6年目を迎えた修行の旅のレポートです。
昨年の入国審査で大変不愉快な思いをさせられたので、待ちに待ったLAのはずが着陸の時刻が近づくにつれて憂鬱な気分に。
ところが、いざ入国審査のフロアに行くと無人の機械に案内され、あっという間に手続き終了。
待ち時間無しであっさり入国できました。去年の禅問答のような不毛なやりとりは何だったんだろうと拍子ヌケです。
到着ロビーに出るとセールスパートナーのSakiが待っていてくれました。レンタカーを借り出し、ランチに。
DAY 1 : 9月30日(金)ロサンゼルス(カリフォルニア州)
ランチの後、前から行ってみたかったダウンタウンにある本屋さんのThe Last Bookstoreに到着。
古書が中心とのことでしたが新刊もありました。
ピンボケばかりで良い写真が撮れていなかったので、ご興味のある方は検索してみてください。面白い本屋さんです。
探していたタイポグラフィー関連の古本があったので購入。
さて、お手洗いにでもと思ったところで、トイレありませんの張り紙発見。コーヒーブレイクにするかと有名コーヒーチェーン店に入るも、ここも貸してくれない。
Sakiもそろそろと思っていたらしく、飲み物片手に二人してトイレ難民という笑えない状況に。
ようやく見つけた小さなショッピングモールのトイレの前にはガードマンが。
買い物客しか使えないそうなので、隣りのドーナツ店でドーナツを購入して間一髪セーフでした。
他の街のお店では、買い物したら快く貸してくれていたのですが、土地柄でしょうか。
DAY 2 : 10月1日(土)ロサンゼルス(カリフォルニア州)
今年もやって来ましたLA Printers Fair。
出店できるのはSakiのサポートのおかげです(旅行者が収益を上げる行為はできません)。
5年連続で来ているので覚えていてくれる方も増えてきて嬉しい限りです。
今年は木活字をピザ箱に詰めて販売する名物ベンダーの出店がなくて残念でした。
ミュージアムのあちこちで実演されているデモンストレーションや印刷体験で多くのお客さまが楽しまれていました。
プレスや機材の販売もいつも通りでしたが、Vandercookはありませんでした。昨年、2台目を購入した時は円安の時期だったので悩んだのですが、今にして思えば良いタイミングでした。
フェアのあとSakiを空港に送ってお別れです。私も夜の便でポートランドに向かい、定刻通り22時過ぎに到着。
レンタカーを借り出して雨の夜をモーテルに向かいます。
夜の運転はしないようにしているのですが、今回はスケジュールの兼ね合いでやむなく。
DAY 3 : 10月2日(日)ポートランド(オレゴン州)
イベント終了の安堵感と時差ボケの影響でしょうか。目覚めたのはお昼前でした。
あわてて出かけて、紙漉きと活版印刷のスペースを持つOblation Papers & Pressを訪問。
グリーティングカードと紙雑貨のお店の奥に工房が設けてあるというスタイルでした。
ここでは手漉きの耳付きコットンペーパーに印刷されたカードが気に入りました。
私もコットンパルプは入手済みでいつでも漉けるのですが何時になることやら。
常設の紙漉きスペースが羨ましかったです。
店の入口脇に置かれたタイプライター。ご自由にお使いくださいということのようです。この後、小さな男の子が二人やって来て夢中になっていました。
荷物が多くなってきたので国内線での移動までに日本に送ってしまうことにします。郵便局に行って箱と伝票をもらってきました。
DAY 4 : 10月3日(月)ポートランド(オレゴン州)
カードや雑貨を扱うLittle Otsuは、おしゃれなセレクトショップ的なお店でした。
日本製の雑貨が結構並んでいたのが印象的。
荷造りした荷物を郵便局に出しに行ったあと、レンタカーを駐車場に停めて徒歩で散策することに。
日本で使っているスマホをVerizonのプリペイドWifiに接続して案内を任せましたが、現在地の表示がまるでデタラメ(GPSはもちろんON)。
背の高い建物に囲まれたエリアだったせいかも知れませんが、突如変わる現在地に随分時間を無駄にさせられました。
そう言えば6年前のニューヨークでも同じような目にあったことを思い出し、旅の終盤に我慢できずにプリペイド携帯を購入したところ問題ありませんでした。
原因は判らないままですが、ひょっとしたらスマホ自体が4Gの電波をキャッチしていないと精度が出ないのかもしれません。詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。
目的の書棚を探すのも苦労する巨大な書店Powell's Booksに何とか到着。
限られた時間でしたので、欲しい本を見つけられず残念。
DAY 5 : 10月4日(火)移動日
アメリカの大きさをあらためて意識させられる移動日。
慣れてきたとは言え、搭乗前の厳しいセキュリティチェックや、乗り継ぎ便の遅延の心配などで飛行機での移動は気が重いのです。
早朝の4時前にポートランドの空港に到着、シカゴで乗り継いでニューヨーク州中央部のシラキュース空港に着いたのが17時前。
