インテロバング「‽」が金属活字にもあったんだ、という事でこの書体を調べてみました。
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以前にもブログに書いたことがありますが、疑問符「?」と感嘆符「!」の意を併せ持つインテロバング「‽」は、1962年にMartin K. Speckter氏によって作られたそうです。
過去ブログ記事
「? + ! = ‽」
この書体は1966年(1965年という説もある)にRichard Isbell氏によってデザインされたAMERICANAといい、アメリカを代表する活字鋳造所ATFから金属活字としてリリースされました。
インテロバング「‽」(ATFではinterabangと呼んでいた)は、17世紀後半のクォーティションマークの登場以来初となる約物で、アメリカ人の手によるものということもあり、ATFはAMERICANAへの採用を決めました。どうやら市場の反応を確かめた後に他の書体にも導入していく計画だったようです。
自動鋳植機におされ1920年代をピークに手組み用活字の市場が縮小していくなか、ATFの期待ほど浸透しなかったようです。
残念ながらAMERICANA以降の活字に採用されることはなく、結果的にAMERICANAはインテロバング「‽」を持つ唯一の金属活字となりました。
AMERICANAは、短くて僅かに凹みを持つセリフ、大きなxハイト、短いアセンダーとディセンダー、アセンダーラインより僅かに短いキャップライン、広い幅といった特徴が、エレガンスへの回帰という当時のトレンドに合致して好評だったようです。
その為でしょうか、複数のフォントベンダーからデジタルフォントで復刻されていますが、残念ながらインテロバング「‽」は収録されていないようです。
ユニコードには設定がありますから(U+203D)、インテロバング「‽」が再び注目されることになれば収録されるかもしれませんね。
Richard Isbell氏はアメリカ人の両親のもと1924年にカナダで産まれ、幼少時にアメリカのデトロイトに戻ります。
1945年にゼネラルモータースでレタリングとデザインのキャリアをスタートし、キャリアアップを重ねました。
1980~90年代のキャディラック(セビル)、ビュイック、シボレーなどの見慣れたロゴタイプも彼の仕事です。
昔乗っていた車にも彼のデザインしたロゴタイプがありましたので、意外な接点を知って親しみを感じました。
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参考画像
https://www.flickr.com/photos/53177163@N00/sets/72157626458523930/
PIED TYPE vol.2
ATFのオークションで鋳造機と母型を落札し、ATF活字の鋳造を引き継いだ方がいました。
ATF活字の鋳造は無事に引き継がれたかに見えましたが、、、。
その後の顛末はzine「PIED TYPE vol.2」に取り上げております。
ご興味のある方はぜひお買い求めください。
PIED TYPE vol.2 1,080円(税込) |
【PIED TYPE 取り扱い店】
(東京)
Readin’ Writin’ BOOKSTORE(東京都台東区寿2-4-7 Tel: 03-6321-7798)
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出典
※1 MAC McGREW (1996) American Metal Typefaces of the Twentieth Century, New Rochelle, NY: Oak Knoll Books
※2 David Consuegra(2011) Classic Typefaces, NY: Allworth Press