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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
名刺、招待状、ステーショナリーのカスタムプリンティング承ります。 ワークショップや、活版印刷機の時間貸しもしています。

大阪府公安委員会 第62113R030016号 株式会社大同印刷所

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2017年8月7日月曜日

手漉き紙と手組みの活字組版と

名塩の手漉き紙で名刺を作りたいとのことで、ご相談をいただきました。
地産地消とでも言えましょうか、お住まいの近くで漉かれた紙を使いたいとのことで名塩和紙のご指名でした。
名塩の谷徳製紙所さんと洪哉さんは以前、ブログでも取り上げましたが、雁皮や漉き返し(再生紙)に六甲山系の土粉(泥土)を配合するのが特長です。
泥土には白、青、黄、茶の4色あり、混色してつくる白茶をあわせて5色のバリエーションがあります。
今回は青と黄でお作りすることになりました。

「名塩和紙の過去、現在、未来を見に行く」
http://kappan.did.co.jp/2013/09/blog-post.html





















お客さまは帽子を創っておられる作家さんで、海外出張も有るという事で欧文名刺を作成したいとのことでした。
活字組版をご希望で工場見学も兼ねて書体を見たいということでご来社いただきました。
活字を使って紙を凹ませる刷りはやらないので、まず最初にご説明を。
幸いにも凹みはご希望でありませんでした。
続いて伝統的な書体とユニークなディスプレー書体をご覧いただきながら、特徴や由来などをご説明させていただきました。
ちょうど校正機が空いていたので刷ってしまうのが早いということで、お客さまのイメージをお聞きしながら書体の候補を絞っていきました。





















校正刷りではギャレーマグネットという磁石で組版を固定することが多いです。
すごく強力な磁石なので、ずれることはありません。





















デザインの方向性が決まったところで、次は刷り色の打ち合わせ。
青の方はスミ、黄の方は濃茶にすることに。
紙の裏表についてお尋ねがあり、裏面のラフな素材感も捨てがたいとのこと。
そこで黄は裏面に、青は表に刷る事になりました。
校正刷りのやり取りで微修正を重ねて校了をいただき、いよいよ本刷りです。
















パルプを配合した耳付き紙は自動機で刷ることもありますが、耳付き紙は基本的に手フートで刷っていきます。
耳の形状や紙厚を確認しながら1枚づつ丁寧に刷っていますので自動機よりも時間が掛るため、印刷費もちょっぴり割高になりますがご容赦ください。
活字組版の位置合わせには欧米で一般的なゲージピンを使っています。
位置決めした後の微修正はこれが一番使いやすいです。






















カチャーン、カリカリカリ…心地よいリズムとインキの匂いに包まれて。
時折不思議そうに眺める通行人の視線を感じながらの印刷タイム。





















(お客さまのメールから)
凄く素敵な名刺になり、大変嬉しいです。
お仕事場にも行かせて頂き、何度も相談に乗って頂きまして、本当にありがとうございました。
これからも、宜しくお願いします。

***********************************

お客さまにはお喜びいただけたようで良かったです。
お話させていただく中で、どんどんアイデアが膨らんでいく過程がとても楽しかったお仕事でした。
想いをカタチにする仕事ですから、その想いを共有するというプロセスをこれからも大切にしたいです。
スピード重視の世の中ですが、これだけは譲れないトコです。

2017年2月21日火曜日

樹脂版と金属版

樹脂版と金属版の違いについてよく聞かれますので書いてみます。
樹脂版と言っても様々の種類がありますし、金属版についても亜鉛、マグネシウム、真鍮、銅と様々で一概には言えませんが、一般的には

 コスト(安価) 樹脂>金属

 硬さ 金属>樹脂 

と言えます。
樹脂版は優れた版ですが、その特性を理解しないままコストだけで選択すると後悔することになるかもしれません。
(再現性(精度)、着肉性、耐久性などその他の特長は銘柄によって変わりますので、私が使用している銘柄という前提で進めます)

さて、下の画像は私の名刺ですが、左右どちらが樹脂版、亜鉛版かお判りになられますでしょうか?















