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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2017年11月18日土曜日

【印刷実験】水性インキと活版印刷

昨日は、ある作家さんの立ち合いのもとに作品の印刷を行いました。
12センチ弱の長方形の用紙に文字のみの印刷ということで、普通に刷る分には何の問題もないのですが、今回は特別なリクエストがありました。
「印圧を強くして文字に凹みをつけ、ムラやカスレと滲みが欲しい」とのこと。
当初は活字を使う案もありましたが、強圧を掛けることもあり見送ることに。
凹凸のある用紙を選び、胴張り紙にエンボス系の紙を用いることで意図的にムラやカスレを狙うことにしました。
5種類のエンボス紙を用意して、テスト開始です。
















印圧が低いとムラやカスレは出るのですが、文字が凹むほど印圧を掛けていくと期待するほど効果が出ませんでした。
また、滲みの効果はインキ量を多くして狙ってみるつもりだったのですが、カスレ、ムラにとっては逆効果。
そこで作戦を変更して水性インキを使ってみることにしました。
水性インキは業務で用いることはほとんどありませんが、ワークショップ用に用意してあるのです。
ローラー上の水分を調整してから版にインキを着けた後、水を含ませたウェスで部分的に版を湿して印刷することで、作家さんの意図した箇所にムラや滲みを刷り取ることができたのです。
作品の一部分でもお見せしたいところですが、発表前の作品ですので今回は控えておきます。
















当初は印刷立ち合いの予定でしたが、インキ量と水分量のコントロールが作品創りのキモとあって、結局全ての印刷を作家さんに委ねることにしました。
















原稿を忠実に再現するのを良しとする印刷人にとって、カスレ、滲み、ムラにはとても抵抗感がありましたが、制作意図に従ってコントロールする感覚はとても刺激的で創造的に思えました。
偶然性に左右される部分もあり、これもまた楽しいです。
良く考えれば木版画やフレキソ印刷でも水性インキを用いますので、活版で使ってはいけないという事はありませんね。
刷っている間にローラー上の乾燥が進むので、水分量のコントロールがポイントになるのと、金属製のローラーのケアに注意が必要なことでしょうか。
それと木活字の場合は表面のシェラックニスが傷みそうですが、リペアの覚悟と引き換えに面白い効果が狙えるかもしれません。
凹みがありながらも、カスレ、滲み、ムラを作る手法は引き続き研究課題にしたいと思います。
ワークショップでも水性インキをお選びいただくことができますので、研究したいという方がいらっしゃいましたらぜひお知らせください。

2017年8月4日金曜日

【印刷実験】エンボス編

こんにちは。
暑い日が続きますね。
ダルくてやる気が出ないという時こそ印刷実験!
限界までエンボスで盛り上げるとどうなるか?
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
ジャジャーン
















答えは「紙が破れる」でした。
これは極端な例ですが、少しでも破れがあるとアウトですので、圧の調整は慎重に決めないといけません。

印刷用の版に色々な種類があるのと同様、エンボス版にも材質や製法のバリエーションがあります。
下の画像ですが、上下で盛り上がりが違うのがお判りいただけると思います。
これはオス版の材質の違いによる差です。
















上が樹脂版、下が金属版で加工したものです。通常はオス版に樹脂版を使うことが多いですが、細かい絵柄や硬い紙の場合は金属版を用いることがあります。
















裏から見ると違いが良く判りますね。
どちらが優れているかというより使い分けが肝心です。
デザインや用紙の種類によって最適な版を選びますので、お見積りのご依頼にはデザイン案を添えて頂けると有難いです。

2017年2月21日火曜日

樹脂版と金属版

樹脂版と金属版の違いについてよく聞かれますので書いてみます。
樹脂版と言っても様々の種類がありますし、金属版についても亜鉛、マグネシウム、真鍮、銅と様々で一概には言えませんが、一般的には

 コスト(安価) 樹脂>金属

 硬さ 金属>樹脂 

と言えます。
樹脂版は優れた版ですが、その特性を理解しないままコストだけで選択すると後悔することになるかもしれません。
(再現性(精度)、着肉性、耐久性などその他の特長は銘柄によって変わりますので、私が使用している銘柄という前提で進めます)

さて、下の画像は私の名刺ですが、左右どちらが樹脂版、亜鉛版かお判りになられますでしょうか?















