昨日は、ある作家さんの立ち合いのもとに作品の印刷を行いました。
12センチ弱の長方形の用紙に文字のみの印刷ということで、普通に刷る分には何の問題もないのですが、今回は特別なリクエストがありました。
「印圧を強くして文字に凹みをつけ、ムラやカスレと滲みが欲しい」とのこと。
当初は活字を使う案もありましたが、強圧を掛けることもあり見送ることに。
凹凸のある用紙を選び、胴張り紙にエンボス系の紙を用いることで意図的にムラやカスレを狙うことにしました。
5種類のエンボス紙を用意して、テスト開始です。
印圧が低いとムラやカスレは出るのですが、文字が凹むほど印圧を掛けていくと期待するほど効果が出ませんでした。
また、滲みの効果はインキ量を多くして狙ってみるつもりだったのですが、カスレ、ムラにとっては逆効果。
そこで作戦を変更して水性インキを使ってみることにしました。
水性インキは業務で用いることはほとんどありませんが、ワークショップ用に用意してあるのです。
ローラー上の水分を調整してから版にインキを着けた後、水を含ませたウェスで部分的に版を湿して印刷することで、作家さんの意図した箇所にムラや滲みを刷り取ることができたのです。
作品の一部分でもお見せしたいところですが、発表前の作品ですので今回は控えておきます。
当初は印刷立ち合いの予定でしたが、インキ量と水分量のコントロールが作品創りのキモとあって、結局全ての印刷を作家さんに委ねることにしました。
原稿を忠実に再現するのを良しとする印刷人にとって、カスレ、滲み、ムラにはとても抵抗感がありましたが、制作意図に従ってコントロールする感覚はとても刺激的で創造的に思えました。
偶然性に左右される部分もあり、これもまた楽しいです。
良く考えれば木版画やフレキソ印刷でも水性インキを用いますので、活版で使ってはいけないという事はありませんね。
刷っている間にローラー上の乾燥が進むので、水分量のコントロールがポイントになるのと、金属製のローラーのケアに注意が必要なことでしょうか。
それと木活字の場合は表面のシェラックニスが傷みそうですが、リペアの覚悟と引き換えに面白い効果が狙えるかもしれません。
凹みがありながらも、カスレ、滲み、ムラを作る手法は引き続き研究課題にしたいと思います。
ワークショップでも水性インキをお選びいただくことができますので、研究したいという方がいらっしゃいましたらぜひお知らせください。
【Ask about our custom printing】
オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
名刺、招待状、ステーショナリーのカスタムプリンティング承ります。 ワークショップや、活版印刷機の時間貸しもしています。
大阪府公安委員会 第62113R030016号 株式会社大同印刷所
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2017年11月18日土曜日
2017年8月4日金曜日
【印刷実験】エンボス編
こんにちは。
暑い日が続きますね。
ダルくてやる気が出ないという時こそ印刷実験!
限界までエンボスで盛り上げるとどうなるか?
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
ジャジャーン
答えは「紙が破れる」でした。
これは極端な例ですが、少しでも破れがあるとアウトですので、圧の調整は慎重に決めないといけません。
印刷用の版に色々な種類があるのと同様、エンボス版にも材質や製法のバリエーションがあります。
下の画像ですが、上下で盛り上がりが違うのがお判りいただけると思います。
これはオス版の材質の違いによる差です。
上が樹脂版、下が金属版で加工したものです。通常はオス版に樹脂版を使うことが多いですが、細かい絵柄や硬い紙の場合は金属版を用いることがあります。
裏から見ると違いが良く判りますね。
どちらが優れているかというより使い分けが肝心です。
デザインや用紙の種類によって最適な版を選びますので、お見積りのご依頼にはデザイン案を添えて頂けると有難いです。
暑い日が続きますね。
ダルくてやる気が出ないという時こそ印刷実験!
限界までエンボスで盛り上げるとどうなるか?
