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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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大阪府公安委員会 第62113R030016号 株式会社大同印刷所

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2018年7月20日金曜日

活版TOKYOのトークショーでお話しさせていただきます

活版TOKYO 2018で開催されるトークショーの午後の部でお話しさせていただくことになりました。
会場巡りの合間に涼みがてらお越しください。


7月29日 (日) 13:30 - 14:20
テラススクエア 2F
参加費 1,000円
入場券のお買い求めはこちらから
https://kappan-tokyo-talkshow02.peatix.com/ 

前半はアメリカ10州15都市を巡った修行の旅を通じて学んだことをお話しします。
印象的だった印刷所、活字鋳造所、印刷博物館、ワークショップ、図書館、大学などをご紹介します。
レンタカー&モーテルの一人旅の醍醐味や失敗談も。
後半はアメリカでの活字と印刷機と技能を継承する取り組みから学んだプロジェクト「活版レスキュー」の活動についてお話しします。
原動力は譲る人、譲られる人に加え、印刷機材の流通に関わる人も巻き込んだシンパシーにあり。

2016年12月28日水曜日

レタープレス修行の旅2016 その2

DAY 6 : 10月5日(水)スカニアトレス(ニューヨーク州)
活字鋳造から印刷まで手掛けるMichael and Winifred Bixlerを訪問しました。
昨年訪問した際の再訪の約束を果たすことができました。
















再会を喜び合ったあと、二日間のプロジェクトの内容について最終確認を。
モノタイプ社製の二種類の鋳造機で、私がオーダーした活字を一緒に作らせていただくのが今回の目的です。
まずはSuper Casterという機種でオーナーメントの鋳造からスタートです。

















Super Casterの基本操作は昨年習いましたので、私が鋳造をさせていただきました。
タイミングを見計らって注油と地金の追加をします。
はじめはpigを入れてと言われて意味が判らなかったのですが、それって何?と聞くとingot(地金)のことだよと教えてくれました。pigはあまり良い言葉じゃないけど、とも。















希望の数を鋳込み終えたら母型を交換。















オーナメントの次ぎは書体の鋳造です。
一文字づつ母型を交換しながら鋳造を進めます。
母型は幅(セット)の順に並べられていて、セットの広いものから順に鋳造します。















欧文活字の鋳造では必須の作業となるセットの調整を習いました。鋳造機のダイヤルを操作して母型に打刻されたセットポイントの数値に調整します。単位は1/4ポイントなので、3/4から1/2へという場面などに慣れるのに少し時間がかかりました。















調整を終えたら1文字だけテスト鋳造してマイクロメーターで測定します。
マイクロメーターはインチ規格なので、こちらも慣れるまで大変でした。
仕様書にはポイントとインチの換算表があり、インチで誤差を確認して再調整という手順ですが、分数表記のポイントと、小数点のインチ表記という普段は全く使わない単位に苦戦させられました。

















DAY 7 : 10月6日(木)スカニアトレス(ニューヨーク州)
今日は自動で組版と鋳造をするComposition Casterの講習からスタート。Monotype社製の自動鋳植機は、文字を入力するキーボードと、鋳造機が別になっているのが特徴です。
キーボードは取り外しが可能で、フォント毎に異なるものをセッティングします。
















こちらがComposition Casterの鋳造機。















お鍋のようなケースに母型がセットされています。















入力した文字を記録したさん孔テープを鋳造機にセットします。
圧縮空気を利用して穴の位置を読み取り、母型庫を動かして鋳型に該当する母型をあてがいます。
















今回はフォントセットの鋳造なのでジャストフィケーションは利用していませんが、本文組版の場合は改行とジャスティフィケーションの情報も読み取り、鋳造と組版を同時に行います。















午後からはComposition Casterをマイケルにお任せして、Super Casterで昨日の続きを鋳造していた時です。
昼食を終えた午後、時差ボケの眠気に加えて鋳造に慣れてきた油断があったのでしょう。
母型を外した後に次の母型をセットし忘れたまま動かしてしまった事に気づいた時は、異音とともに鉛があちこちに飛び散っていました。
幸い怪我はありませんでしたが、飛び散った地金を清掃するのが大変で、マイケルに迷惑を掛けてしまいました。
再開したあとは、指さし確認をすることにしました。
「母型よーし」などとブツブツ言って指を差しているものですから、マイケルは不審に思ったかもしれません。
全ての鋳造を終えたのは17時。あっと言う間の二日でした。















