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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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 活版ワークショップ in 大阪
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2015年12月23日水曜日

レタープレス修行の旅2015 その3

レタープレス修行の旅2015 その1」と
レタープレス修行の旅2015 その2」につづき、
6州9都市を2週間で巡った修行の旅もいよいよ後半に差し掛かりました

DAY 7 : 10月8日(木)ダルトン(マサチューセッツ州)
18世紀後半に創業された製紙メーカーで、紙幣用紙やステーショナリー製品の製造でも知られるCRANE & CO.が運営するCrane Museum of Papermakingを訪問しました。
1930年に建てられた石造りの工場跡がミュージアムになっています。















CRANE社はアメリカのレタープレスで定番的に用いられるコットンペーパーのレトラ(LETTRA)の生みの親としてもお馴染みです。
日本の紙商社がレトラを輸入する以前から個人輸入するほど思い入れのある紙でしたので、ぜひ訪問したかったのです。















レトラ・ブランドは2009年にNeenah Paper社に売却されたため、CRANE社は製造・販売には関与しなくなり、抄紙に関する展示は昔ながらの手漉きがメインでした。
熱に弱いネリを使わないため、和紙とは異なり紙料はヒーターによって温められます。















溜め漉きを行うVatman、湿紙を漉き枠からフェルトに移すCoucher、フェルトから湿紙をはがして重ねるLay Boyの3人の分業である点も和紙との違いです。
















このあと重ねられた湿紙はプレスに掛けられ、吊るして乾燥されます。















ホーレンダービーターのミニチュアモデル。モーターが付いているので、実際に使えそうな感じです。















透かし入りの紙を漉く漉き網です。
郵便制度の発達とともに高まった封筒や便箋の需要のなかで、上質なステーショナリーを供給し続けてきた証と言えるでしょう。





















ガイドツアーではビデオ上映を交えて歴史や製法の解説があり、簡単な紙漉きの実演もありましたが、紙幣や偽造防止の技術が話題の中心でした。


DAY 8 : 10月9日(金)シラキュース(ニューヨーク州)
創業から20年足らずでレタープレスを手掛ける印刷所としては全米でも最大級まで成長したBoxcar Pressを訪問しました。















案内してくれたアンソニーによると、彼が入社した2006年には6名だったスタッフが、今や80名ほどだそうです。
プリプレスの部署は間接照明のみの落ち着いた雰囲気で、多くのスタッフがモニタに集中していました。
印刷部門にはプラテンプレスだけで10台あり、Vandercookは本来の校正機として活躍しています。















他にも多数のシリンダープレスや箔押し用のプラテンが整然と並んでいます。
撮影を許されなかった機材もあって写真は少な目ですが、広大なスペースにたくさんのスタッフが働いていました。















製版の部署には樹脂版の製版機が3台あり、製版サービスも行っています。
箔押しを除いて印刷版は全て樹脂版を使用しているとのことでした。















広大な用紙倉庫には様々な銘柄がストックされ、特抄きのオリジナル用紙や輸入紙もありました。
製品を管理する部署ではカード類が整然と棚にストックされており、社内の隅々まで管理が行き届いていました。


DAY 9 : 10月10日(土)スカニアトレス(ニューヨーク州)
これまでの道中、行く先々で会う人が皆「ぜひ訪問すべき」と声を揃えてお薦めしてくださったのが今日の訪問先The Press & Letterfoundry of MICHAEL & WINFRED BIXLERです。
モノタイプ社製の鋳造機による活字鋳造と大型のシリンダープレスによる書籍印刷を得意とされています。
ちょっぴり緊張して呼び鈴を鳴らすと、マイケルさんとウィニフレッドさんご夫妻が歓迎してくださいました。















鋳造の実演をしてくださるということで、鉛が解けるまでの45分の間にお話しを伺いました。
1973年にボストンで創業され、10年後に今の地に移転したのだそうです。
創業当時はレタープレスからオフセットに移行期だったので、機材の入手がしやすくて絶好のタイミングだったとおしゃっていました。