↓
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↓
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↓
↓
↓
↓
ジャジャーン
答えは「紙が破れる」でした。
これは極端な例ですが、少しでも破れがあるとアウトですので、圧の調整は慎重に決めないといけません。
印刷用の版に色々な種類があるのと同様、エンボス版にも材質や製法のバリエーションがあります。
下の画像ですが、上下で盛り上がりが違うのがお判りいただけると思います。
これはオス版の材質の違いによる差です。
上が樹脂版、下が金属版で加工したものです。通常はオス版に樹脂版を使うことが多いですが、細かい絵柄や硬い紙の場合は金属版を用いることがあります。
裏から見ると違いが良く判りますね。
どちらが優れているかというより使い分けが肝心です。
デザインや用紙の種類によって最適な版を選びますので、お見積りのご依頼にはデザイン案を添えて頂けると有難いです。
2016年2月22日月曜日
【印刷実験】空押し(デボス)のバリエーション
空押し(デボス)のみの商品タグ増刷のご注文をいただきました。
こちらの案件では、版に熱を加えた熱空押しを行っております。
通常の空押し(デボス)との比較をしてみました。
文字のエッジを見ていただくと一目瞭然ですね。
左が加熱しながら加工したもので、右が通常の空押しです。
これ以上印圧を掛けると裏面に跡が出てしまいますので、目一杯の印圧です。
加熱以外の条件(版、印刷機、印圧、用紙、撮影など)は全く同じです。
他に凹みを引き立てるための方法として、メジューム(黄みを帯びた透明インキ)や白インキで刷るという方法もあります(空押しではなくなってしまいますが)。
活版印刷と箔押し兼用機だからこそできる、最適な加工方法をご提案させていただきます。
ぜひお気軽にご相談ください。
こちらの案件では、版に熱を加えた熱空押しを行っております。
通常の空押し(デボス)との比較をしてみました。
文字のエッジを見ていただくと一目瞭然ですね。
左が加熱しながら加工したもので、右が通常の空押しです。
これ以上印圧を掛けると裏面に跡が出てしまいますので、目一杯の印圧です。
加熱以外の条件(版、印刷機、印圧、用紙、撮影など)は全く同じです。
他に凹みを引き立てるための方法として、メジューム(黄みを帯びた透明インキ)や白インキで刷るという方法もあります(空押しではなくなってしまいますが)。
活版印刷と箔押し兼用機だからこそできる、最適な加工方法をご提案させていただきます。
ぜひお気軽にご相談ください。
2016年1月27日水曜日
100年前の風景
大正から昭和にかけての写真凸版を所蔵する自治体から、デジタルアーカイブのご相談をいただきました。
銅版と木からなる版を見せていただくと、それぞれに高さが異なっており、大量の版の高さを揃えて清刷りを取るには大変な手間暇がかかりそうです。
しかし、これこそ版の高さを可変できるグルンパ2号にぴったりの案件。
ローラーの巻き替え以外の整備を大急ぎで済ませて、テスト刷りをしています。
銅版と木からなる版を見せていただくと、それぞれに高さが異なっており、大量の版の高さを揃えて清刷りを取るには大変な手間暇がかかりそうです。
しかし、これこそ版の高さを可変できるグルンパ2号にぴったりの案件。
ローラーの巻き替え以外の整備を大急ぎで済ませて、テスト刷りをしています。
2015年7月3日金曜日
Dilemma 木活字のカスレ考
本来は品質不良の証しながら、逆に活版印刷ならではの味わいと感じる方も多いカスレ。
カスレにはいろんな原因が考えられます。
活字の摩損、胴張りの仕立て不良、印刷機の精度・消耗、インキローラー不良、インキ量、印圧、用紙の平滑性・・・
版と印刷機のコンディションを整え、版の内容を忠実に再現するのが活版印刷職人の腕の見せ所です。
しかし古い木活字は長年の使用により傷みや狂いが生じているものが多く、カスレが生じてしまうことが多いようです。
長年使い込まれてきた証しとして、また、木という素材感を感じさせる証しとして木活字のカスレを愛おしく思う反面、プリンターとしては綺麗に刷りたいという思いもあり複雑な心境です。
木活字の表面はニスで仕上げられています。
アメリカを代表する木活字メーカーだったハミルトンではロック・メイプルを使用しており、新品の時は下のような色目です。
左上の8のように、使用すると少しずつインキが染みていきます。
ニスにはインキを洗浄する溶剤に侵されにくいシェラックが使われていますが、長年の使用により下の木活字のように傷んで剥離していきます。
古いシェラックは普通の洗浄液で洗ってもほとんど取れず、まだらに残っている状態です。