手前の女性は、ここで活字鋳造を学んでいるジェシー。
マイケル曰く「Super Casterは彼女のものさ」という位に信頼を得ています。
活字鋳造と活版印刷を後世に伝えたいというマイケルとウィニーの想いと人柄に魅かれ、多くの人たちがここに集まってくるのです。




DAY 8 : 10月7日(金)ニューヨーク
朝一の飛行機でNYに移動。
運転好きの私ですが、マンハッタンだけはその気になれません。
空港からタクシーでホテルへ向かい、荷物を預けた後、地下鉄で製本資材で有名なTALASへ。
道具、材料、参考書とも品ぞろえが充実しています。
参考書をたっぷり購入したので、帰りの駅までが遠く感じました。
あいにくタクシーも見つからず、重い荷を持って次の目的地に向かう気力もなくなったのでホテルへ戻ってチェックイン。
















明日の予定を確認していると、地下鉄の移動では時間が足りない感じです。
ふとシェアリング・エコノミーの代表事例として挙げられるUberの事を思い出して調べてみると、評判もよさそうです。
早速、日本から持ってきたスマホでアカウントを登録しようととすると、SMSが必要とのことで行き詰ってしましました。
ナビゲーションの精度も不満でしたので、思い切ってプリペイド携帯を購入することにしました。

DAY 9 : 10月8日(土)ニューヨーク
ホテルの近くのBEST BUYでプリペイドのスマホを購入。
Uberのアカウントの登録を済ませ、ナビを頼りに地下鉄に乗ります。
最初の目的地は、BOWNE & CO. STATIONERS。
印刷所を併設した紙雑貨のショップです。
2011年に来た時は運営母体の事情により閉鎖されていましたが、地元の有志たちの働きかけもあり同年に再開されました。
不幸なことに翌年のハリケーン・サンディで浸水被害を被りましたが、泥水をかぶった活字の水洗いなどボランティアたちの協力で復旧しました。















紙雑貨がたくさん並ぶお店の隣りに、カードやポスターなどのオリジナルのプリントのみを扱う売り場が増えていました。















買い物を終えて店を出ると小雨が降ってきました。紙モノに雨は禁物。早速、Uberを利用することにしました。目的地を入力すると間もなくドライバーからコンタクトがあり、お迎えに来てくれます。
料金も明確でチップも不要。これだけでも安心ですが、Uberの良いところは、お客もドライバーも相互に評価をしあうというシステム。評価の悪いドライバーもお客もシステムを利用できないという対等な関係であるという点です。
迎えに来てくれた車は、車外も社内もすごくきれいです。
ドライバーも親切で礼儀正しい。
料金もリーズナブルなので、今日の移動はずっとUberにすることに。
重い荷物を抱えた雨のなか、空車のタクシーを求めて手を振り続ける人を横目に迎えの車が来る有難さを痛感しました。

The Center for Book Artsは、タイポグラフィーとブックアートをテーマにした学びと繋がりの場で、印刷と製本に関する設備とギャラリースペースが設けられています。
2011年のワークショップで箔押しを習った思い出の場所です。















当時、若い女性が足踏み式のプラテンプレスで印刷をしていたのが印象に残っています。
ジョブプレスと呼ばれるこのタイプは、給紙と排紙を手で行いますので、印刷中は常に手足をリズミカルに動かしています。
うっかりすると指を潰すこともある危険なプレスですので、張りつめた緊張感のなか、ダンスを踊っているかのような美しい動作にしばらく見とれていたのでした。















今回の訪問の目的は、ギャラリーの企画展。
レタープレスで作品制作をしているAmos P. Kennedy Jr.の作品展です。
彼の作品は、タイトルからも推察できるように、人種や政治をテーマにしたメッセージが込められています。
思想信条を作品のテーマにするというスタイルを私は好みませんが、不思議と彼の作品には魅かれるものがあります。