ちょっと判りにくいですね。拡大して見ましょう。

















正解は左が樹脂版で右が亜鉛版です。
印刷条件は印圧以外が同じで、樹脂版が標準印圧で亜鉛版が強印圧です。
樹脂版は着肉性が良い分、少し濃度が上がっているようです。
本当は標準印圧同士で比較しなければなりませんが、刷るのを忘れてしまいました。
用紙の凹みはさて置き、文字の品質で樹脂版が劣るという事はありません。
ちなみに、下の画像の左は以前使っていた国産の亜鉛版で、右が輸入の亜鉛版です。
印刷時期が違うため印刷条件は異なりますが、左の方が僅かにシャープです。
原稿より少し痩せているのですが、こちらを好む方もおられるかもしれません。
同一データですが、FAXのセリフにも違いがありますね。
国産の亜鉛版は製造中止になったため、以前と同じニュアンスというのが難しくなってしまいました。

















樹脂版のお話しに戻りましょう。
優れた特性を持つ樹脂版ですが、用紙が凹む位に印圧を掛けると文字や線が太ってしまいます。
左が樹脂版で、右が亜鉛版、共に強圧です。
並べて見なければ気にならないかもしれませんが、凹みを求めてさらに圧を加えるとますます太くなっていきます。

















名刺で凹みが欲しい方にまず金属版をおすすめするのはこのためです。
ただし、大きいサイズの太ゴという場合には、太りが判らないために樹脂版で問題無い場合もあります。
また、凹み具合は
 絵柄の面積、密度
 用紙の硬さ、厚さ
 裏面への影響
によって変わります。
硬い紙に大きな絵柄という場合には、絵柄が太るばかりで凹まないという事も考えられます。
これらの点を踏まえて版の選択をお考えいただければと思います。
樹脂版と金属版はどちらも優れた版ですので、その特性を理解した上で使い分けるのが最善だと思います。
版種の選択に迷われたら提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。




2015年11月20日金曜日

1954年MANUALE TYPOGRAPHICUM

今秋、ロチェスター工科大学のCary Graphic Arts Collectionで見せていただいてからずっと気になっていたヘルマン・ツァップさんの著書「MANUALE TYPOGRAPHICUM」を入手しました。
















1954年に発行された1000部の限定本で、ツァップさんがご自身で選ばれたタイポグラフィーに携わる人たちの引用句を100ページにわたりデザインされました。
















ツァップさんデザインのPalatino, Sistina, Meliorなどをはじめ、ステンペル活字鋳造所の金属活字によって各ページそれぞれがデザインされています。
















「活字の美しさとその多大な表現の可能性を示す」というコンセプトの通りの100ページのデザインを眺めていると時を忘れてしまいそうです。
ウィリアム・モリス、フレデリック・ガウディ、エリック・ギルなどの引用句を味わうもよし、ツァップさんの金属活字の印刷見本としても貴重な資料と言えるでしょう。
















ノンブルは紙色に近いインキで印刷されていますが、凹みが付けられて視認性に劣るということはありません。
本文に対し主張しすぎず、視認性も両立と絶妙なデザインだと感じました。
















本文は裏面に影響が出ないように刷られていますが、ノンブルは凹みを演出するためにあえて強印圧で刷られているのが良くわかります。
















レタープレスならではのブックデザインと言えるのではないでしょうか。
限定本であることを考慮しなければなりませんが、それでも1950年代に強印圧を表現意図として取り入れていたという事実は記憶に留めておきたいと思います。

閲覧をご希望の方がいらっしゃいましたらお知らせください。

【Prismショップよりお知らせ】
MANUALE TYPOGRAPHICUM(1970年)が入荷しました。
Hermann Zapf著
The MIT Press
1970年発行




















1954年のオリジナルをもとにしたオフセット印刷による復刻版です。
残念ながらレタープレスではありませんが、活字や組版の美しさを堪能するにはもってこいです。
Prsmショップの店頭かオンラインショップでお買い求めいただけます。
11,880円(税込み、送料別)
詳細は下記のリンク先をご覧ください。
http://letterpress.theshop.jp/items/2331686

2015年11月15日日曜日

本当の活版印刷???