表面を撫でるとザラザラした感じで、古い木活字の場合これがカスレの大きな原因となります。
傷んだシェラックニスをアルコールで拭いて落とします。
まだらに見える染みは取れませんでしたが、表面は平滑になりました。
シェラックニスを調合します。
シェラックにはいくつかグレードがあり、どれが良いか研究中です。
アルコールに溶いて一晩置けば出来上がり。
長く保存できないので、使う分だけ調合します。
出来上がったシェラックニスを木活字に塗り重ねます。
左がニスをやり替えたもの、右はオリジナルです。
表面をなでると、左はツルツル、右はガサガサです。
インキを着けてみます。
右は予想通りひどい着肉ムラです。
刷ってみます。
左右反転になっています。
リペア済みの右は、小さな傷があるものの綺麗にインキが着きました。
オリジナルの左はカスレが目立ちますね。
どちらが良いかというと難しい問題です。
プリンターの立場としてはカスレの出る印刷は認めがたいところではありますが、アナログ感プンプン漂うカスレの魅力も認めざるを得ません。
全体的に傷みが酷かったこの書体、どちらも楽しみたく結局のところ半分ほどリペアして完了とすることにしました。
カスレにはいろんな原因が考えられます。
活字の摩損、胴張りの仕立て不良、印刷機の精度・消耗、インキローラー不良、インキ量、印圧、用紙の平滑性・・・
版と印刷機のコンディションを整え、版の内容を忠実に再現するのが活版印刷職人の腕の見せ所です。
しかし古い木活字は長年の使用により傷みや狂いが生じているものが多く、カスレが生じてしまうことが多いようです。
長年使い込まれてきた証しとして、また、木という素材感を感じさせる証しとして木活字のカスレを愛おしく思う反面、プリンターとしては綺麗に刷りたいという思いもあり複雑な心境です。
木活字の表面はニスで仕上げられています。
アメリカを代表する木活字メーカーだったハミルトンではロック・メイプルを使用しており、新品の時は下のような色目です。
左上の8のように、使用すると少しずつインキが染みていきます。
ニスにはインキを洗浄する溶剤に侵されにくいシェラックが使われていますが、長年の使用により下の木活字のように傷んで剥離していきます。
古いシェラックは普通の洗浄液で洗ってもほとんど取れず、まだらに残っている状態です。
表面を撫でるとザラザラした感じで、古い木活字の場合これがカスレの大きな原因となります。
傷んだシェラックニスをアルコールで拭いて落とします。
まだらに見える染みは取れませんでしたが、表面は平滑になりました。
シェラックニスを調合します。
シェラックにはいくつかグレードがあり、どれが良いか研究中です。
アルコールに溶いて一晩置けば出来上がり。
長く保存できないので、使う分だけ調合します。
出来上がったシェラックニスを木活字に塗り重ねます。
左がニスをやり替えたもの、右はオリジナルです。
表面をなでると、左はツルツル、右はガサガサです。
インキを着けてみます。
右は予想通りひどい着肉ムラです。
刷ってみます。
左右反転になっています。
リペア済みの右は、小さな傷があるものの綺麗にインキが着きました。
オリジナルの左はカスレが目立ちますね。
どちらが良いかというと難しい問題です。
プリンターの立場としてはカスレの出る印刷は認めがたいところではありますが、アナログ感プンプン漂うカスレの魅力も認めざるを得ません。
全体的に傷みが酷かったこの書体、どちらも楽しみたく結局のところ半分ほどリペアして完了とすることにしました。
2015年7月1日水曜日
顔料箔と小口染め
ピンクの顔料箔と小口染めのビジネスカードをお納めさせていただきました。
裏面は空押しになっていて、お一人おひとりで異なるコピーが印象的です。
3年ほど継続してご注文をいただいているのですが、毎回コピーを楽しみにしています。
箔と小口染めの色はばっちり合わせました。
表裏への滲み出しもなく仕上げています。
箔押し、空押し、小口染めという仕様の豪華さや印象的なコピーだけではなく、この案件には特別な想いがあります。
お客さまから初めてご相談いただいたのは2012年の夏でした。
当初のお引き合いは箔押しではなく、印刷と小口染めでした。
当時は濃色の紙への小口染めの経験が少なかったこともあり、印刷色と小口染めの色合わせは難しいと一旦お断りしたのでした。
ほとんどの場合はここで案件は流れますが、この時は違いました。
何とか実現する方法がないだろうかと引き続き熱心にご相談をいただいたのです。
私の印刷実験のブログ記事をご覧いただいていたお客さまは、なに活なら何とかするのではと思われたそうです。
直接お目に掛かったことは一度もありませんが、メールの文面からは何としてもこの仕様を実現させたいという熱い想いが伝わってきました。