ちょっと判りにくいですね。拡大して見ましょう。

















正解は左が樹脂版で右が亜鉛版です。
印刷条件は印圧以外が同じで、樹脂版が標準印圧で亜鉛版が強印圧です。
樹脂版は着肉性が良い分、少し濃度が上がっているようです。
本当は標準印圧同士で比較しなければなりませんが、刷るのを忘れてしまいました。
用紙の凹みはさて置き、文字の品質で樹脂版が劣るという事はありません。
ちなみに、下の画像の左は以前使っていた国産の亜鉛版で、右が輸入の亜鉛版です。
印刷時期が違うため印刷条件は異なりますが、左の方が僅かにシャープです。
原稿より少し痩せているのですが、こちらを好む方もおられるかもしれません。
同一データですが、FAXのセリフにも違いがありますね。
国産の亜鉛版は製造中止になったため、以前と同じニュアンスというのが難しくなってしまいました。

















樹脂版のお話しに戻りましょう。
優れた特性を持つ樹脂版ですが、用紙が凹む位に印圧を掛けると文字や線が太ってしまいます。
左が樹脂版で、右が亜鉛版、共に強圧です。
並べて見なければ気にならないかもしれませんが、凹みを求めてさらに圧を加えるとますます太くなっていきます。

















名刺で凹みが欲しい方にまず金属版をおすすめするのはこのためです。
ただし、大きいサイズの太ゴという場合には、太りが判らないために樹脂版で問題無い場合もあります。
また、凹み具合は
 絵柄の面積、密度
 用紙の硬さ、厚さ
 裏面への影響
によって変わります。
硬い紙に大きな絵柄という場合には、絵柄が太るばかりで凹まないという事も考えられます。
これらの点を踏まえて版の選択をお考えいただければと思います。
樹脂版と金属版はどちらも優れた版ですので、その特性を理解した上で使い分けるのが最善だと思います。
版種の選択に迷われたら提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。




2016年2月22日月曜日

【印刷実験】空押し(デボス)のバリエーション

空押し(デボス)のみの商品タグ増刷のご注文をいただきました。
こちらの案件では、版に熱を加えた熱空押しを行っております。
通常の空押し(デボス)との比較をしてみました。












文字のエッジを見ていただくと一目瞭然ですね。
左が加熱しながら加工したもので、右が通常の空押しです。
これ以上印圧を掛けると裏面に跡が出てしまいますので、目一杯の印圧です。
加熱以外の条件(版、印刷機、印圧、用紙、撮影など)は全く同じです。

他に凹みを引き立てるための方法として、メジューム(黄みを帯びた透明インキ)や白インキで刷るという方法もあります(空押しではなくなってしまいますが)。
活版印刷と箔押し兼用機だからこそできる、最適な加工方法をご提案させていただきます。
ぜひお気軽にご相談ください。

2015年11月20日金曜日

1954年MANUALE TYPOGRAPHICUM

今秋、ロチェスター工科大学のCary Graphic Arts Collectionで見せていただいてからずっと気になっていたヘルマン・ツァップさんの著書「MANUALE TYPOGRAPHICUM」を入手しました。
















1954年に発行された1000部の限定本で、ツァップさんがご自身で選ばれたタイポグラフィーに携わる人たちの引用句を100ページにわたりデザインされました。
















ツァップさんデザインのPalatino, Sistina, Meliorなどをはじめ、ステンペル活字鋳造所の金属活字によって各ページそれぞれがデザインされています。
















「活字の美しさとその多大な表現の可能性を示す」というコンセプトの通りの100ページのデザインを眺めていると時を忘れてしまいそうです。
ウィリアム・モリス、フレデリック・ガウディ、エリック・ギルなどの引用句を味わうもよし、ツァップさんの金属活字の印刷見本としても貴重な資料と言えるでしょう。
















ノンブルは紙色に近いインキで印刷されていますが、凹みが付けられて視認性に劣るということはありません。
本文に対し主張しすぎず、視認性も両立と絶妙なデザインだと感じました。
















本文は裏面に影響が出ないように刷られていますが、ノンブルは凹みを演出するためにあえて強印圧で刷られているのが良くわかります。
















レタープレスならではのブックデザインと言えるのではないでしょうか。
限定本であることを考慮しなければなりませんが、それでも1950年代に強印圧を表現意図として取り入れていたという事実は記憶に留めておきたいと思います。