今また活版印刷が見直されているのは、商業・出版印刷の最大の使命である経済的な大量複製術としての効率性や標準化の追及で無いことは明らかでしょう。
活版印刷が商業・出版印刷の主役の座を完全に譲ったのは1970~80年代のことでした。
30年以上も昔の、商業・出版印刷としての活版印刷の価値観を今に当てはめるのは、とても窮屈なことだと思うのです。

下記の質問について、皆さまはどうお答えになられますでしょうか?

(1)紙を凹ませるのは本当の活版印刷ではない

(2)活版印刷の裏面は全て凸状に出っ張る

(3)樹脂版は金属版に劣る

私の答えは全てNOです。

(1)19世紀のプライベートプレスのウィリアム・モリスは、凹みは活版印刷の魅力と言いました(ただし、これを示すメモが貼付された黄金伝説には極端な凹みはない)。

(2)裏面が凸状に出っ張るのは軟らかい胴張りを用いる為ですが、文字や線の品質が劣り、活字の消耗も早める事になります。
全盛期には効率化や経済性重視のため、柔軟性のあるブランケットを固定して用いるケースもありましたが、本来は限定的に用いるべきものです。
よって必然性が無い限り用いるべきでない印刷方法です。

(3)標準印圧で刷る限り、非常にシャープに仕上がります。金属版は腐食という工程上、痩せる傾向にあることも考慮すべきです。
亜鉛版が輸入品に切り替わった今、亜鉛版がこれからもベストの選択であるとは限りません。
デザイン、用紙、表現意図、予算によって使い分けるものと考えます。

個人の趣向や信念について意見をするつもりはありませんので、個人の価値観として語られる分については問題無いと思います。
しかし、「活版印刷はこうあるべき」や「こういうものだ」などと前提条件もなく唯一無二の価値観として語られる時には警戒してください。
活版印刷を発注する側にも、他者の受け売りではなく自分自身で見極める力が必要なのです。
カスレやムラなくという本来の姿もあれば、表現の意図によってはその逆もまた正解です。
不自由さのなかに表現の自由を求めることができるのが今の活版印刷の魅力だと私は思うのです。


(参考)強印圧による凹みが嫌われる5つの理由
http://kappan.did.co.jp/2015/01/5.html

2015年1月28日水曜日

強印圧による凹みが嫌われる5つの理由

いま私が刷っている印刷物は、名刺、カード、招待状などが中心です。
頂戴するご注文は、厚い紙に凹みがつく強い印圧のご希望が大半です。
私も凹みは大好きですので、紙とインキの物質としての存在感を際立たせているものとして喜んでお引き受けしています。
皆さまと同じで、インキの有無を除けば空押しと同じ感覚です。

お客さまには大変驚かれることが多いのですが、活版印刷が商業印刷の主役だった頃を知る印刷人にとって、凹みは下手の証しとして忌み嫌う方が大半のようです。
これにはちゃんと理由があるのですが、いくつかの理由が積み重なって、ただ感情的に嫌悪感のみを語られるケースも見聞きします。
凹みが嫌われる理由を整理してみようと思います。

【第一の理由】活字の寿命
鉛、錫、アンチモンの合金から作られる活字は金属のイメージに反して非常に短命であり、過剰な印圧はその寿命をさらに縮めてしまうことになります。
私は強印圧を中心にしているため、主に樹脂版と金属版を使用しています。

【第二の理由】印刷機の寿命
過剰な印圧は印刷機にとっても歪み、摩耗、破壊の原因になります。
私は過剰印圧に対する安全装置付きの動力式の印刷機を使っていますが、強印圧を好むプリンターにとって常に悩ましい問題です。

【第三の理由】印刷へのニーズ
活版印刷の活躍の舞台であった出版印刷物(本や雑誌)、広告宣伝印刷物(ポスターやチラシ)や事務用印刷物(伝票や封筒)にとって、「凹み」という「演出」は機能的な意味を持たなかったからです。
また、名刺やカード類の端物(はもの)と呼ばれるジャンルにおいても、当時は厚い紙を凹ませる印刷には価値が見出されなかったのです。

