1954年に発行された1000部の限定本で、ツァップさんがご自身で選ばれたタイポグラフィーに携わる人たちの引用句を100ページにわたりデザインされました。
ツァップさんデザインのPalatino, Sistina, Meliorなどをはじめ、ステンペル活字鋳造所の金属活字によって各ページそれぞれがデザインされています。
「活字の美しさとその多大な表現の可能性を示す」というコンセプトの通りの100ページのデザインを眺めていると時を忘れてしまいそうです。
ウィリアム・モリス、フレデリック・ガウディ、エリック・ギルなどの引用句を味わうもよし、ツァップさんの金属活字の印刷見本としても貴重な資料と言えるでしょう。
ノンブルは紙色に近いインキで印刷されていますが、凹みが付けられて視認性に劣るということはありません。
本文に対し主張しすぎず、視認性も両立と絶妙なデザインだと感じました。
本文は裏面に影響が出ないように刷られていますが、ノンブルは凹みを演出するためにあえて強印圧で刷られているのが良くわかります。
レタープレスならではのブックデザインと言えるのではないでしょうか。
限定本であることを考慮しなければなりませんが、それでも1950年代に強印圧を表現意図として取り入れていたという事実は記憶に留めておきたいと思います。
閲覧をご希望の方がいらっしゃいましたらお知らせください。
【Prismショップよりお知らせ】
MANUALE TYPOGRAPHICUM(1970年)が入荷しました。
Hermann Zapf著
The MIT Press
1970年発行
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1954年のオリジナルをもとにしたオフセット印刷による復刻版です。
残念ながらレタープレスではありませんが、活字や組版の美しさを堪能するにはもってこいです。
Prsmショップの店頭かオンラインショップでお買い求めいただけます。
11,880円(税込み、送料別)
詳細は下記のリンク先をご覧ください。
http://letterpress.theshop.jp/items/2331686