閲覧をご希望の方がいらっしゃいましたらお知らせください。

【Prismショップよりお知らせ】
MANUALE TYPOGRAPHICUM(1970年)が入荷しました。
Hermann Zapf著
The MIT Press
1970年発行




















1954年のオリジナルをもとにしたオフセット印刷による復刻版です。
残念ながらレタープレスではありませんが、活字や組版の美しさを堪能するにはもってこいです。
Prsmショップの店頭かオンラインショップでお買い求めいただけます。
11,880円(税込み、送料別)
詳細は下記のリンク先をご覧ください。
http://letterpress.theshop.jp/items/2331686

2015年1月28日水曜日

強印圧による凹みが嫌われる5つの理由

いま私が刷っている印刷物は、名刺、カード、招待状などが中心です。
頂戴するご注文は、厚い紙に凹みがつく強い印圧のご希望が大半です。
私も凹みは大好きですので、紙とインキの物質としての存在感を際立たせているものとして喜んでお引き受けしています。
皆さまと同じで、インキの有無を除けば空押しと同じ感覚です。

お客さまには大変驚かれることが多いのですが、活版印刷が商業印刷の主役だった頃を知る印刷人にとって、凹みは下手の証しとして忌み嫌う方が大半のようです。
これにはちゃんと理由があるのですが、いくつかの理由が積み重なって、ただ感情的に嫌悪感のみを語られるケースも見聞きします。
凹みが嫌われる理由を整理してみようと思います。

【第一の理由】活字の寿命
鉛、錫、アンチモンの合金から作られる活字は金属のイメージに反して非常に短命であり、過剰な印圧はその寿命をさらに縮めてしまうことになります。
私は強印圧を中心にしているため、主に樹脂版と金属版を使用しています。

【第二の理由】印刷機の寿命
過剰な印圧は印刷機にとっても歪み、摩耗、破壊の原因になります。
私は過剰印圧に対する安全装置付きの動力式の印刷機を使っていますが、強印圧を好むプリンターにとって常に悩ましい問題です。

【第三の理由】印刷へのニーズ
活版印刷の活躍の舞台であった出版印刷物(本や雑誌)、広告宣伝印刷物(ポスターやチラシ)や事務用印刷物(伝票や封筒)にとって、「凹み」という「演出」は機能的な意味を持たなかったからです。
また、名刺やカード類の端物(はもの)と呼ばれるジャンルにおいても、当時は厚い紙を凹ませる印刷には価値が見出されなかったのです。

【第四の理由】技能の証し
印刷機や活字の精度の問題と絵柄の混み具合によって、必要最小限の印圧で刷るにはムラ取りの手間暇がかかり、その良否が品質に影響を及ぼします。
その為、技量の下手を印圧で誤魔化す行為は、腕の良い職人から嫌われました。
余談ながら強印圧は簡単というのは誤解で、強印圧で綺麗に刷るにはインキ量をはじめ標準印圧とは異なる調整が必要です。

【第五の理由】強印圧のノウハウ不足
胴張りをブランケットなどで柔らかく仕立てた場合、強印圧を掛けると出来損ないのエンボスのように裏面が飛び出ます。また、文字や線がダブったように印刷品質が劣ります。
これらの印刷物のみを見て強印圧の評価とされているケースもあるようです。
強印圧の際は、標準印圧とは異なる胴張り資材の選択が品質の決め手になります。

【強印圧の是非について】
印刷所の立場から見ると、強印圧を嫌う理由は十分にご理解いただけたと思います。
しかし、凹みのリクエストを躊躇う必要は全くありませんので、どうぞご遠慮なく。
私は活字に強印圧を掛けるのを好みませんので樹脂凸版と金属凸版を使いますが、母型と鋳造設備を持っていればきっと答えは異なることでしょう。
価値観はそれぞれの時代背景や環境によって変わるもので、絶対の価値などというものは無いと思うのです。
凹みの有無にどちらが正解かなんて事はありません。
私は強印圧の是非を語る事より、皆さまと活版で何を作るかを大事にしていきたいと考えています。

19世紀のプライベートプレスのウィリアム・モリスは、凹みが良いのだということを言っています。
自らデザインした活字と手引き印刷機で理想の書物を追及したケルムスコット・プレスの『黄金伝説(The Golden Legend. Kelmscott Press, 1892)』に貼付された署名入りの文章を引用してみます。

IF this book be bound the edges of the leaves should only be TRIMMED, not cut.
In no case should the book be pressed, as that would destroy the “impression” of the type and thus injure the appearance of the printing.  W.MORRIS.