【第四の理由】技能の証し
印刷機や活字の精度の問題と絵柄の混み具合によって、必要最小限の印圧で刷るにはムラ取りの手間暇がかかり、その良否が品質に影響を及ぼします。
その為、技量の下手を印圧で誤魔化す行為は、腕の良い職人から嫌われました。
余談ながら強印圧は簡単というのは誤解で、強印圧で綺麗に刷るにはインキ量をはじめ標準印圧とは異なる調整が必要です。

【第五の理由】強印圧のノウハウ不足
胴張りをブランケットなどで柔らかく仕立てた場合、強印圧を掛けると出来損ないのエンボスのように裏面が飛び出ます。また、文字や線がダブったように印刷品質が劣ります。
これらの印刷物のみを見て強印圧の評価とされているケースもあるようです。
強印圧の際は、標準印圧とは異なる胴張り資材の選択が品質の決め手になります。

【強印圧の是非について】
印刷所の立場から見ると、強印圧を嫌う理由は十分にご理解いただけたと思います。
しかし、凹みのリクエストを躊躇う必要は全くありませんので、どうぞご遠慮なく。
私は活字に強印圧を掛けるのを好みませんので樹脂凸版と金属凸版を使いますが、母型と鋳造設備を持っていればきっと答えは異なることでしょう。
価値観はそれぞれの時代背景や環境によって変わるもので、絶対の価値などというものは無いと思うのです。
凹みの有無にどちらが正解かなんて事はありません。
私は強印圧の是非を語る事より、皆さまと活版で何を作るかを大事にしていきたいと考えています。

19世紀のプライベートプレスのウィリアム・モリスは、凹みが良いのだということを言っています。
自らデザインした活字と手引き印刷機で理想の書物を追及したケルムスコット・プレスの『黄金伝説(The Golden Legend. Kelmscott Press, 1892)』に貼付された署名入りの文章を引用してみます。

IF this book be bound the edges of the leaves should only be TRIMMED, not cut.
In no case should the book be pressed, as that would destroy the “impression” of the type and thus injure the appearance of the printing.  W.MORRIS.


日本語訳を「ケルムスコット・プレス ウィリアム・モリスの印刷工房」(ウィリアム・S.ピータスン著、湊典子訳、平凡社、1994年)から引用します。

「もしこの本を装幀するのであれば、紙葉の縁(へり)は揃える(トリム)だけにして断裁(カット)しないでください。どんなことがあっても、本を押さえつけてはいけません。活字の『刷り(インプレッション)』を潰してしまい、これが印刷の見た目を損ないますので。」

昨年の秋、シカゴのニューベリー図書館で閲覧した黄金伝説は、裏面に無様な跡を残すこともなく、手漉き紙に黒々としたインキでしっかりと刷られていました。
それは想像していたほどのディープインプレッションではありませんでしたが、モリス自身がデザインした活字が手漉き紙に残した痕跡を愛おしく感じたのでした。

2012年3月16日金曜日

印圧について(1)

なに活に印刷のご注文をいただくお客さまの多くは、強印圧による凹みを希望されます。
他の版式には真似のできない、視覚と触角に訴える表現に惹かれて。
私も同じくそこに惹かれて始めたものですから、喜んでお引き受けしています。
ところが、活版印刷の全盛期を知る印刷人にとって、紙が凹むほどの強い印圧(その目的が演出であっても)は忌み嫌うべき対象であることをお伝えすると、皆さん大変驚かれます。
強印圧が嫌われた理由とは何だったのでしょうか。

一番の理由は、活版印刷の主役であった活字の存在です。
鉛が主体の合金である活字は柔らかく、強印圧であっけなく文字が潰れてしまいます。
(印刷機の損傷を防ぐため、版胴や圧胴の材質より弱くなくてはならない)
また、過剰な印圧は印刷機の精度の狂いや寿命を縮める原因になるのも理由の1つです。
それに加えて、強印圧の凹みが映えるのは紙厚0.4mm以上の厚紙ですから、当時の用紙事情もあったかと思います。
そのような背景から、活版印刷に携わる方々の印圧に対する価値観が形成されたのだと思います。

印圧大好きの私でも、手フートのように強印圧を想定して作られていない印刷機や、活字での強印圧は好みません。
正直に告白すると、かつて私も活字をダメにしたことがあります。
文字が醜く変形した活字に気付いた時、とても悔やみました。
愚かなことに、このとき初めて活字が繊細であることに気付いたのです。

