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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2017年11月14日火曜日

活版の楽しさ【光の版画】

前回の
活版の楽しさ【インスピレーション】
のつづきです。

樹脂版は活字と同様に、とても魅力的な版です。
光によって硬化する樹脂の特性を利用した版がアメリカのタイム社から発表されたのが1957年(昭和32年)です。
活版印刷の歴史からみれば最新の技術と言えるかもしれませんが、自分よりも先に誕生したという点では長らく実績を積み上げてきた先輩です。
その後各社から様々のタイプの感光性樹脂凸版が発売されるに至り、1970年には日本の新聞社にも導入されました。
今ではメインユーザーのシールラベル業界に向けて様々な特性を持った樹脂版が上市されています。

過剰な印圧を掛けて文字や線画が太るから使えないという向きもありますが、それは使う側の勝手な理屈であって樹脂版には何の罪もありません。
金属版より安価であることから、安売りの道具として使うことにも違和感を感じています。
硬さのバリエーションがあることや、インキの着肉性の良さ、細密表現などの利点をどう活かすかという使い手の力量が問われる版であり、私が自家製版に拘る理由でもあります。

10年ほど樹脂版の製版をするなかで思うのが、樹脂版は「光の版画」と言えるということ。
露光の加減によって細密な表現のニュアンスも変わってくるのです。
また、データから出力したネガフィルムだけでなく、手工的に製作したフィルムを使えば表現のバリエーションが増やせます。
光を遮断すれば良いので、物質を直接置いても構いません。
下のフィルムはPETフィルムに霧吹きで水玉をつくり、その上から缶スプレーで着色したものです。
















この手法で制作したのがこれ。
まず地色のベタを刷り、次に水玉模様の版を琵琶湖の形にくり抜いて刷り、最後に木活字と金属活字という工程です。
「LAKE BIWA」





















マーブリング、墨流し、スポッタリング(ブラシに含ませたインクをはじく)、スクラッチ(ひっかく)など、いろんな技法が応用できますね。
スポッタリングで作った版でグラデーション刷り。





















木版を刷り重ねて。





















文字を木活字で刷って完成。
「YOU&ME」





















凸版とは異なる製版テクニックが必要ですが、凹版を製版することもできます。
墨流しの技法で制作したフィルムを使って制作した凹版のプリント。
「Quo moriture ruis? 」

















ここにも不自由さの中に自由を感じています。




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