そんなお客さまに見込まれたとあって、私の心にも情熱の灯りが燈りました。
テストを繰り返す中で、印刷ではなく箔押しに変更したり、小口染めのインキは種類や配合のテストを繰り返して滲み出しを抑えたりと、一歩一歩課題を解決していきました。
ようやく冬に最終のテスト品をお納めし、発注のGoサインをいただいた時の嬉しさは昨日のことのように思い出されます。
クリエイティブな仕事というのは、制作に関わる者すべての情熱を引き出すことなんですよね。
活版をはじめて8年、お客さまに育てていただいて今日があります。
ありがとうございます。
![]() |
| デザイン・制作 THE STRIPPERS様 http://the.strippers.jp/ GAファイル<450>ブラック、顔料箔押し+空押し+小口染め450> |
裏面は空押しになっていて、お一人おひとりで異なるコピーが印象的です。
3年ほど継続してご注文をいただいているのですが、毎回コピーを楽しみにしています。
箔と小口染めの色はばっちり合わせました。
表裏への滲み出しもなく仕上げています。
箔押し、空押し、小口染めという仕様の豪華さや印象的なコピーだけではなく、この案件には特別な想いがあります。
お客さまから初めてご相談いただいたのは2012年の夏でした。
当初のお引き合いは箔押しではなく、印刷と小口染めでした。
当時は濃色の紙への小口染めの経験が少なかったこともあり、印刷色と小口染めの色合わせは難しいと一旦お断りしたのでした。
ほとんどの場合はここで案件は流れますが、この時は違いました。
何とか実現する方法がないだろうかと引き続き熱心にご相談をいただいたのです。
私の印刷実験のブログ記事をご覧いただいていたお客さまは、なに活なら何とかするのではと思われたそうです。
直接お目に掛かったことは一度もありませんが、メールの文面からは何としてもこの仕様を実現させたいという熱い想いが伝わってきました。
そんなお客さまに見込まれたとあって、私の心にも情熱の灯りが燈りました。
テストを繰り返す中で、印刷ではなく箔押しに変更したり、小口染めのインキは種類や配合のテストを繰り返して滲み出しを抑えたりと、一歩一歩課題を解決していきました。
ようやく冬に最終のテスト品をお納めし、発注のGoサインをいただいた時の嬉しさは昨日のことのように思い出されます。
クリエイティブな仕事というのは、制作に関わる者すべての情熱を引き出すことなんですよね。
活版をはじめて8年、お客さまに育てていただいて今日があります。
ありがとうございます。
2014年12月5日金曜日
羊さんのウンチから作った年賀状はいかが?
羊さんのウンチから作った手漉き紙で、活版印刷の年賀状を刷りました。
気になる匂いは・・・ご安心ください!僅かに草とインキの香りがするだけです。
↓羊さんのウンチ・ペーパー作りの様子はこちら↓
http://kappan.did.co.jp/2013/08/blog-post.html
↓Prismショップでお買い求めいただけます↓
http://letterpress.theshop.jp/items/935676
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2014年4月18日金曜日
カッパンと写真表現
忘れ去られた電子製版機
木版や銅版など、人の手による工芸的な手法に始まった挿絵や装飾の製版は、19世紀後半に写真術を取りいれて写真製版へと進化し、カラー化の次に向かったのが電子化の道でした。
1948年、原稿を電気的信号に変換し、版材に線や網点を彫刻するという電子製版機がアメリカで開発されました。
その後ドイツやスイスでも開発され、国産機も登場するなど技術改良も進みましたが、従来からの写真製版をしのぐ存在にはなり得ませんでした。
電子製版機に関する情報は印刷機や活字鋳造機に比べて極端に少なく、断片的な情報以外に詳しいことは不明です。
どのような版で、どんな印刷物が刷られたのか、実機とともにぜひこの目で確かめたいものです。
お心当たりの方がおられましたら、ぜひお知らせください。
電子製版機ではペン画から線画凸版を、カラー写真から原色版を製版できたはずですが、カラー写真から木口木版のような線画凸版も製版できるのだろうか・・・そんな事を妄想しながら画像ソフトで遊んでいたらお気に入りのパターンが出来あがりました。

まずは上の画像をグレースケールに変換し、通常のハーフトーン製版を画像ソフトで再現。

拡大すると濃淡が網点の大きさで表現されているのが良くわかります。

次に木版をイメージして画像加工の実験です。(モノクロ2値)

木版の挿絵のように見えますでしょうか。

2色での表現。このパターン気に入りました。

スミと特色と紙白の組み合わせで濃淡を表現しています。

