が乱れますが、綴りを確認するためにMatrix(母型)を確認したためです。
キーを打つ音、Matrixが動く音、キャスティングする音、この音とリズムが心地良いです。

出来立ては、まさにHot Type。
原稿用紙に包んで渡してくれますが、熱いから持つところを気をつけるようにと言われました。
slug(スラッグ)が完成
そう言われると触ってみたくなる・・・できたてホヤホヤは本当に熱かった!
出来立てのslug(スラッグ)
上部の母型庫を横から見たところです。
書体はCENTURY BOLDでした。
書体を変えるときは、母型庫を差し替えます。
Linotype (ライノタイプ)の母型庫
LinotypeのMatrix(母型)です。
LinotypeのMatrix (母型)
Matrix(母型)はギザギザの溝によって自動的に選別されて、それぞれ元の母型庫に戻ります。
独特の形状は見ていて飽きません。
LinotypeのMatrix (母型)2
活字地金の形が日本の活字屋さんで見たことがあるものと違いました。
活字地金
こちらはslugの展示品。
LinotypeのSlug (スラッグ)
これも自動鋳植機のキーボードのようですが、詳細わからず・・・。
自動鋳植機のキーボード
初めて見るタイプのプラテン機だなーと思って近づくと、その右隣にLudlowが!
Ludlow (ラドロー)

Ludlow (ラドロー)
1912年、Ludlow Typograph Co.から発売された欧文の鋳植機。
一行分の文字を塊、slug(スラッグ)として鋳込むが、手で母型を拾いComposing stick (ステッキ)に組む必要がある。
操作が簡単で、96ポイントまでの大きな活字が鋳込めるので、特に英字新聞社には大変重宝された。
特別な装置を付ければ、128pt.から240pt.までの特大文字を鋳込むこともできた。
ボディから字面がはみ出たKerned letter(カーンドレター)は鋳込むことができない。
日本では、小池製作所が新聞見出し用の和文鋳植機として同様の機械を製造していた。

Ludlowも実演をしているではありませんか!
早速、原稿を書いて列に並びます。
Ludlow (ラドロー)全景
植字台が母型棚にもなっています。
Ludlow (ラドロー)の母型庫
実演で使われていたのはGaramond 24pt.でした。
Ludlowの母型はGaramondでした
私の番になりました。
原稿を差し出すと、係りの人が母型を取り出してComposing stickに組んで鋳込んでくれました。
当然ながらLudlowも出来立ては、とてもHOT!少し冷ましてからでないと持てません。
余談ですが、手組みの活字の植字に用いるステッキもComposing stickと言いますので、混同しないよう気をつけないといけません。
Ludlow (ラドロー)のComposing stick (ステッキ)
鋳造自体は特別大きなアクションや音もなく、意外と地味(失礼!)でした。

が、・・・。
 操作は大変シンプルだ・・・。
複雑な機構は無さそうで維持管理も何とかなりそうな気が・・・。
   必要なスペースも現実的な気が・・・。
好みの書体の母型を揃えて、好きな時に鋳造できる・・・

いかん、いかん、妄想モードに入ってしまいました。
でも、今の時代に活字の自家鋳造を夢見る人にとって、理想の鋳造機のように思えてきました。
Ludlow (ラドロー)の植字台と母型ケース
妄想に浸っている間にスラグが冷めたようなので、礼を言って受け取ります。
上がLudlow、下がLinotypeのスラッグです。
LudlowとLinotypeのスラッグ
次に気になったのが、このショーケース。
印刷をテーマにしたおもちゃが並んでいました。
印刷機のおもちゃ
印刷機のおもちゃもありました。
今の子どもたちには、どのように映るでしょうか。
印刷機のおもちゃ2
あっという間にイベント終了の時間がやってきました。
ミュージアムの展示品やスワップミートで売られている機材は古い物ばかりだけど、ここに来て得られたのは、新しい何かを産み出すエネルギー。
そして、もっと学びたい、繋がりたいというモティベーション。
きっと、また来るよ。
館長のMark、イベントの責任者Rachelleやお世話になった方たちと再会の約束をして会場を後にしました。

LA Printers Fair
次回は2013年10月5日(土)
http://www.printmuseum.org/special-events/los-angeles-printers-fair/

The International Printing Museum
315 Torrance Boulevard, Carson, California 90745
http://www.printmuseum.org/

(開館日)土曜日10:00am to 4:00pm、火曜日から金曜日は要予約。
      ※訪問にあたっては、公式サイトで最新情報をご確認ください。
     
(入館料)大人:$8 、子ども、シニア:$7

なに活ネームプレート
Yuichiro Onishi
Master Printer
Nanikatsu



(参考文献)
狩野晃男 「活版印刷 知識と実務」 大成出版社 1966
高島義雄 「印刷ハンドブック 活版整版編」 (社)日本印刷技術協会 1967
長谷川憲一 「ヘルボックス 印刷の現場から」 影書房 2008
http://www.p22.com/lanston/Giampa/MonotypeIndex.html


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