日本語訳を「ケルムスコット・プレス ウィリアム・モリスの印刷工房」(ウィリアム・S.ピータスン著、湊典子訳、平凡社、1994年)から引用します。

「もしこの本を装幀するのであれば、紙葉の縁(へり)は揃える(トリム)だけにして断裁(カット)しないでください。どんなことがあっても、本を押さえつけてはいけません。活字の『刷り(インプレッション)』を潰してしまい、これが印刷の見た目を損ないますので。」

昨年の秋、シカゴのニューベリー図書館で閲覧した黄金伝説は、裏面に無様な跡を残すこともなく、手漉き紙に黒々としたインキでしっかりと刷られていました。
それは想像していたほどのディープインプレッションではありませんでしたが、モリス自身がデザインした活字が手漉き紙に残した痕跡を愛おしく感じたのでした。

2014年2月16日日曜日

空押し(デボス)と凹みの演出テクニック


空押し(デボス)は、金属版や樹脂版などの凸版で用紙を凹ませる加工です。
インキを着けずに刷る活版印刷という感覚なので、取り組みやすい加工であるものの、実は意外と奥が深い加工です。
空押しの魅力を十分に引き出すためにお伝えしたいことをまとめてみました。

エンボス加工との違い
凹の型(雌型)と凸の型(雄型)で用紙に圧を加え、浮き出しとなるのがエンボスです。
紙に立体的な加工を施すという点では空押しに似てるとも言えますが、全く別の加工としてその違いを認識しておく必要があります。
(上)雌型 (下)雄型

エンボスは紙の断面が凹凸状になりますから、浮き出した面の裏面は当然凹んでいます。
よって、裏面の絵柄との兼ね合いに注意する必要があります。
また、厚い紙に細い線や文字の組み合わせの場合、浮き出しの量が不十分になることがあり、この点にも注意が必要です。
エンボスについてご興味のある方はこちらの記事もどうぞ。

【印刷実験】エンボス加工あれこれ
http://kappan.did.co.jp/2013/03/blog-post_14.html

一方、基本的に空押し(デボス)の裏面は平らです。
(後述しますが、制作意図によりあえて凸にするケースもあります)
しかし、用紙の種類や圧の掛け方などによって僅かに跡がつくことがありますので、裏面のデザインへの影響も含め、十分な打ち合わせが必要です。

用紙の種類
薄い紙は凹みが浅くなりますので空押しにはあまり用いません。
厚紙が使えない用途の場合は、エンボスの方が良いかもしれません。
通常は凹みが目立ちやすい紙厚0.4mm以上をおすすめしていますが、薄めの紙で凹みを目立たせるために胴張りを柔らかく仕上げる方法があります。
柔らかい胴張りが凹版の役割りをして裏面が凸状になりますが、エンボスとは異なり、凸部のエッジがボケてしまいます。
出来損ないのエンボスのような印象を与える可能性もあり、この場合はしっかり用途を選ぶ必要があります。

紙厚0.4mm以上となると、嵩高の紙で<180>からになりますが、下の画像にある通り、紙厚は同じ連量(坪量)でも銘柄によって大きく異なります。
特殊紙の場合、紙厚の判断は連量(坪量)ではなく、見本帳などで現物を確かめるのが基本です。
(お手元に現物が無い場合はお問い合わせください)

連量(坪量)と紙厚の関係から、紙の硬さの傾向も見えてきます。
すなわち、同じ厚さの紙でも、軽ければふんわりした嵩高の紙、重ければ締った硬い紙と言えます。

(竹尾さんのwebより引用させていただきました。http://www.takeo.co.jp/site/paper/weight/ 

紙の表面にテクスチャのあるものは、空押し部分が平滑になることで凹みが強調されますが、硬い紙はその効果が期待できない場合もあります。
なお、凹み具合は用紙の硬さや腰などや、デザイン(版の面積や混み具合)、印刷機の種類(プラテンorシリンダー)にも大きく影響を受けます。