木活字を中心としたフォントやデザインから、感情的な声が聴こえてくるような音楽的なダイナミクスを感じます。















Uberを呼んでArtists & Fleasに。ここは雑貨系ばかりで紙モノはありませんでした。
次にZINEを扱うPrinted Matter, Inc.に。真実の口のようなモニュメントが目を引きます。店内の大きな書棚一杯にZINEが並べられ、日本の著者もちらほら。















今年の修行の旅はこれにて終了。
6年連続でアメリカに通い、来年で活版を始めて10年目を迎えることから、修行の旅シーズン1は今年で一区切りにしようと思います。
アジア、南米、ヨーロッパと他にも気になる国はたくさんありますし、手漉き紙をテーマにした旅もしてみたい・・・修行の旅シーズン2にむけて新たな構想を練っていきたいと思います。

レタープレス修行の旅2016 その1


2016年11月8日火曜日

レタープレス修行の旅2016 その1

6年目を迎えた修行の旅のレポートです。
昨年の入国審査で大変不愉快な思いをさせられたので、待ちに待ったLAのはずが着陸の時刻が近づくにつれて憂鬱な気分に。
ところが、いざ入国審査のフロアに行くと無人の機械に案内され、あっという間に手続き終了。
待ち時間無しであっさり入国できました。去年の禅問答のような不毛なやりとりは何だったんだろうと拍子ヌケです。
到着ロビーに出るとセールスパートナーのSakiが待っていてくれました。レンタカーを借り出し、ランチに。

DAY 1 : 9月30日(金)ロサンゼルス(カリフォルニア州)
ランチの後、前から行ってみたかったダウンタウンにある本屋さんのThe Last Bookstoreに到着。
古書が中心とのことでしたが新刊もありました。













ピンボケばかりで良い写真が撮れていなかったので、ご興味のある方は検索してみてください。面白い本屋さんです。















探していたタイポグラフィー関連の古本があったので購入。













さて、お手洗いにでもと思ったところで、トイレありませんの張り紙発見。コーヒーブレイクにするかと有名コーヒーチェーン店に入るも、ここも貸してくれない。
Sakiもそろそろと思っていたらしく、飲み物片手に二人してトイレ難民という笑えない状況に。
ようやく見つけた小さなショッピングモールのトイレの前にはガードマンが。
買い物客しか使えないそうなので、隣りのドーナツ店でドーナツを購入して間一髪セーフでした。
他の街のお店では、買い物したら快く貸してくれていたのですが、土地柄でしょうか。


DAY 2 : 10月1日(土)ロサンゼルス(カリフォルニア州)
今年もやって来ましたLA Printers Fair。
出店できるのはSakiのサポートのおかげです(旅行者が収益を上げる行為はできません)。
5年連続で来ているので覚えていてくれる方も増えてきて嬉しい限りです。
今年は木活字をピザ箱に詰めて販売する名物ベンダーの出店がなくて残念でした。















ミュージアムのあちこちで実演されているデモンストレーションや印刷体験で多くのお客さまが楽しまれていました。















プレスや機材の販売もいつも通りでしたが、Vandercookはありませんでした。昨年、2台目を購入した時は円安の時期だったので悩んだのですが、今にして思えば良いタイミングでした。















フェアのあとSakiを空港に送ってお別れです。私も夜の便でポートランドに向かい、定刻通り22時過ぎに到着。
レンタカーを借り出して雨の夜をモーテルに向かいます。
夜の運転はしないようにしているのですが、今回はスケジュールの兼ね合いでやむなく。

DAY 3 : 10月2日(日)ポートランド(オレゴン州)
イベント終了の安堵感と時差ボケの影響でしょうか。目覚めたのはお昼前でした。
あわてて出かけて、紙漉きと活版印刷のスペースを持つOblation Papers & Pressを訪問。
グリーティングカードと紙雑貨のお店の奥に工房が設けてあるというスタイルでした。
ここでは手漉きの耳付きコットンペーパーに印刷されたカードが気に入りました。
私もコットンパルプは入手済みでいつでも漉けるのですが何時になることやら。
常設の紙漉きスペースが羨ましかったです。