強印圧に関する賛否の議論は、今やDeep Impression(強印圧)がトレードマーク?のアメリカのレタープレス界でも同様です。
しかし、商業印刷の主役の座を譲った活版(凸版)印刷・レタープレスが近年見直されているのには、Deep Impression(強印圧)が大きな影響を与えてきたのは間違いありません。
ただし、それには条件がありました。

アメリカのプリンターにDeep Impression(強印圧)が拡がったのは、Photopolymer Plate(感光性樹脂版)と厚いコットンペーパーの存在が大きかったはずです。
柔らかいコットンペーパーを凹ませるには、硬い樹脂版で十分実用になると評価されたからでしょう。
どんなに硬い樹脂版でも強印圧を掛ければ変形しますが、オールド印刷機を労わる上では安心材料という訳です。
用紙の銘柄とデザインの内容にもよりますが、樹脂版による強印圧も十分実用になります。
(ポイントは最適な特性を持つ樹脂版を選択することです)
これが私が樹脂版を好む理由でもあります。

つづく

2012年1月16日月曜日

凹み重視の用紙選びのヒント

強印圧による凹みを出したい時は、用紙選びに注意が必要です。
用紙の厚みは0.4mm以上が望ましいのですが、同じ厚みでも銘柄によって凹み方に違いが出ます。
フワフワした腰の無い紙とか硬い紙は、思ったように凹みが出ないことがあります。
そういう銘柄に過剰な印圧を加えてみても、線画の周囲が歪んで醜く盛り上がったり、裏面に影響が出たりするだけだったりします。

そこで誰にでも簡単に凹み易い紙を見つける方法をご紹介します。
それは…、机などに直接紙を置き、爪を立てて押す。
これだけです。
複数の銘柄を比較するときは、力加減をできるだけ一定にするのがポイントです。
凹み具合に関する要素は他にも版の面積、デザイン(ベタor線画)、印刷機の種類(プラテンorシリンダー)がありますので参考程度の情報にはなりますが、だいたいの傾向はつかめると思います。
左から、気泡紙U、ディープマット、クレーンレトラです。
コットン100%のクレーンレトラは、アメリカで定番の銘柄だけに良く凹みます。
ディープマットも良い感じです。
気泡紙Uはあまり凹みませんでした。

2010年11月18日木曜日

印刷実験【樹脂版と強印圧】&サンプルプレゼント

今日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日ですね。
便乗してサンプルプレゼントをやりますね。(何のこっちゃ)

なに活では亜鉛、マグネシウムなどの金属版と感光性樹脂版を、印刷サイズや紙質で使い分けています。
樹脂版にはベタに向く柔らかいものから、文字がシャープに出る硬いものなど、硬さにバリエーションがあります。
この案件では、樹脂版と金属版を組み合わせて使いました。(ベタを柔らかい樹脂版で、文字を亜鉛版の強印圧で刷りました)
(デザイン・制作:増田 大地 様)
用紙:特Aクッション0.6、刷色:PANTONE Violet、Neutral Black、Black、877 Silver

紙に跡を残すほど印圧をかける時、樹脂版はその圧によって変形し、文字や線が太ってしまいます。
印圧を必要とする印刷の場合、金属版を第一候補で考えるのですが、印刷版面が名刺サイズより大きくなると製版価格が気になってきます。

厚いコットンペーパーにデボス並みに印圧をかけるアメリカのレタープレス事情を調べてみると、意外にも樹脂版をよく使っているようなのです。
さらに調べてみると、画線部と非画線部の高さが通常より高いディープエッチタイプの樹脂版を使っていることが判りました。
そこで早速1枚輸入して調べてみると、なんと国内メーカーの製品でした。
ところが、その樹脂版の規格はメーカーのWeb(日本語版)には掲載されておらず、当然機材商社さんもご存知ありませんでした。
メーカーの営業マンに直接聞いて納得。輸出専用銘柄で、国内には流通していないそうです。
注文は受けてくれましたので、アメリカの深押しレタープレスと同じ資材が揃いました。

早速試してみると、印圧をかけても小さな文字や線のシャープさが残りますね。(赤のインキ)
金属版には敵わないですが、見比べない限り違和感は無いと思います。
文字がシャープに出る硬めの樹脂版(緑のインキ)でも若干太っていましたが、改善されています。
名刺以上のサイズで厚い紙に強印圧で印刷する場合は、ぜひディープエッチタイプの樹脂版もご検討ください。