レンタカーを借り出し、スーパーでビールと食料を調達してモーテルに着いたのが18時過ぎ。移動時間に時差も加わるので一日仕事です。
明日からは旅の後半戦です。
つづく
レタープレス修行の旅 その2へ
【Ask about our custom printing】
オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
名刺、招待状、ステーショナリー、年賀状のカスタムプリンティング承ります。 ワークショップや、活版印刷機の時間貸しもしています。
大阪府公安委員会 第62113R030016号 株式会社大同印刷所
名刺、招待状、ステーショナリー、年賀状のカスタムプリンティング承ります。 ワークショップや、活版印刷機の時間貸しもしています。
大阪府公安委員会 第62113R030016号 株式会社大同印刷所
![]() |
|
![]() |
活版印刷ワークショップ in 大阪 レギュラーワークショップは当面お休みします。 |
![]() |
Prismショップ レタープレスと紙雑貨 |
![]() |
なにわ活字店 欧文活字と装飾活字の販売* |
![]() |
なにわレタープレス製版所 樹脂版の製版サービス |
2016年11月8日火曜日
2016年10月27日木曜日
なにわ活字店より タイプ活字と印刷活字
先日、和文タイプ(邦文タイプライター)用の活字を購入したいというお問い合わせをいただきましたが、残念ながら当社では取り扱っておらず、いま製造されている会社は無いと思われます。
和文タイプというのは1915年(大正4年)に杉本京太という方が特許を取得された機械で、活字を拾い上げて印字するという仕組みになっています。
この方は日本の十大発明家の一人として選定されており、その発明が如何に価値を持ったものであったかを裏付けています。
私が子どものころ、祖父の活版印刷工場の2階で職人さんが操作していたのを覚えています。
ちょうどオフセット印刷への移行期の頃でしたので、版下を作っていたのでしょう。
下の画像はモトヤさんが発売されたタイプレスという機種です。
たくさん並んでいる活字が緑に着色されているのは、採字の際の目への影響やコントラストを考えてとのことです。
左が印刷用の4号活字。右は丸にMのピンマークがあるメーカー不明のタイプ活字です。ネッキの形状や位置が違いますね。高さも僅かに異なります。
書体も全く異なります。
外見からも代用品としての利用は難しいことが判りますが、地金や製法の違いもあります。
印刷活字の成分は、鉛を主成分としたアンチモン・錫の合金ですが、モトヤさんのタイプ活字は亜鉛を主成分としたアルミニューム・銅の合金になります。組成の違いによりタイプ活字は印刷用活字よりも硬いものになります。
左の画像はモトヤさんのタイプ活字です。プラテン(紙を保持する円筒)のRに合わせて活字の字面にRが付いており、その特別なタイプ活字は、モトヤさんが特許を取られた母型彫刻機により実現されたものでした。
一見良く似た形状をしていますが、用途に合わせて改良を加えてきた先人たちの英知にあらためて驚かされます。
欧文活字・装飾活字・真鍮活字の輸入・販売
なにわ活字店 http://www.nanikatsu.com/

和文タイプというのは1915年(大正4年)に杉本京太という方が特許を取得された機械で、活字を拾い上げて印字するという仕組みになっています。
この方は日本の十大発明家の一人として選定されており、その発明が如何に価値を持ったものであったかを裏付けています。
私が子どものころ、祖父の活版印刷工場の2階で職人さんが操作していたのを覚えています。
ちょうどオフセット印刷への移行期の頃でしたので、版下を作っていたのでしょう。
下の画像はモトヤさんが発売されたタイプレスという機種です。
たくさん並んでいる活字が緑に着色されているのは、採字の際の目への影響やコントラストを考えてとのことです。
左が印刷用の4号活字。右は丸にMのピンマークがあるメーカー不明のタイプ活字です。ネッキの形状や位置が違いますね。高さも僅かに異なります。
書体も全く異なります。
外見からも代用品としての利用は難しいことが判りますが、地金や製法の違いもあります。
印刷活字の成分は、鉛を主成分としたアンチモン・錫の合金ですが、モトヤさんのタイプ活字は亜鉛を主成分としたアルミニューム・銅の合金になります。組成の違いによりタイプ活字は印刷用活字よりも硬いものになります。
左の画像はモトヤさんのタイプ活字です。プラテン(紙を保持する円筒)のRに合わせて活字の字面にRが付いており、その特別なタイプ活字は、モトヤさんが特許を取られた母型彫刻機により実現されたものでした。
一見良く似た形状をしていますが、用途に合わせて改良を加えてきた先人たちの英知にあらためて驚かされます。
欧文活字・装飾活字・真鍮活字の輸入・販売
なにわ活字店 http://www.nanikatsu.com/

2016年10月24日月曜日
【活版印刷の年賀状 2017年版】
ご注文の受け付けを開始しました。
今年はカリグラフィー年賀状も登場!!