用紙の色
白以外の用紙では凹みが目立ちにくくなりますが、下の画像の(上)のように濃色でも視認性が良い場合もあります。
空押し部分に圧による光沢が出て、マット調の白紙部分とのコントラストが出ると、濃色の紙でも空押しの存在感がでます。
一方、逆の理由で(下)のようにほとんど目立たない場合もあります。
紙色の濃淡以外にも注意が必要で、視認性が心配なときは本紙校正が安心です。

凹みの強調と演出テクニック
絵柄の内容や用紙の種類によっては、空押し部分の視認性が不足していると感じる場合があるかもしれません。
特に、文字や細い線の場合や、空押しを主役とする場合に、もう少し目立たせたいという事があります。
そんな時に使う凹みの強調と演出方法をご紹介します。
空押しとはちょっと違った効果を使いたいという時にも応用できます。
デザインのコンセプトによって、最適な加工方法をご検討ください。

熱空押し
熱空押しと言えば、パチカ、OKムーンカラー、OKフロートなどで、加熱部の色を変化させる加工としてご存じの方も多いと思います。
なに活では、通常の空押しでも凹みを強調したい時に用いることがあります。
下の画像は、空押しと熱空押しの比較です。紙、版、印刷機など、他の条件は全く同じです。
画像では判りにくいですが、エッジの立ち方がシャープになり、空押し部の色が僅かに濃くなっています。













(左)空押し (右)熱空押し

メディウムや同色系インキによる印刷
空押しではなくなりますが、メディウムや紙の色と同色系のインキ(白い紙には白インキ)で刷ることによりコントラストがつき、視認性が高まります。
主にインキを薄めるのに使うメディウムは、僅かに黄みを帯びています。
黄みの加減は、インキの盛り量と用紙の種類により変わります。
(上)が空押しで、(下)がメディウムで刷ったものです。
メディウムに他のインキをほんの少し加えると、華やか雰囲気になります。
下の画像ではプロセスブルーを混ぜています。(上)と(下)は配合量の違いです。
下の例はメディウムにスミを僅かに混ぜています。
透かしのような雰囲気にもなります。
糸で縫った雰囲気を白インキで表現する予定でしたが、刷りだしたところ少し印象が弱い感じがしました。スミをほんの少し混ぜたテスト刷りをお客さまにご提案させていただき、スミ配合のインキに変更となりました。
スミを入れすぎると糸の雰囲気が出なくなってしまうので、配合のテストは念入りに行いました。
(上)は白+スミ少し、(下)が白のみの印刷です。

印刷実験とサンプルプレゼント
久しぶりに印刷実験をしました。
絵柄(飾り罫)と文字が、空押しでどのように再現されるかをご覧いただこうと、なに活のショップカードの版で実験です。
用紙はクッション紙の0.6で、空押し、メディウム、メディウム+スミの3種を試しました。
この紙はインキを良く吸って発色が鈍くなる傾向があり、空押しとメディウムの差はあまり出ませんでした。
空押しの場合、特に小さな文字の視認性は物足りないと感じました。

印刷実験【クッション紙と特Aクッション】
http://kappan.did.co.jp/2011/02/blog-post_24.html

(左)空押し (中)メディウム刷り (右)メディウム+スミ刷り


印刷実験で作成したサンプルをプレゼントします。 終了しました
空押しをご検討の際の参考資料としてお役立てください。 

※下記の応募フォームよりご応募ください。
※応募の締め切りは、2月28日(金)です。
※応募者が予定数を超えた場合は抽選になります。
※発送は3月初旬の予定です。
※当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。


空押しのご相談・お見積りは
http://kappan.did.co.jp/p/blog-page_24.html



2013年3月14日木曜日

【印刷実験】エンボス加工あれこれ

久々に印刷実験してみました。
みなさん既にご存じとは思いますが、まずはおさらいから。

(エンボスとは)
エンボス加工とは、凹の型(雌型)と凸の型(雄型)で紙に圧を加え、絵柄を浮き出させる加工です。
加工した部分の断面は凹凸になり、裏面は凹んだ状態になります。
裏面に絵柄がある場合は注意が必要です。