ディープエッチタイプの樹脂版とクッション紙1.0、それにボジョレー・ヌーヴォーの解禁にあわせてワイレッドのインキとで刷ったサンプルを抽選で10名の方にプレゼントします。

ディープエッチタイプの樹脂版による印圧を是非手にとってご覧下さい。



ご応募は締め切りました。当選者には近日中に発送しますので、お楽しみに。
※下記の応募フォームよりご応募ください。
※応募の締め切りは、11月26日(金)です。
※当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。

2010年9月24日金曜日

印刷実験【樹脂版と金属版】

二種類の用紙で樹脂版と金属版の比較テストをしてみました。
用紙はジェントルフェイス<175>;、印圧は標準で名刺を刷りました。
見分けがつきますでしょうか?

左が樹脂版で、右が金属版(亜鉛の腐食版)です。
出力線数が異なりますので、網の形状の違いは無視してください。














次はCrane Lettra 220#で、名刺サイズのカードです。
紙厚が約1㎜の100%コットンペーパーですので、デボス効果を狙って印圧を強めに掛けました。
こちらは金属版(亜鉛の腐食版)です。














こちらは樹脂版です。

ここで使い分けのポイントを。
印圧とシャープさの両立を求めると金属版が優位ですが、版の面積に比例して樹脂版と金属版の価格差は大きくなります。(樹脂版<金属版)
下記に当てはまる場合は、樹脂版も含めてご検討いただく事をおすすめしています。

 ・ハガキ以上の判型で全面にデザインがある
 ・小ロット
 ・イラストや線画が大半のデザイン
 ・小さな文字や明朝系の文字を使っていない
 ・印圧によるボリューム増を考慮してあらかじめデータを調整できる

また、アメリカでよく用いられているディープレリーフタイプの樹脂版も在庫しています。
こちらのタイプはメタルベースの輸入待ちのため、当面名刺サイズのみの受注となりますが、紙厚1㎜程度の比較的柔らかい用紙にデボス効果を狙った印圧を掛ける時に向く樹脂版です。
通常の樹脂版よりレリーフ深度がありますので、より深いデボス効果を得ることができます。
本来は輸出専用銘柄ですので、国内でこの樹脂版を持っているところは珍しいはずです。
メタルベースが揃いましたらトライアルキャンペーンを企画する予定ですので、ぜひ一度お試しください。
版の種類につきましては、用紙の銘柄、印圧のご希望、数量、デザイン案をお知らせ頂きますと案件毎にご提案をさせていただきます。




2010年9月16日木曜日

Deep impression 印圧による表現

国内外問わず、本来の活版印刷は印圧を極力感じさせないキスタッチと例えられる印刷が高品質の証とされていたそうです。
用紙に形がつく程の印圧が嫌われたのは、インキの裏抜け、印刷所にとっての財産である印刷機と活字を消耗させるという理由とともに、形式美的な価値観の要素もあったようです。
それは、印刷する人の技能によって品質の差が大きく出るため、高度な技能の証という誇りが産んだ価値観のようにも思えます。
欧米でも同様のようで、「Deep impression」などのキーワードでWebを検索すると賛否両論の議論を見掛けます。
(貴重な活字に強い印圧をかけて消耗させるのは、私も好みません)

同じ凸版方式の仲間である活輪やフレキソ印刷、シールラベル印刷のように専門特化した例を別として、商業印刷の分野において活版印刷は極めて少数派になっています。
このような状況の中、私が活版印刷に興味を持ったのは、アメリカのLetter Press作品でよく見掛ける、印圧による彫刻やレリーフのような表現への興味からです。
これらの作品は、主に金属版や樹脂版によって印刷されており、自由なデザインが可能で、貴重な活字を消耗させることもありません。
letterpressというキーワードで画像検索
すなわち、箔押し、空押し(デボス)、エンボス加工と同様、インキを加えた表面加工という感覚です。

紙には、視覚だけでなく触覚(時には嗅覚も)をも刺激するメディアとしての可能性があり、印圧による表現(空押し、エンボス、箔押しを含む)ができる活版印刷機にはとても魅力を感じます。

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