店の入口脇に置かれたタイプライター。ご自由にお使いくださいということのようです。この後、小さな男の子が二人やって来て夢中になっていました。















荷物が多くなってきたので国内線での移動までに日本に送ってしまうことにします。郵便局に行って箱と伝票をもらってきました。

DAY 4 : 10月3日(月)ポートランド(オレゴン州)
カードや雑貨を扱うLittle Otsuは、おしゃれなセレクトショップ的なお店でした。
日本製の雑貨が結構並んでいたのが印象的。
荷造りした荷物を郵便局に出しに行ったあと、レンタカーを駐車場に停めて徒歩で散策することに。
日本で使っているスマホをVerizonのプリペイドWifiに接続して案内を任せましたが、現在地の表示がまるでデタラメ(GPSはもちろんON)。
背の高い建物に囲まれたエリアだったせいかも知れませんが、突如変わる現在地に随分時間を無駄にさせられました。
そう言えば6年前のニューヨークでも同じような目にあったことを思い出し、旅の終盤に我慢できずにプリペイド携帯を購入したところ問題ありませんでした。
原因は判らないままですが、ひょっとしたらスマホ自体が4Gの電波をキャッチしていないと精度が出ないのかもしれません。詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。
目的の書棚を探すのも苦労する巨大な書店Powell's Booksに何とか到着。
限られた時間でしたので、欲しい本を見つけられず残念。

DAY 5 : 10月4日(火)移動日
アメリカの大きさをあらためて意識させられる移動日。















慣れてきたとは言え、搭乗前の厳しいセキュリティチェックや、乗り継ぎ便の遅延の心配などで飛行機での移動は気が重いのです。
早朝の4時前にポートランドの空港に到着、シカゴで乗り継いでニューヨーク州中央部のシラキュース空港に着いたのが17時前。















レンタカーを借り出し、スーパーでビールと食料を調達してモーテルに着いたのが18時過ぎ。移動時間に時差も加わるので一日仕事です。
明日からは旅の後半戦です。

つづく

レタープレス修行の旅 その2へ



2016年9月8日木曜日

臨時休業のお知らせ

LAプリンターズフェアへの出展のため、9月30日(金)~10月10日(祝)まで出張します。
つきましては、期間中の印刷・加工業務及び製版業務を臨時休業とさせていただきます。
なお、お問い合わせ、お見積りは対応致しますが、旅程や時差の関係上ご回答が遅くなることが見込まれます。
お客さまには大変ご不便ご迷惑をお掛けいたしますが、何とぞご理解賜わりたくお願い申し上げます。

2015年12月30日水曜日

レタープレス修行の旅2015 その4

飛行機とレンタカーでアメリカを西から東へ移動し、レンタカーの総走行距離は2,300kmになりました。
いよいよ6州9都市を2週間で巡った修行の旅のしめくくり。

「レタープレス修行の旅2015 その1」、
「レタープレス修行の旅2015 その2」と
「レタープレス修行の旅2015 その3」の続きです。

DAY 11 : 10月12日(月)ロチェスター(ニューヨーク州)
NY州ロチェスターにあるロチェスター工科大学(RIT)のCary Graphic Arts Collectionを訪問しました。キュレーターのスティーブがコレクションの案内をしてくれました。
















資料室に入ってすぐの壁面に、ローマのトラヤヌス帝の碑文の拓本が展示されています。
トラヤヌス帝の記念柱に刻まれた文字は、活版印刷術が確立された15世紀から今日に至るまでローマン体大文字のお手本として知られているもので、この拓本はエドワード・カティチが1936年に作成したものです。
















この時、エドワード・カティチが作成した碑文の複製がシカゴの某印刷会社にあるとのことで、昨年の修行の旅で訪問を計画していました。
残念ながら昨年はアポが取れず見学は叶いませんでしたが、今回、拓本ではありますが紀元2世紀に刻まれた文字を間近で確かめることができて嬉しかったです。
















パペチュアやギル・サンなどのタイプデザインで知られるエリック・ギルのレターカッティングの展示。
















エリック・ギルがデザインした書体見本帳で、本人の蔵書だったもの。
印刷に気に入らない箇所があったようで、書き込みがされている。
























数々のカリグラフィー作品や書体デザインで知られ、惜しくも今年の6月に永眠されたヘルマン・ツァップさんは1977年から10年あまり教鞭を執られていたこともあり、授業で板書した文字たちが残されています。
