(エンボス以外の加工方法と注意点)
他に浮き出しの方法として、バーコ(サーモグラフィー)、スクリーン印刷(UVインキ)やインクジェット(UVインキ)によるものがありますが、エンボスとは異なり紙の断面は凸状です。
なお、オフセット印刷でも、回数を重ねればだんだん盛り上がってきます。
こちらは、スタッフのしろがUVオフセットでやった実験です。
http://uv.did.co.jp/wordpress/paper/%e3%80%90%e5%8d%b0%e5%88%b7%e5%ae%9f%e9%a8%93%e3%80%91%e6%9c%80%e5%a4%a7%ef%bc%92%ef%bc%93%e5%9b%9e%e3%81%ae%e9%87%8d%e3%81%ad%e5%88%b7%e3%82%8a%e3%82%92%e3%82%84%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%bf%e3%81%9f_5575/

空押し(打ち込み、デボス)は凸状の版で、インキを用いずに紙を凹ませる加工です。
白紙部分とのコントラストをつけるため、あえてメディウム、白や極薄い色などで印刷をする場合もあります。
用紙の種類や特殊な加工においては、熱を加えながら行うこともあります。

デザインの内容や用紙によって、各方式の加工適性や仕上がりが異なります。
例えば、バーコは紙に熱を加える為、熱に弱い紙は使えません。
また、浮き出し、盛り上げという言葉は、様々の加工方式に混用して用いられることがあります。
発注先とよく打ち合わせを行い、行き違いが生じないよう注意しましょう。
なお、なに活では、スクリーン印刷(UVインキ)とインクジェット(UVインキ)による盛り上げ印刷は行っておりません。

それでは早速実験してみましょう!

(かすれた感じ)
なに活では通常、雌型に亜鉛の腐食版を使っています。
微妙なカスレ具合の完全な再現は難しいので、製版会社さんには「成り行きで」とお任せしました。
データと若干異なるニュアンスになりますが、再現できました。

(小さな文字、細い線)
小さな文字や細い線は、十分に盛り上がらなかったり、再現できない場合があります。
この写真からも盛り上がり方の違いが判ると思います。
紙はクッション紙の0.5、最小の線巾は約0.6pt(約0.2mm)です。
一概には言えませんが、最小線巾が紙の厚さの半分を超えると影響が出始めると考えていいと思います。

(用紙の種類)
用紙によって盛り上がり方に違いがありました。
嵩があって柔らかい紙は、プックリとより立体的な感じがします。
(上)左:特Aクッション 右:GAファイル ブルージーン
(中)OKマシュマロCoC
(下)左:ハーフエア ヘンプ 右:クッション紙


(用紙の色)
立体感を感じるのは、主に影によるものですから、濃い色の紙(特にマット系)では浮き出しが目立ちにくくなります。
光を良く反射する紙では、光の加減によって光沢が変わる部分があるので、マット系よりは認識しやすくなる感じです。
(上)プライク レッド
(中)クッション紙
(下)スペシャリティーズ №357-N

画像では黒っぽく見えますが、スペシャリティーズ №357-NはPETを貼合した青い紙です。
実物のエンボス部分は、もう少しはっきり見えます。
光の加減によって光沢感が変わりますので、プライクよりは認識しやすい感じです。

(いろんな紙)
桃はだはエッジが不鮮明な感じで、滲んだ感じに見えます。
以前の空押しの経験からすると、熱を掛けながら加工することでエッジはシャープに仕上がると思います(要検証です)。
なに活のお気に入りは玉しき あられ。
デザインを上手に組み合わせれば、素敵なエンボス作品になる予感がします。

(まとめ)
・デザインと用紙にふさわしい加工方式を選択しよう。
・細い線、小さな文字と紙の厚さに注意。
・用紙の色と、浮き出しの見え方に注意。
・加工を依頼する先と十分に打ち合わせを。
 (具体的な相談には、デザイン案を)

(サンプルプレゼント)終了しました
なに活のFacebookページに「いいね!」を下さっている方に、抽選で5種のサンプルセットをプレゼントします。
ご応募の締め切りは3/31(日)で、申込み多数の場合は抽選とさせていただきます。
当選の結果は、発送をもって代えさせていただきます。
お申込み方法はこちらをご覧ください。
http://www.facebook.com/nanikatsu