11/14までお得な早割がございます。
http://www.did.co.jp/nenga/design/index_kappan.php
こちらのデザインは11月19日(土)開催のワークショップ(既成デザインクラス)でご利用いただくこともできます。
残席僅かとなりましたので、お申込みはお早めに。
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/
今年はカリグラフィー年賀状も登場!!
11/14までお得な早割がございます。
http://www.did.co.jp/nenga/design/index_kappan.php
こちらのデザインは11月19日(土)開催のワークショップ(既成デザインクラス)でご利用いただくこともできます。
残席僅かとなりましたので、お申込みはお早めに。
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/
登録:
投稿 (Atom)
なに活ムービー
人気の投稿
-
個人で活版(凸版)印刷を楽しみたいという方から、手フート印刷機の入手についてよくご相談をいただきます。 なに活がお話している内容をまとめてみます。 【Adana-21J】 なに活が知る限り、今でも新品で入手できる活字が使える印刷機は、朗文堂さんの「Adana-21J」だけ...
-
空押し(デボス)は、金属版や樹脂版などの凸版で用紙を凹ませる加工です。 インキを着けずに刷る活版印刷という感覚なので、取り組みやすい加工であるものの、実は意外と奥が深い加工です。 空押しの魅力を十分に引き出すためにお伝えしたいことをまとめてみました。 エンボス加工...
-
「活版印刷・レタープレスとは何か」を再定義することに関して、私はあまり関心がありません。 活版印刷が栄えた時代には、生産性向上を図る技術革新により紙型、ライノタイプ、モノタイプなど生産方式のバリエーションが産まれました。 また、欧米においては、大きな書体は木活字が好んで使わ...
-
久々に印刷実験してみました。 みなさん既にご存じとは思いますが、まずはおさらいから。 (エンボスとは) エンボス加工とは、凹の型(雌型)と凸の型(雄型)で紙に圧を加え、絵柄を浮き出させる加工です。 加工した部分の断面は凹凸になり、裏面は凹んだ状態になります。 裏面に絵...
-
枚葉紙(平判)の活版印刷機 (※1) には、印圧の加え方の違いから2種類の構造があります。 ※1 活字を使える印刷機で、フレキソ印刷機、シールラベル印刷機、箔押し加工機等は除きます。 1)印刷版と圧胴が共に平面のプラテンプレス(平圧式) 全面同時に印圧が掛かり...
-
ある時から、「テキン」という名前はどこからきたのかずっと気になっています。 あまりにも気になるので、アンケートをしてみた事もありました。 (過去の記事)手フート vs てきん アンケート http://kappan.did.co.jp/2011/10/vs.html ...
-
紙厚が約1mmのコットンペーパーと、それに似た風合いの3銘柄を比較してみました。 一見良く似た銘柄ですが、白紙部、インキ部ともにそれぞれの個性をはっきりと感じることができました。銘柄選びのご参考になれば幸いですが、コメントは3銘柄の比較における私見ですので、その点をご考慮くださ...
-
※主催者様のご都合により、4月7日(土)は中止となりました。 (2012/3/25更新) イベントの開催内容は、主催者様のご都合により変更となる場合があります。 主催者様にホームページなどWebの告知手段がない為、「なに活」が広報宣伝にご協力しているものであり、イベ...
-
樹脂版と金属版の違いについてよく聞かれますので書いてみます。 樹脂版と言っても様々の種類がありますし、金属版についても亜鉛、マグネシウム、真鍮、銅と様々で一概には言えませんが、一般的には コスト(安価) 樹脂 >金属 硬さ 金属 >樹脂 と言えます。...
-
手フート印刷機 で 名刺 や ポストカード の 印刷体験 しませんか 既成デザインもご用意しています。 デザインパターンは来週公開予定です。 《開催日時》 8月27日(土) 午前の部 : 9時~12時 午後の部 : 14時~17時 (満...