写真だけでなく、イラストの多色刷りにも応用できそうです。
ハーフトーンのはじまり
19世紀後半のドイツやアメリカにおいて、写真技術をもとに色の濃淡を点の大小や線の粗密で再現する方法(ハーフトーン・プロセス)が確立されました。
それまで挿絵や装飾に用いられた板目木版、銅版(凹版)や木口木版にかわり、網目凸版(ハーフトーン)として活版印刷に用いられるようになり、写真を印刷で再現することが可能になりました。
フルカラー化
印刷物のカラー化は、当初、手彩色や手工的な製版に頼っていました。
1893年にアメリカで網目凸版(ハーフトーン)を用いた3色刷りのカラー印刷(原色版)に成功してから、写真製版によるカラー印刷が普及していきました。
製版技術や印刷インキが発展途上であった当時、製版後にも再腐蝕したり、胴張りを調整するなどして色の修正がしやすかった原色版(凸版)がカラー印刷の主役の座につきました。
それまで色刷りを得意としていた石版(平版)が、写真版を刷るには原色版の複写に頼るほかなく、品質、コストの面で勝負にならず、生産額はみるみる減少したといいます。
電子製版機の登場
1948年、アメリカのフェアチャイルド社がスキャナグレーバーという電子製版機を開発し、スイスのエルグラマ、ドイツのクリッショグラフという機械が続いて開発されました。
原稿を電気的信号に変換し、版材に線や網点を彫刻して製版する仕組みでしたが、原寸の製版しか出来なかったこともあり、普及が進まなかったそうです。
1959年に縮小、拡大ができ、写真版、原色版、線画凸版などが製版できるバリオクリッショグラフが開発され、それに匹敵する性能を持った国産のオートグレーバーという製版機が1963年に開発されました。
文字への回帰とその後
オフセット印刷の発明と製版技術の発展とともに原色版の優位性は薄れ、次第にオフセット(平版)やグラビア(凹版)にカラー印刷の役目を譲ることになりました。
活版印刷は文字を中心とした印刷方法として残りましたが、やがてそれもオフセット印刷に替わっていきました。
木版や銅版など、人の手による工芸的な手法に始まった挿絵や装飾の製版は、19世紀後半に写真術を取りいれて写真製版へと進化し、カラー化の次に向かったのが電子化の道でした。
1948年、原稿を電気的信号に変換し、版材に線や網点を彫刻するという電子製版機がアメリカで開発されました。
その後ドイツやスイスでも開発され、国産機も登場するなど技術改良も進みましたが、従来からの写真製版をしのぐ存在にはなり得ませんでした。
大日本スクリーン製造が1963年に開発したオートグレーバー
(「印刷製本機械百年史」全日本印刷製本機械工業会1975年3月発行より引用)
その理由は、コストの問題だったのか、品質の問題だったのか、普及前に活版が衰退したのかは判りません。
いずれにしても、凸版の電子製版機としてこれ以上の発展はなく、これらの技術はスキャナーやグラビア(凹版)の製版機へと引き継がれていきました。電子製版機に関する情報は印刷機や活字鋳造機に比べて極端に少なく、断片的な情報以外に詳しいことは不明です。
どのような版で、どんな印刷物が刷られたのか、実機とともにぜひこの目で確かめたいものです。
お心当たりの方がおられましたら、ぜひお知らせください。
電子製版機ではペン画から線画凸版を、カラー写真から原色版を製版できたはずですが、カラー写真から木口木版のような線画凸版も製版できるのだろうか・・・そんな事を妄想しながら画像ソフトで遊んでいたらお気に入りのパターンが出来あがりました。

まずは上の画像をグレースケールに変換し、通常のハーフトーン製版を画像ソフトで再現。
線数は用紙の種類によって変える必要がありますが、なに活は粗面紙がメインなので、よく使う100線で加工。さすがに粒状感が気になります。
モノクロ写真て、実はとても難しい。
ダブルトーン、トリプルトーンで階調表現を求めることもできるけど、製版のノウハウも必要。いずれチャレンジしたい課題です。
拡大すると濃淡が網点の大きさで表現されているのが良くわかります。
次に木版をイメージして画像加工の実験です。(モノクロ2値)
木版の挿絵のように見えますでしょうか。
2色での表現。このパターン気に入りました。
スミと特色と紙白の組み合わせで濃淡を表現しています。
写真だけでなく、イラストの多色刷りにも応用できそうです。
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19世紀後半のドイツやアメリカにおいて、写真技術をもとに色の濃淡を点の大小や線の粗密で再現する方法(ハーフトーン・プロセス)が確立されました。
それまで挿絵や装飾に用いられた板目木版、銅版(凹版)や木口木版にかわり、網目凸版(ハーフトーン)として活版印刷に用いられるようになり、写真を印刷で再現することが可能になりました。
