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2015年12月5日土曜日

レタープレス修行の旅2015 その2

レタープレス修行の旅2015 その1」の続きです。

DAY 4 : 10月5日(月)オースチン(テキサス州)
テキサス大学のDesign LabにあるRob Roy Kelly American Wood Type Collectionを訪問しました。
ここはデザイン教育に携わっていたRob Roy Kelly氏(1925–2004)が、大学の授業で使うために収集をはじめた木活字のコレクションを収蔵しています。















デザイン教育のためのコレクションというKelly氏の精神は今も引き継がれ、書体ごとに整理された箱を自分で取り出して自由に閲覧することができます。
こちらはBEN FRANKLINの8ライン。















取り出して触ることもできますし、教室にある印刷機で刷ることさえできるそうです。
コレクションを管理しているKevinは私がプリンターであることを知ると、「次来る時は何か刷りなよ」と言ってくれました。















アメリカの木活字の書体デザイン、製法、歴史などKelly氏の研究成果は著書としても出版されています。こちらは書体の見本帳です。















教室にはVandercookの4台を初め、エッチングプレスや製本の設備も整っています。
最近入手したというLudlow(一行分の文字をスラッグ(塊)として鋳込む鋳植機)は修理が必要だそうですが、完成の暁には活字鋳造から製本まで可能な大学ということになります。
大学のデザイン教育のカリキュラムに、活版印刷すなわちタイポグラフィーがここまで濃密に組み入れられていることに驚きます。















Kevinは紹介したい人がいるとDigital LetterpressのBradleyにアポを取ってくれました。
Monotypeの鋳造機で活字を鋳造している印刷所で、教室の活字も彼から供給してもらっているそう。


【Digital Letterpress】

大学のすぐ近くにDigital Letterpressはありました。
突然の訪問にもかかわらず、快く迎えてくださいました。
こちらはドイツ製のシリンダープレスを持つ、特装本や限定本の印刷を得意とする印刷所です。















BradreyのMonotype鋳造機は、コンピュータの組み版データにより鋳植できるようにカスタマイズが施されています。
昨年訪問したサンフランシスコのM & H Typeで見たのと同様、鑽孔テープのかわりに圧縮空気を用いるために開発されたソフトウェアとメカニカルなインターフェースで構成されています。
白飛びして見にくいのですが、左上の白いのがコンピュータで、真ん中に見える鑽孔テープの読み取り部に透明のエアホースが接続されています。
最新の技術を導入して古い機材を今に活用するという考え方にはとても共感を覚えます。















自動組版を行わない通常の鋳造機やインテルの鋳造機もお持ちで、活字鋳造所としての設備は一通り揃っていますが、ページ物の仕事の大半は樹脂版で行っていて、Bradley曰く活字鋳造はホビーだそう。
とは言え、テキサス大学のDesign Labで使っている活字は、Bradleyが鋳込んだものということなので、ホビーというのは謙遜ですね。
私が日本から来た事を伝えると、KOIKE(日本の鋳造機メーカー)はいいマシンだと言っていました。私は小池製作所とは縁も所縁もありませんが何だか嬉しいものです。















モノタイプのキーボードはオフィスのディスプレーとして健在。
どこからでも目に入る場所に置かれ、手入れが行き届いた様からもBradleyの愛着を感じます。























帰りにちょっと寄り道。
テキサス州出身のブルースギタリストStevie Ray Vaughanの像。
























DAY 5 : 10月6日(火)ヒューストン(テキサス州)
フリーウェイに乗りヒューストンへ向かいます。
オースチンの中心部を離れるとのどかな風景が続きます。















今回の旅に備えて購入したナビ。
おかげで迷うことなく3時間ほどでThe Printing Museumに着きました。















館内に入ると、お馴染みのグーテンベルグのプレスのレプリカが。















42行聖書をはじめ、インキュナブラの展示が多数ありました。























ニコラ・ジェンソンが、自身の活字によって1470年に初めて印刷した本「De praeparatione evangelica」の紙葉。
ヴェネチアン・ローマン体成立の記念碑的な史料です。























