和文タイプというのは1915年(大正4年)に杉本京太という方が特許を取得された機械で、活字を拾い上げて印字するという仕組みになっています。
この方は日本の十大発明家の一人として選定されており、その発明が如何に価値を持ったものであったかを裏付けています。
私が子どものころ、祖父の活版印刷工場の2階で職人さんが操作していたのを覚えています。
ちょうどオフセット印刷への移行期の頃でしたので、版下を作っていたのでしょう。
下の画像はモトヤさんが発売されたタイプレスという機種です。
たくさん並んでいる活字が緑に着色されているのは、採字の際の目への影響やコントラストを考えてとのことです。
左が印刷用の4号活字。右は丸にMのピンマークがあるメーカー不明のタイプ活字です。ネッキの形状や位置が違いますね。高さも僅かに異なります。
書体も全く異なります。
外見からも代用品としての利用は難しいことが判りますが、地金や製法の違いもあります。
印刷活字の成分は、鉛を主成分としたアンチモン・錫の合金ですが、モトヤさんのタイプ活字は亜鉛を主成分としたアルミニューム・銅の合金になります。組成の違いによりタイプ活字は印刷用活字よりも硬いものになります。
左の画像はモトヤさんのタイプ活字です。プラテン(紙を保持する円筒)のRに合わせて活字の字面にRが付いており、その特別なタイプ活字は、モトヤさんが特許を取られた母型彫刻機により実現されたものでした。
一見良く似た形状をしていますが、用途に合わせて改良を加えてきた先人たちの英知にあらためて驚かされます。
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