奥様のグドルン・ツァップさんの作品も含め、カリグラフィー作品も多数収蔵されています。
羊皮紙の作品には1986年のサイン。
















レイド模様のある薄紙に、アメリカの詩人Walt Whitmanの詩を引用して書かれた1970年の作品。
2011年に東京で開催されたZapf展に行かれた方には見覚えのある作品ではないでしょうか。
Zapf展の図版解説から一部を引用させていただきます。
「dの小文字は、アセンダーが長い場合は上から書くが、短い場合は下から上に向かって書く。文字は書き始めに筆圧をかけ、途中で圧を緩め、終わりにかけてまた筆圧をかける」
















Zapfさんの1954年の著書Manuale typographicumの原稿が所蔵されていました。
















手書きの原稿、校正紙から校了紙まで全ページが保管されていました。
校正のやりとりは手紙も保管されていて、とても興味深かったです。
















背文字の箔押しの加工条件の比較と思われるテストピース。
圧や温度などの加工条件と、箔の切れを検討したものと思われます。
















ケルムスコット・プレスで使われていたハンド・プレスで、後にアメリカに運ばれ、フレデリック・ガウディが所有したプレス。
























私が訪問中にやってきた学生さんはウィリアム・モリスの研究をしているようで、スティーブがケルムスコットプレスの蔵書を取り出してきて講義を始めていました。
















スティーブにテーマやタイプデザイナーの名を伝えるだけで、書架から興味深い資料を次から次へと取り出してきてくれます。
はじめは工科大学のイメージから想像し難かったのですが、ここはタイポグラフィーの博物館と言えるでしょう。
タイポグラフィーの貴重な史料を手に取りながら学べる環境がとても素晴らしいと思いました。

※写真は RIT Cary Graphic Arts Collection の掲載許可を得ておりますので、無断複製、転用はご遠慮ください。



DAY 12 : 10月13日(火)ロチェスター(ニューヨーク州)
カレンダー用の木活字をカッティングしていただいたVirgin Wood Typeを訪問しました。
先週はLAとランカスターのプリンターズフェアに出店されていて、「この1週間は良く会うわね」とジョークでお出迎えいただきました。
つづいて「どれだけ木活字を買ったの?」と聞かれてドキッ。
LAとランカスターでピザ箱に入った木活字を抱えているところをしっかり見られていたようです。
Virgin Wood Typeは2010年に故Bill JonesとGeri McCormickご夫妻がAmerican Wood Typeの機材を入手されて創業された新しい工房です。
ハードメイプルの木口を昔ながらのパンタグラフによってカッティングし、手仕上げを施すという昔ながらの製法に拘っておられます。
















伝統的な書体のみならずオリジナルの書体にも注力されています。
こちらは木活字の原型となるパターンです。
















木活字の材料となるのはハードメイプルで、木口にシェラック・ニスを塗布し、乾燥後にサンディングして表面を磨きます。
















天然の素材ということもあり、高さ(Type-high)の管理が難しいそうです。
こちらは高さを測定する専用のゲージ。
















材料を固定します。
















パターンをセットして、パンタグラフでなぞるように動かします。
















パンタグラフの操作によって材質を固定しているテーブルが動き、高速で回転する刃によって削られます。
















昨年訪問したHamilton Wood Type Museumで見たパンタグラフは、こちらとは逆でドリル刃の方が動く仕組みになっていました。
そのことをお聞きすると、こちらのパンタグラフはAmerican Wood Typeが作らせた特注品とのことでした。
















一見簡単そうにも見えるカッティング作業ですが、刃の動かし方に習熟が必要で、これを誤るとエッジが傷んで失敗作になるのだそうです。
最初は気ままに動かしているように見えますが、しばらく見ていると刃を動かす方向やスピードにリズムがあることに気づきます。
それでもベテランと言えど不良品は出るようで、天然の素材ならではの難しさが伺える不良品入れです。
















ご主人のBillが病に倒れた時、Geriは数名の協力者のサポートによりカッティングを続ける決意をし、現在はMatt Rieckとの共同作業で製作を続けています。
Geriがカッティングを終えた後、ルーターの刃が入らない細部をMattがヤスリやナイフによって仕上げます。
















