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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2016年3月9日水曜日

プライベート・プレスの悩み

プライベート・プレスさんから洗浄液の選び方について良くご質問をいただきます。
今週も三名の方から続けてご質問をいただきましたので、今日は洗浄液について書こうと思います。

洗浄液の選択で考慮するポイントは、「安全」「性能」「入手性」「コスト」4つです。
どれを重視するかという事は人によって環境も考え方も異なりますので、正解というのは人の数だけあると思います。
この点をお含み置きの上、読み進めていただければと思います。

インキの洗浄だけが目的であれば、石油系溶剤(ソルベント)の他に、ガソリン、灯油、オイル、アルコールなど、実は多くの選択肢があります。
ただし、レタープレス・プリンターはゴムローラーや版(活字・凸版)への影響も併せて考慮しなければなりません。
入手しやすい物は、残念ながらおすすめ出来ないものばかりです。

×ガソリン・・・引火しやすく危険
×灯油・・・揮発が遅く、残った油分が着肉不良の原因に
×アルコール・・・ゴムローラーや木活字を傷める
×サラダ油・・・ゴムローラー表面の微細な孔が詰まる

ただし、デメリットを正しく理解した上で適材適所という考え方は「あり」だと思います。
例えばあるレタープレスプリンターは、金属活字の洗浄にだけアルコールを好んで使っています。また、灯油は活字に適さないが、ローラーにはOKというプリンターもいます。

石油系溶剤(ソルベント)をベースとした業務用の洗浄液には安全面のリスクが存在することは否定できませんが、正しい理解と行動により低減することはできます。
(十分な換気、手袋の着用、使用後ウエスの密封)
業務用のものはMSDS(化学物質等安全データシート)が入手しやすいので、配合されている成分と健康上のリスクを把握しやすいとも言えるでしょう。
中にはアルコール成分を含むものもあるようですので、木活字を使うプリンターはMSDSを確認しておくと良いでしょう(字面をコーティングしているシェラックはアルコールに溶解するため)。

私が自宅で印刷するプライベート・プレスであったとしても、ローラーのコンディションの維持を優先して業務用の洗浄液を選択すると思います。
業務用の洗浄液以外の選択肢を探している方には、画材店でご相談されることをおすすめしています。
(リトグラフなどで使うプリントクリーナー、臭いの少ないブラシクリーナー等があります)

いずれにせよ毒性と引火性のある化学物質でありますから、保管と使用にあたっては十分な注意が必要であることは言うまでもありません。
小さなお子さまやペットのいる環境の方は、特にご注意ください。

有機溶剤を含まない植物油ベースの洗浄剤があるらしいと聞いて、資材の仕入れ先に照会しています。
良い情報が入りましたら、あらためてお知らせしたいと思います。

なお、手フートをお買い求めいただいた方や、製版のお取り引きをいただいている方には、容器を持ってご来社いただければ業務用の洗浄液を小分けいたしますのでお申し付けください。
(プライベートプレスの方に限らせていただきます)

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