フルカラー化
印刷物のカラー化は、当初、手彩色や手工的な製版に頼っていました。
1893年にアメリカで網目凸版(ハーフトーン)を用いた3色刷りのカラー印刷(原色版)に成功してから、写真製版によるカラー印刷が普及していきました。
製版技術や印刷インキが発展途上であった当時、製版後にも再腐蝕したり、胴張りを調整するなどして色の修正がしやすかった原色版(凸版)がカラー印刷の主役の座につきました。
それまで色刷りを得意としていた石版(平版)が、写真版を刷るには原色版の複写に頼るほかなく、品質、コストの面で勝負にならず、生産額はみるみる減少したといいます。
電子製版機の登場
1948年、アメリカのフェアチャイルド社がスキャナグレーバーという電子製版機を開発し、スイスのエルグラマ、ドイツのクリッショグラフという機械が続いて開発されました。
原稿を電気的信号に変換し、版材に線や網点を彫刻して製版する仕組みでしたが、原寸の製版しか出来なかったこともあり、普及が進まなかったそうです。
1959年に縮小、拡大ができ、写真版、原色版、線画凸版などが製版できるバリオクリッショグラフが開発され、それに匹敵する性能を持った国産のオートグレーバーという製版機が1963年に開発されました。
文字への回帰とその後
オフセット印刷の発明と製版技術の発展とともに原色版の優位性は薄れ、次第にオフセット(平版)やグラビア(凹版)にカラー印刷の役目を譲ることになりました。
活版印刷は文字を中心とした印刷方法として残りましたが、やがてそれもオフセット印刷に替わっていきました。
2014年2月28日金曜日
金・銀・メタリックカラーと用紙選び
用紙の種類によってインキの発色が随分異なることは、これまでにもブログに書いてきましたが、金や銀をはじめとするメタリックカラーは特に注意が必要なインキと言えます。
下の画像は、(左)がヴァンヌーボVGスノーホワイト、(右)がクレーンレトラ スノーホワイトです。その他の印刷条件は同じです。
金属的な光沢感が全く違うのがお判りいただけると思います。
金、銀インキに青口、赤口という色の種類があるのはご存じの方も多いと思いますが、他にも印刷・後加工適性によって多くのバリエーションがあります。
なに活が使っているインキメーカーさんでは、4種の銘柄を一般品として製造されています。(青口、赤口があるので合計8種類)
銘柄によって光輝性や濃度感、艶に差がありますので、インキの選択も大切なポイントです。
なに活のインキは、最も光輝性と濃度感に優れる極上タイプを使用していますが、それでも用紙によってガラリと印象が変わるのは前述の通りです。
余談ですが、なに活が一般色で主に使っている樹脂型インキ(ラバーベース)はインキ光沢が出ません。マット系の用紙では判りませんが、グロス系やダル系の用紙でインキ光沢を必要とする場合は一般的にオイルベースのインキを用います。
通常、インキ銘柄の選択はお任せいただいていますので、ここまでお話しする機会はあまりありませんが、こだわりたい方はぜひご相談ください。
**************************************************************
グロス系… 白紙面の光沢、印刷面のインキ光沢ともにある紙
ダル系… ソフトで落ちついた白紙面に対比して、鮮やかなインキ光沢がある紙
マット系… 白紙面、印刷面ともに光沢を抑えた紙
※記号は特性を示すもので、優劣を表すものではありません。
下の画像は、(左)がヴァンヌーボVGスノーホワイト、(右)がクレーンレトラ スノーホワイトです。その他の印刷条件は同じです。
金属的な光沢感が全く違うのがお判りいただけると思います。
光沢感は用紙の平滑度に関係しているので、活版で良く使われる風合いのある紙では光沢感が失われることが多いのです。
ヴァンヌーボVGは、白紙部分の光沢はないのですが、インキが載った部分には光沢が出る傾向(ダル系)の紙なので、金属的な艶が良く出ていますね。
金属的な光沢感には、もう1つ大切なポイントがあります。
それはインキの特性です。金、銀インキに青口、赤口という色の種類があるのはご存じの方も多いと思いますが、他にも印刷・後加工適性によって多くのバリエーションがあります。
なに活が使っているインキメーカーさんでは、4種の銘柄を一般品として製造されています。(青口、赤口があるので合計8種類)
銘柄によって光輝性や濃度感、艶に差がありますので、インキの選択も大切なポイントです。
なに活のインキは、最も光輝性と濃度感に優れる極上タイプを使用していますが、それでも用紙によってガラリと印象が変わるのは前述の通りです。