完成後、Vandercookで校正刷りをします。
















インキの替わりにカーボン紙を用いるため、インキは使いません。
Geriが「だからバージンのままよ」と冗談を言って笑わせてくれました。
















Mattの校正刷りにGeriのOKがでれば出荷という流れだそうです。
見学を終えるとジェリのアンティークの木活字のコレクションの数々を見せてもらいながらの木活字談義。
コレクションの全てを見終わるとGeriが「時間ある?」と聞いてきました。


















【Genesee Center for the Arts & Education】
Geriがメンバーの地元のアーツセンターGenesee Center for the Arts & Educationに連れて行ってくれることになりました。
Mattは仕事が残っているということでお留守番。
私のレンタカーでGeriに道案内をしてもらうことになりましたが、指示をちゃんと聞き取れるか心配になって緊張してきました。
何とか指示を聞き間違うことなく無事到着。
















中に入ると地元のブックアーティストがちょうど木活字で作品をプリントしているところでした。
プレスはVandercookが4台、ドイツ製のプラテンが1台と充実しています。
















他にもシルク印刷や紙漉き、陶芸の設備もされています。
















Geriに付いて地下室に降りると、フロアのあちこちに活字棚が!
















木活字、金属活字とも凄いボリュームです。
















かつてNY州には木活字メーカーがたくさんあったということで、珍しい書体をはじめ、コレクションのほとんど全てを見せてくれました。
















ギャラリー・スペースではガウディ生誕150年記念展が展示されていました。
タイトル通り、ガウディ生誕150年を記念した素晴らしいレタープレス作品がたくさん展示されていたのですが、Geriの作品を撮影したところで残念ながらメモリーカードが一杯になってしまいました。
彼女の作品は木活字を組み合わせて羊のイメージをプリントしています。
また、見えづらいですが上部にはGoudy 150とプリントされています。
羊のイメージは、ガウディの言葉とされる
“ Any man who would letterspace blackletter [lower case] would steal sheep. ”
(ブラックレターの文字間にスペースを入れる者は羊泥棒だ)
からですね。
























「来年また来て何か刷りなさいよ」なんて言われて、その気になってきました。



DAY 13 : 10月14日(水)シカゴ(イリノイ州)
今回のレタープレス修行の旅の最終目的地は、シカゴのStarshaped Press。
活字のみにこだわったデザンと印刷を行っているスタジオです。
















動力式のジョブプレスが2台、Vandercookが1台と手フートで印刷を行っています。
















メインのプレスはこちら。
珍しいスピード・コントローラー付きでした。
















ぜひ訪ねたかったのは、彼女のライフワークとも言える金属活字や木活字を使った独創的な作品に惹かれたから。
















組み版のアウトラインを構成する木枠は、デザイナーでありプリンターでもあるJen自らがイメージを元に電動工具で加工を行っているそう。
















組版の造形的な美しさには何度みても見とれてしまいます。
















オーナメントを駆使したデザインは難しくて下手すると嫌味になりますが、彼女の組版にはまったくそれが感じられないのが凄いところ。
昨日訪問したロチェスターのアーツセンターでのガウディ生誕150年記念展にも彼女の作品が出品されていました。
















彼女のブログにその組み版とプリントが掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
http://www.starshaped.com/blog/2015/03/17/tribute-to-a-tribute-goudy-at-150

Vandercookユーザー同士でプレスの話題も弾みます。
近年の価格高騰にはアメリカのプリンターたちも呆れ気味。
Jenの購入価格を聞いて、呆れるやら羨ましいやら。
















私が2週間の修行の旅について話したら、彼女も各地のプリンターに会いに出掛けて刺激を受けるのが好きで、今年はカリフォルニアまでドライブで行ってきたそう。
私は飛行機も使ったので総ドライブ距離は約2,300キロ。
彼女は直線距離だけで片道約2,800キロ。負けました。

帰りにシカゴの古書店を巡りました。
中古レコードと古書を扱うこの店のオヤジはとても親切でした。
どうして分かったのか「日本からか?」と聞かれ、こちらから何も言わないのに値引きまでしてくれました。どうやら日本人のお客さんが多いそうです。
















たくさんのお宝に出会えたので、急いでホテルにチェックインして荷造り。
スーツケースはすでに規定の重量ぎりぎりなので、あわてて郵便局へ。
何とか閉店までに間に合いました。
長いようで短かった旅も今日で終わりです。
たくさんの出会いと学びを今後に活かしていきたいと思います。
了

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