この夏、弊社でオフセット印刷を担当していた職人が引退されました。
印刷一筋53年でしたので、私が子どもの頃から知っている方でした。
小学生の頃、当時は2階建ての古い木造社屋でした。
年末の掃除に連れて来られて階段を雑巾がけしていると、階段の下で印刷していたこの職人さんに叱られました。
曰く、木の階段の隙間からホコリが落ちてきたんだそうです。
それ以来おっかない印象があったのですが、私が入社して印刷を担当するようになると、折々に印刷談義に花を咲かせてくれました。寂しくなります。
職人さんの体調が思わしくなく、引継ぎは僅かな時間しかとれませんでした。
UVオフセット印刷をやっているのでオフセット印刷の原理は理解していますが、使いこなせる気がしません。
思い余って活版でお世話になった埼玉の師匠に相談すると、大変有難い事に大阪まで操作指導に来て頂けるとの事。
二日間にわたってオペレーションとメンテナンスのご指導をいただきました。
師匠と一緒に印刷した時は問題なく刷れたのですが、いざ一人でとなると給紙でトラブります。相棒が変わったためか、印刷機がご機嫌斜めになったようです。
オペレーターが変わったり、移転をすると機嫌が悪くなる…古い機械でのあるあるです。
分解清掃をして原因がわかりましたので、修理して準備万端となりました。
将来的にはこの印刷機もUV仕様に改造したいなと夢が膨らみます。
活版レスキューはこのところ引き合いが多いです。
大阪、鹿児島で譲渡と整備で4件のご成約。
来週は小型のテキンが1台入る予定。
樹脂凸版の製版機も成約しました。
露光ランプを新品に交換して、標準露光時間を確認します。
私もそうですが、できる限りの工程を自身の手によってやりたい方におすすめしたい機械です。
自身で製版のコントロールができるようになると、今までとは違った世界が見えてきます。
活版レスキューでは現在、整備待ちが出ています。
お待たせして大変申し訳ございません。
暑さのせいか、ノートPCがぶっ壊れました。電源入らず。
分解してみたものの、目視で悪い部品は見つけられず。
買い替えの決心をするも、データのレスキューどうしよう。
オシロスコープも不調に。
古いモデルなので作りはシンプル。治せるか?
鬼門は高電圧のブラウン管。
真空管アンプでは300~400Vあたりですが、ブラウン管はkVレベルだっけ?
うかつに触るとあの世行きだね。
子どもたちが夏休みの自由研究を手伝って欲しいとのことで、紙漉きをすることに。
以前に羊と馬のウンチから紙を漉きましたので、別の動物のウンチを提案しましたが即座に却下されました。
今回は着られなくなった服をリサイクルする案にします。
お下がりで譲れない肌着のお古から、木綿製のものを選んで小さく切ります。
子どもの自由研究なので、ビーターを使うのは卑怯(?)かなと思ってミキサーで挑戦しました。
様々の苦労を乗り越え、無事コットンパルプにできました。
工程の詳細は自由研究のネタバレになるので自粛します。
西洋の昔ながらのコットンペーパーの製法では、パルプ化する工程でし尿や動物の血液を利用して綿のボロを腐敗させていたそうです。
ここからは慣れたもの。
服から紙ができた!!!
脱水して、
乾燥させます。無事に任務完了!
次号PIED TYPE Vol.4では、P22 Type Foundryの映像作品「Making Faces」を特集します。
この映像は、カナダの故ジム・リマー氏の活字製作プロセスを記録したドキュメンタリーです。
ジムは手書きのドローイングからデジタルフォントと金属活字を製作していきます。
フォント製作・管理統合システムIkarusから出力した紙から、手工的にマスターパターンを製作するというユニークな手法は必見です。
紙と木でできたマスターパターンから、鉛板を彫刻してパターンを作成し、そのパターンから母型を彫刻、そして活字鋳造まで、全ての工程を惜しみなく公開しています。
日本語字幕の製作をなに活が担当しており、P22 Type FoundryのVimeoチャンネルで公開される予定です(日本語字幕の無いバージョンは現在公開されています)。
なお、PIED TYPE Vol.4をお買い求めいただいた方には特別付録として映像視聴の特典がありますので、本家サイトで映像をご購入いただく必要はございません。
このお盆休みで字幕作成の第一段階が完了しました。
なに活にとって初めての字幕作品の製作であり、予想以上に苦戦しました。
これから完成に向けてブラッシュアップしていきます。
発行は今秋を予定していますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
お盆休みは字幕製作で終わってしまい、例年この時期に刷っていた木活字カレンダーはできませんでした。
さて、どうしよう。