2番組とも異なる視点で活版印刷の魅力を取り上げていただけて良かったと思います。
おはよう関西(NHK)11月6日(月)放送分の動画はこちら(期間限定です)
どちらも短いニュース番組でしたので、伝えきれなかった魅力について書き加えたいと思います。
「す・またん!」で取り上げていただいた樹脂版の魅力については後日お話しすることにして、「おはよう関西」で触れていただいた、「紙と版に向き合う中で多様なデザインを生み出す表現方法」について。
文章を考えながら組版をするとき、活字とコンピュータでは言葉の選び方が変わってくる・・・両方の組版を知る方からそんな声を聞くことがあります。
活字を拾って組版をするには、時間が掛かるし、制約も多くなります。
また、一旦組んだ組版を大幅に修正するのも大変な手間が掛かります。
時間も手間もかかる分、言葉選びに影響を与えているのかもしれません。
活字という物質の重みが、言葉の重みに重なって感じられるからかもしれません。
活字が印刷の主役だった時代から写植、コンピュータの時代に移り、活字はとても不便な道具になりました。
その1つに書体やサイズごとに揃えなければならないことが挙げられます。
弊社は1980年代に全ての活字と活版印刷機を処分したため、この10年であらたに集めなおす必要がありました。
自身の作品づくりにおいて使いたいサイズや書体が無いということが頻繁にあるため、手持ちの活字でいかに表現するかに苦心することになる訳です。
例えばこれは大文字のPですが・・・
上下を逆さにして小文字のdとして使ってみたり。
感嘆符と疑問符が一緒になったインテロバングを眺めていたら・・・
思いついたことばを刷ってみたり。
活字が目や口に見えてきたり。
ハロウィンのカボチャに見えてきたり。
干支に見えてきたり。
いろんな書体をパズルのように組み合わせたり。
文字と装飾活字を組み合わせてバンドのロゴをデザインしたり。
下に伸びる5本線は5人のメンバーと、リズム、ダイナミクスの意を込めて。
私はコンピュータでのデザインは全く出来ないのですが、活字を眺めたり触ったりしているとインスピレーションが湧いてくるのです。
それは不自由さの中に自由を感じるという不思議な感覚です。
定期的に開催しているワークショップでは、樹脂版を用いたレギュラークラスの他、金属活字や木活字を組む活字クラスがあります。
来年からスタートする、いろいろ木活字クラスでは、様々のデザインの木活字からインスピレーションを受けて作品づくりをします。
珍しいオーナメントも使えます。
組み合わせて絵柄を作るのも楽しいです。
活字から湧いてくるインスピレーションを一緒に刷り取ってみませんか。
活版ワークショップ大阪
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/