(用紙の種類)
特Aクッション、ハーフエア ヘンプ、クッション紙、GAファイル ブルージーン、OKマシュマロCoC

特Aクッションには、マーブリングの小口染めをしてみました。



2012年5月28日月曜日

【印刷実験】空押しとメディウム

先週のワークショップで質問をいただきました空押しとメディウムによる印刷の比較をご紹介します。
左が空押し、右がメディウムで印刷したものです。
画像では判りにくいですが、実物でははっきりと違いがわかります。
(画像をクリックすると拡大します)
メディウムは完全な透明ではなく、ごく薄い黄色になります。
よって、白紙面とのコントラストがはっきりして、絵柄の存在感を強調します。
(用紙はクレーン レトラ 110# Fluorescent White)


メディウムに他の色をほんの少し混ぜるのも良いです。
こちらは、青インキを若干加えたものです。
左と右は配合が異なり、右が濃いです。
ともに上記よりも絵柄がはっきり見えると思います。
(用紙はクレーン レトラ 110# Fluorescent White、印刷はメディウム+プロセスブルー)


スミと混ぜると透かしのようにも見えますね。
こちらも左と右は配合が異なり、右が濃いです。
(用紙はクッション紙0.5、印刷はメディウム+ブラック)


この組み合わせがお気に入りで、Prismのポストカードにも使っています。
大地の地割れをメディウム+スミと、強印圧による凹みで表現しています。

用紙の種類によっては、箔押しユニットを使って熱空押しをする場合もあります。
例えば桃はだのようにフンワリ腰のない紙は、熱空押しにより絵柄のエッジをシャープ出すことができます。

凹んだ部分に出来る影が凹みを印象付けるので、薄い紙や濃い色の紙では凹みが目立たない場合があります。
そんな時にもメディームをぜひご検討ください。
なお、0.4mmより薄い紙は、凹み(デボス)よりも凹凸を付けるエンボス加工がおすすめです。

仕様についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
印刷・加工見本をご覧いただくのが一番わかりやすいので、お近くの方でしたらご来社も歓迎します。

2012/5/29
印刷サンプルプレゼント(終了しました)
サンプル希望のリクエストにお応えして、少量ですがサンプルをご用意しました。
(1):空押し
(2):メディウム
(3)~(5):メディウム+プロセスブルー
の5種です。
(用紙は水彩紙エクセル<220>)
「メディウム印刷サンプル希望」と明記のうえ、こちらからお申込みください。
応募者多数の場合は、抽選になります。(5/31締め切り)
当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。

2012/5/30
インキの色・・・WSでチャレンジしたい方へ
左上から時計回りに、プロセスブルー、メディウム、印刷見本3、4、5の特色。
インキの色が印刷物より随分濃く見えます。
実際の発色は、インキ量、印圧、用紙の種類によっても異なります。
慣れるまで試行錯誤しますが、それもまた楽し。
WSでチャレンジされる方はご参考になさってください。












2012年3月16日金曜日

印圧について(1)

なに活に印刷のご注文をいただくお客さまの多くは、強印圧による凹みを希望されます。
他の版式には真似のできない、視覚と触角に訴える表現に惹かれて。
私も同じくそこに惹かれて始めたものですから、喜んでお引き受けしています。
ところが、活版印刷の全盛期を知る印刷人にとって、紙が凹むほどの強い印圧(その目的が演出であっても)は忌み嫌うべき対象であることをお伝えすると、皆さん大変驚かれます。
強印圧が嫌われた理由とは何だったのでしょうか。

一番の理由は、活版印刷の主役であった活字の存在です。
鉛が主体の合金である活字は柔らかく、強印圧であっけなく文字が潰れてしまいます。
(印刷機の損傷を防ぐため、版胴や圧胴の材質より弱くなくてはならない)
また、過剰な印圧は印刷機の精度の狂いや寿命を縮める原因になるのも理由の1つです。
それに加えて、強印圧の凹みが映えるのは紙厚0.4mm以上の厚紙ですから、当時の用紙事情もあったかと思います。
そのような背景から、活版印刷に携わる方々の印圧に対する価値観が形成されたのだと思います。

印圧大好きの私でも、手フートのように強印圧を想定して作られていない印刷機や、活字での強印圧は好みません。
正直に告白すると、かつて私も活字をダメにしたことがあります。
文字が醜く変形した活字に気付いた時、とても悔やみました。
愚かなことに、このとき初めて活字が繊細であることに気付いたのです。