余談ですが、なに活が一般色で主に使っている樹脂型インキ(ラバーベース)はインキ光沢が出ません。マット系の用紙では判りませんが、グロス系やダル系の用紙でインキ光沢を必要とする場合は一般的にオイルベースのインキを用います。
通常、インキ銘柄の選択はお任せいただいていますので、ここまでお話しする機会はあまりありませんが、こだわりたい方はぜひご相談ください。
**************************************************************
グロス系… 白紙面の光沢、印刷面のインキ光沢ともにある紙
ダル系… ソフトで落ちついた白紙面に対比して、鮮やかなインキ光沢がある紙
マット系… 白紙面、印刷面ともに光沢を抑えた紙
| * | 白紙面の光沢 | インキ光沢 |
| グロス系 | ◎ | ◎ |
| ダル系 | × | ○ |
| マット系 | × | × |
※記号は特性を示すもので、優劣を表すものではありません。
2014年2月16日日曜日
空押し(デボス)と凹みの演出テクニック
空押し(デボス)は、金属版や樹脂版などの凸版で用紙を凹ませる加工です。
インキを着けずに刷る活版印刷という感覚なので、取り組みやすい加工であるものの、実は意外と奥が深い加工です。空押しの魅力を十分に引き出すためにお伝えしたいことをまとめてみました。
エンボス加工との違い
凹の型(雌型)と凸の型(雄型)で用紙に圧を加え、浮き出しとなるのがエンボスです。
紙に立体的な加工を施すという点では空押しに似てるとも言えますが、全く別の加工としてその違いを認識しておく必要があります。
(上)雌型 (下)雄型
エンボスは紙の断面が凹凸状になりますから、浮き出した面の裏面は当然凹んでいます。
よって、裏面の絵柄との兼ね合いに注意する必要があります。
また、厚い紙に細い線や文字の組み合わせの場合、浮き出しの量が不十分になることがあり、この点にも注意が必要です。
エンボスについてご興味のある方はこちらの記事もどうぞ。
【印刷実験】エンボス加工あれこれ
http://kappan.did.co.jp/2013/03/blog-post_14.html
一方、基本的に空押し(デボス)の裏面は平らです。
(後述しますが、制作意図によりあえて凸にするケースもあります)
しかし、用紙の種類や圧の掛け方などによって僅かに跡がつくことがありますので、裏面のデザインへの影響も含め、十分な打ち合わせが必要です。
用紙の種類
薄い紙は凹みが浅くなりますので空押しにはあまり用いません。
厚紙が使えない用途の場合は、エンボスの方が良いかもしれません。
通常は凹みが目立ちやすい紙厚0.4mm以上をおすすめしていますが、薄めの紙で凹みを目立たせるために胴張りを柔らかく仕上げる方法があります。
柔らかい胴張りが凹版の役割りをして裏面が凸状になりますが、エンボスとは異なり、凸部のエッジがボケてしまいます。
出来損ないのエンボスのような印象を与える可能性もあり、この場合はしっかり用途を選ぶ必要があります。
紙厚0.4mm以上となると、嵩高の紙で<180>からになりますが、下の画像にある通り、紙厚は同じ連量(坪量)でも銘柄によって大きく異なります。180>
特殊紙の場合、紙厚の判断は連量(坪量)ではなく、見本帳などで現物を確かめるのが基本です。
(お手元に現物が無い場合はお問い合わせください)
連量(坪量)と紙厚の関係から、紙の硬さの傾向も見えてきます。
すなわち、同じ厚さの紙でも、軽ければふんわりした嵩高の紙、重ければ締った硬い紙と言えます。
なお、凹み具合は用紙の硬さや腰などや、デザイン(版の面積や混み具合)、印刷機の種類(プラテンorシリンダー)にも大きく影響を受けます。
用紙の色
白以外の用紙では凹みが目立ちにくくなりますが、下の画像の(上)のように濃色でも視認性が良い場合もあります。
空押し部分に圧による光沢が出て、マット調の白紙部分とのコントラストが出ると、濃色の紙でも空押しの存在感がでます。
一方、逆の理由で(下)のようにほとんど目立たない場合もあります。
紙色の濃淡以外にも注意が必要で、視認性が心配なときは本紙校正が安心です。
凹みの強調と演出テクニック
絵柄の内容や用紙の種類によっては、空押し部分の視認性が不足していると感じる場合があるかもしれません。
特に、文字や細い線の場合や、空押しを主役とする場合に、もう少し目立たせたいという事があります。
そんな時に使う凹みの強調と演出方法をご紹介します。
空押しとはちょっと違った効果を使いたいという時にも応用できます。
デザインのコンセプトによって、最適な加工方法をご検討ください。
熱空押し
熱空押しと言えば、パチカ、OKムーンカラー、OKフロートなどで、加熱部の色を変化させる加工としてご存じの方も多いと思います。