大型のシリンダープレスをお持ちですが、仕事の性質によっては活字組版や清刷り(=オフセット印刷に利用)での納品を請け負っている点も特筆すべき点です。















レタープレスによる限定本をはじめ、清刷りからオフセット印刷で刷られた美術出版本など、手掛けられたお仕事の数々をご紹介いただきました。
モノタイプによる鋳造ということでページ物の組版を多く手掛けられ、拝見した本の中には日本のクライアントのものもありました。















1995年に発行された書体の見本帳は、本文と見出しをイメージしやすいようにデザインされ、本文を想定した組版は各書体の解説となっています。
ローマン体はBEMBOをはじめ、DANTE, WALBAUM, VAN DIJCK, CENTAUR, JOANNA, GARAMOND, EHRHARDT, FOURNIER, BELL, BASKERVILLE, POLIPHILUSの12書体も掲載されている他、GILL SANS, UNIVERSのサンセリフと数多くのボーダー、オーナメントで構成されています。
ブックデザインの際の心強いツールであることはもちろんのことですが、上質な用紙と製本も相まって単なる見本帳というより作品という方が似合う書籍です。

組版は主にウィニーさんの担当で、鋳造と印刷がマイケルさんの担当だそう。
モノタイプ社製の自動鋳植機は鑽孔テープを用いた昔ながらの手順で行われています。
ウィニーさん曰く、「シンプルなのが良いの」とのこと。















キャスターにセットされた鑽孔テープにより、本文の鋳造から組版まで自動で行う自動鋳植機。
マイケルさんは鋳造機の部品を外しながら構造と動作の原理を丁寧に教えて下さいました。















自動鋳植で組めないページはこちらで手組みを行う。
整理整頓された植字台からも丁寧なお仕事ぶりが伺える。















鋳造の準備が整い、マイケルさんがオーナメントを鋳込んで下さることに。
調整が終わったかと思えば、やってみろとのお言葉。
見よう見まねでレバーを動かして緊張のスタート。















予定数が出来上がった所でストップレバーで止める。
ガチャンと大きな音がして機械が止まりました。
マイケルさんから「音を出してはダメだ」と指摘されました。
正確な名前は判りませんが、ストップレバーの隣りにあるレバーに手を添えることで音を出さずに止めることができるようになりました。















途中で坩堝に活字地金の補充をするよう言われて準備をします。
溶解した地金は300度以上ですから飛び散らせると大変です。
そっと滑らせるように無事投入できてホッと。















少し判りにくいのですが、下の写真の真ん中あたりの一列が鋳造中の活字です。
左から右に一文字ずつ出てきます。
肝心の機械の調整は何一つ学んでいませんが、気分だけはもう活字職人です。















好きなだけ鋳込んでいけとのお言葉に甘えさせていただいて6種類ほど、あっという間に予定の時間に。















日本からのお土産に初号活字の「活字」の二文字をお渡ししたところ、大変喜んでくださいました。
ウィニーさんが「ぜひまた来なさい。今度来る時は1週間よ」と真顔でおっしゃるので、はじめは社交辞令かなと思ったのですが何度も何度もおっしゃるのです。
「鋳造術に興味を持つ人たちに継承したいの。ウチは開かれた鋳造・印刷所よ」というお言葉が印象に残りました。

DAY 10 : 10月11日(日)ランカスター(ペンシルバニア州)
5時間のドライブでペンシルバニア州に向かいます。
郊外のハイウェイは混雑も少なく、マイペースでのんびり走れます。
道案内はカーナビ任せで、一人旅のロングドライブも苦になりません。















Lancaster Letterpress Printers Fairにやって来ました。
LAで出展されていたベンダーさんもいて、「どこかで見たと思ったら!」とびっくりされました。
こちらでもピザ箱に入れて売られていた木活字に良いのがあったので購入しました。















別会場では足踏みプレスの実演が行われていました。















リズミカルな手足の動きは、まるでダンスのようです。















帰りに古書店に寄り道です。
3フロアにところ狭しと並んでいて、1Fには本格的なカフェがありました。
また5時間のドライブでNY州に戻らなければならないので、お目当ての本を買ってお店を後にしましたが、1日かけて過ごしたい場所でした。















本やら活字やら重たいものばかり買い求めますから、行く先々の土地のオフィス文具店で梱包材を購入しては荷造りして郵便局に駆け込む羽目になるのです。

つづく

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