アルダス・マヌティウスの工房で印刷された1499年の紙葉。
活字のデザインから鋳造、印刷、出版までを手掛けた工房で、オールド・フェイス・ローマンやイタリック体の源流となりました。















現在の100ドル札に肖像が描かれているアメリカの偉人、ベンジャミン・フランクリンは若きころに印刷業に携わり、新聞も発行していました。
こちらは彼が発行した新聞、ペンシルバニア・ガゼット。左上に1763年11月3日とあります。
今の感覚だと活字がすごく小さくて、読むのが大変です。
ベンジャミン・フランクリンは政治や科学など幅広い分野での活躍で知られていますが、アメリカの印刷史にも欠かせない人です。















独立戦争、南北戦争を報じる新聞の展示に続いて、ライノタイプと大型のシリンダープレスの展示による19世紀の新聞社の再現。















Linotype (ライノタイプ)
1886年、Ottomar Mergenthaler (オットマー・マーゲンターラー, 1854-99)によって発明された欧文の自動鋳植機。
自動植鋳機とは、活字を自動的に鋳造すると同時に植字(組版)をも行う機械。
原稿に従ってキーボードを押すと、上部の母型庫から母型が1本づつ落下してきて並び、一行がいっぱいになると鋳型に送られ、一行分の文字が塊、slug(スラッグ)になって鋳込まれる。
鋳込みを終えた母型は、自動的に分類されて母型庫に戻る。
Line of type(一行の活字)という意味からLinotypeという名称が生れた。
訂正がある場合は一行単位で打ちかえる必要があるが、スピードが求められる新聞や雑誌を中心に導入された。

こちらはタイタニック号の事故を伝える1912年4月16日発行のThe Courier-Journal。















戦争にまつわる史料の展示も多くありました。
各年代の新聞を通じて、歴史における印刷メディアの担いを考えさせられる展示になっていると思いました。















なに活のプレスと同じモデルが展示品になっていました。
1966年までに全世界で12万台以上を出荷したというドイツ製のプレスです。
そのユニークな動きから、アメリカのプリンター達は親しみを込めてWindmill(風車)の愛称で呼んでいます。
給紙と排紙を自動で行い、端物印刷の生産効率を高めた優れたプレスで、今でも多くのプリンターに愛されています。
あちこち酷い錆に覆われて痛々しい姿だったのが残念。















フランス製のリトプレス。
全て木製で、とても優雅な雰囲気のあるプレスでした。















Harris Bros.の1906年製オフセット印刷機。
市販化された初めての「紙への」オフセット印刷機となるそう。
「紙への」としたのは、ブリキへのオフセット印刷は1875年には特許が取られ、ブリキ印刷業界においては既に普及が進んでいたため。
紙へのオフセット印刷を発明したのはルーベルという人で、ブリキ印刷を知らなかった彼は特許申請を行ったものの認められませんでした。
彼の印刷機は1905年に完成していましたが、共同出資者とのトラブルから市販が遅れました。















1959年に開発された世界初となる事務用の普通紙複写機「Xerox 914」。















ゼロックスという名は、「乾式」を意味するギリシャ語のゼロスにちなんで名付けられたそう。















1984年に発売されたMacintosh 512Kのアップグレード版で展示は締めくくられていました。
次は何がコレクションに加えられるのか、とても興味があります。





















ヒュースンでレンタカーの乗り捨てが出来なかったので、また3時間かけてオースチンに戻ります。


DAY 6 : 10月7日(水)オールバニー(ニューヨーク州)
今日は移動日です。
国内線の乗り換えも慣れてきました。
シカゴで乗り継ぎ、オールバニー空港に到着。
ローカルな空港らしい、のんびりした雰囲気が心地よいです。















レンタカーを借り出し。
オースティンと同じ日産のアルティマだったので、すぐに走り出せました。
吊り信号が風に揺られてブラブラしていました。
しょうもないことが、いちいち気になります。















食料とビールを買い出しにウォルマートに。















モーテルにチェックインしたら、メールの対応と荷造りに掛かります。
一人旅の気楽さで、食事はその合間にという感じです。ビールがうまい。
















つづく

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