強印圧に関する賛否の議論は、今やDeep Impression(強印圧)がトレードマーク?のアメリカのレタープレス界でも同様です。
しかし、商業印刷の主役の座を譲った活版(凸版)印刷・レタープレスが近年見直されているのには、Deep Impression(強印圧)が大きな影響を与えてきたのは間違いありません。
ただし、それには条件がありました。

アメリカのプリンターにDeep Impression(強印圧)が拡がったのは、Photopolymer Plate(感光性樹脂版)と厚いコットンペーパーの存在が大きかったはずです。
柔らかいコットンペーパーを凹ませるには、硬い樹脂版で十分実用になると評価されたからでしょう。
どんなに硬い樹脂版でも強印圧を掛ければ変形しますが、オールド印刷機を労わる上では安心材料という訳です。
用紙の銘柄とデザインの内容にもよりますが、樹脂版による強印圧も十分実用になります。
(ポイントは最適な特性を持つ樹脂版を選択することです)
これが私が樹脂版を好む理由でもあります。

つづく

2012年1月16日月曜日

凹み重視の用紙選びのヒント

強印圧による凹みを出したい時は、用紙選びに注意が必要です。
用紙の厚みは0.4mm以上が望ましいのですが、同じ厚みでも銘柄によって凹み方に違いが出ます。
フワフワした腰の無い紙とか硬い紙は、思ったように凹みが出ないことがあります。
そういう銘柄に過剰な印圧を加えてみても、線画の周囲が歪んで醜く盛り上がったり、裏面に影響が出たりするだけだったりします。

そこで誰にでも簡単に凹み易い紙を見つける方法をご紹介します。
それは…、机などに直接紙を置き、爪を立てて押す。
これだけです。
複数の銘柄を比較するときは、力加減をできるだけ一定にするのがポイントです。
凹み具合に関する要素は他にも版の面積、デザイン(ベタor線画)、印刷機の種類(プラテンorシリンダー)がありますので参考程度の情報にはなりますが、だいたいの傾向はつかめると思います。
左から、気泡紙U、ディープマット、クレーンレトラです。
コットン100%のクレーンレトラは、アメリカで定番の銘柄だけに良く凹みます。
ディープマットも良い感じです。
気泡紙Uはあまり凹みませんでした。

2010年9月24日金曜日

印刷実験【樹脂版と金属版】

二種類の用紙で樹脂版と金属版の比較テストをしてみました。
用紙はジェントルフェイス<175>;、印圧は標準で名刺を刷りました。
見分けがつきますでしょうか?

左が樹脂版で、右が金属版(亜鉛の腐食版)です。
出力線数が異なりますので、網の形状の違いは無視してください。














次はCrane Lettra 220#で、名刺サイズのカードです。
紙厚が約1㎜の100%コットンペーパーですので、デボス効果を狙って印圧を強めに掛けました。
こちらは金属版(亜鉛の腐食版)です。














こちらは樹脂版です。

ここで使い分けのポイントを。
印圧とシャープさの両立を求めると金属版が優位ですが、版の面積に比例して樹脂版と金属版の価格差は大きくなります。(樹脂版<金属版)
下記に当てはまる場合は、樹脂版も含めてご検討いただく事をおすすめしています。

 ・ハガキ以上の判型で全面にデザインがある
 ・小ロット
 ・イラストや線画が大半のデザイン
 ・小さな文字や明朝系の文字を使っていない
 ・印圧によるボリューム増を考慮してあらかじめデータを調整できる

また、アメリカでよく用いられているディープレリーフタイプの樹脂版も在庫しています。
こちらのタイプはメタルベースの輸入待ちのため、当面名刺サイズのみの受注となりますが、紙厚1㎜程度の比較的柔らかい用紙にデボス効果を狙った印圧を掛ける時に向く樹脂版です。
通常の樹脂版よりレリーフ深度がありますので、より深いデボス効果を得ることができます。
本来は輸出専用銘柄ですので、国内でこの樹脂版を持っているところは珍しいはずです。
メタルベースが揃いましたらトライアルキャンペーンを企画する予定ですので、ぜひ一度お試しください。
版の種類につきましては、用紙の銘柄、印圧のご希望、数量、デザイン案をお知らせ頂きますと案件毎にご提案をさせていただきます。




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