なに活では、通常の空押しでも凹みを強調したい時に用いることがあります。
下の画像は、空押しと熱空押しの比較です。紙、版、印刷機など、他の条件は全く同じです。
画像では判りにくいですが、エッジの立ち方がシャープになり、空押し部の色が僅かに濃くなっています。
(左)空押し (右)熱空押し
メディウムや同色系インキによる印刷
空押しではなくなりますが、メディウムや紙の色と同色系のインキ(白い紙には白インキ)で刷ることによりコントラストがつき、視認性が高まります。
主にインキを薄めるのに使うメディウムは、僅かに黄みを帯びています。
黄みの加減は、インキの盛り量と用紙の種類により変わります。
(上)が空押しで、(下)がメディウムで刷ったものです。
メディウムに他のインキをほんの少し加えると、華やか雰囲気になります。
下の画像ではプロセスブルーを混ぜています。(上)と(下)は配合量の違いです。
下の例はメディウムにスミを僅かに混ぜています。
透かしのような雰囲気にもなります。
糸で縫った雰囲気を白インキで表現する予定でしたが、刷りだしたところ少し印象が弱い感じがしました。スミをほんの少し混ぜたテスト刷りをお客さまにご提案させていただき、スミ配合のインキに変更となりました。
スミを入れすぎると糸の雰囲気が出なくなってしまうので、配合のテストは念入りに行いました。
(上)は白+スミ少し、(下)が白のみの印刷です。
久しぶりに印刷実験をしました。
絵柄(飾り罫)と文字が、空押しでどのように再現されるかをご覧いただこうと、なに活のショップカードの版で実験です。
用紙はクッション紙の0.6で、空押し、メディウム、メディウム+スミの3種を試しました。
この紙はインキを良く吸って発色が鈍くなる傾向があり、空押しとメディウムの差はあまり出ませんでした。空押しの場合、特に小さな文字の視認性は物足りないと感じました。
印刷実験【クッション紙と特Aクッション】
http://kappan.did.co.jp/2011/02/blog-post_24.html
(左)空押し (中)メディウム刷り (右)メディウム+スミ刷り
空押しのご相談・お見積りは
http://kappan.did.co.jp/p/blog-page_24.html
2014年1月25日土曜日
小口染めのバリエーション
不思議と、特定の加工とか、用紙の銘柄などが一時に集中することがあります。
今週は小口染めのお問い合わせを多く頂戴しました。
今までに実績の無い一辺のみの加工と、グラデーションのリクエストがありましたので、お時間を頂いてテスト品を作成しました。
染み出しも無く良い感じに仕上がりました。
今週は小口染めのお問い合わせを多く頂戴しました。
今までに実績の無い一辺のみの加工と、グラデーションのリクエストがありましたので、お時間を頂いてテスト品を作成しました。
染み出しも無く良い感じに仕上がりました。
2013年8月15日木曜日
羊さんのウンチから紙はできるか?
この夏、紙漉きが好きになった娘は、夏休みの自由研究も紙漉きに決めたそうです。
どんな紙を作るか悩んだ結果、羊さんのウンチから作ってみることに。
果たして紙はできるでしょうか?
早速、羊さんに協力してもらいます。
どんな紙を作るか悩んだ結果、羊さんのウンチから作ってみることに。
果たして紙はできるでしょうか?
早速、羊さんに協力してもらいます。
せっせとウンチを集めていると、不思議そうな顔をした男の子の兄弟がやって来て、「ウンチを拾って何をするのですか?」と聞かれました。
「紙を作るねん」と答えると、また不思議そうな顔をしていました。
(とても礼儀正しい子で感心しました)
まず初めに大きな石やゴミを取り除きます。
拾っている時は気になりませんでしたが、少し臭いがありましたので、外で作業することに。
続いて水洗いします。
漂白剤を加えて火にかけます。
少しずつほぐれて、植物の繊維が見えてきました。
濾しながら煮ていきます。
ここまで洗うと、もう臭いも気になりません。
ザル一杯だったウンチが、ここまで嵩が減りました。
漉く準備にかかります。
繊維がすぐ沈むので、ネリを加えてみました。
いよいよ本番。
とりあえず漉くことには成功。
紙らしきものが・・・
草の緑色が残っています。
プレスして脱水します。
あとは乾燥を待つばかり。
羊のウンチだけだと繊維がごつく、もろい紙になりそうだったので、楮を混ぜた紙も漉いてみました。
右上の緑の2枚が、羊のウンチ100%紙です。
ざっくりした草の繊維のため、表面は大変ラフです。
筆記適性や印刷適性は期待できそうにありませんが、紙と言って良い出来だと思います。
(結論)羊さんのウンチから紙を作ることができる!
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