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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2011年3月8日火曜日

手フートの飼い方② 買ってはいけない手フート

手フートに限りませんが、中古機械を買うときのポイントは、オーナー(売り手)の機械に対する愛情を知る事だと思います。 オーナーの愛情が深ければ、まず失敗することは無いと考えています。
また、オーナーとの信頼関係ができれば、万一困ったことがあっても力になってくれるはずです。
なに活は「何を買うか」という事より、「誰から買うか」を大切にしています。
前回、欲しい印刷機は遠方でも必ず見に行くというお話をしましたが、機械のコンディションを見る目的と同時に、オーナーの人柄を知る為でもあるのです。
中古機械を買うということは、オーナーの人柄を買うことだと思うのです。
前回、前所有者がわからない出所不明の機械や、印刷機を知らない代理出品者の機械も避けたほうが無難とお話しました。
その理由ですが、そのような手フートは産業機械として役割を終えた骨董品やスクラップとして手荒に扱われた可能性があるからなのです。
つまり、破損、歪み、サビなどの深刻なダメージを負っていたり、チェースやインキローラー(大切なのは芯棒)、コロなどの重要な部品の欠品もあり得るということです。
初めて手フートを買う方が、NC・NR(保証なし・返品不可)が一般的なオークションで実機を見ないで購入するのは相当のリスクを覚悟する必要があります。
先日もチェースが無いプライベート・プリンターさんからご相談がありました。
工夫しながら印刷を楽しんでおられるそうですが、大変なご苦労をされているはずです。
同じように見える手フートでも、チェースの大きさが僅かに異なることがある上、チェース単体で見つかる可能性は低いと思われます。
何とかお力になりたいと心当たりをあたっていますが、これから入手される方はくれぐれもご注意ください。

そう言う「なに活」も授業料は結構払っています。
現物を見ないで買った箔押し機はギアが1つ破損していました。
機械の知識が無い出品者は、機械が壊れていることを理解していなかったようです。
メーカーは既にありませんでしたが、ギアを自作することができましたので笑い話になりましたが、そうでなければ…。
ブログ「小さな箔押し機GET!その2」
せっかく見つけた手フートがそのような機械だったら、どうしますか?
出会いの少ない手フートですから相当悩むと思いますが、なに活だったら次のような手フートは諦めて次のチャンスを待ちます。
【買ってはいけない手フート】
・インキディスク(A)が無い
・チェース(B)が無い(一見同じ機械に見えるものでも微妙にサイズが異なることがあります)
・インキローラー(C)2本が無い (大切なのは芯棒です。ローラーのゴムは消耗品)
・インキローラーのコロ(D)4個が無い
・インキディスク(A)、ローラー芯棒(C)、ローラーコロ(D)、ローラーレール(E)に大きな傷、凹み、腐り(サビ以上)が有る
(綺麗なものでも、電動工具やヤスリ掛けの跡があるのは避けた方が良いです)
・インキディスク(A)の回転に大きなブレ(波打ち)が有る(ディスクの表面や軸の歪み)
・版胴(F)や圧胴(G)に傷や凹みが有る
・印刷レバー(H)がスムースに上下できない
・全体的に酷いサビが有る(雨ざらしの可能性が疑われるもの)
古い機械ですから、完全に無傷ということは無いかもしれません。
この手フートのローラーレールには大きな欠けがありますが、ローラーコロの動きに影響が無いので印刷に問題はありません。
印刷に悪い影響を及ぼす傷かどうか見極めることが大切です。
インキディスクとローラーレールの大きな傷には特に注意してください。
このインキディスクには小さな凹みと、インキヘラによるものと思われる線傷があります。
できれば避けたいところですが、汚れが酷いインキディスクは洗ってみないと判らない事もあります。
オーナーの愛情を失うと手フートの傷は増えていきます。
なお、インキディスクの回転軸の直径は、同じメーカーの機械でも僅かに異なる機械がありました。
部品取り用として入手される際には念の為確認しておいた方が良いでしょう。

【ヒント】
・程度の悪い機械は苦労します。
・オークションは保証無し、NC、NRの自己責任が原則です。
・下見の際、出来れば試し刷りをお願いしてみましょう。
 無理でも最低限印刷レバー(H)は動かすこと(インキディスクの回転をチェック)
・インキローラーは消耗品です。
 いつ巻き替えたか判らないツルツルのローラーは、新品に巻き替える事をおすすめします。
 (納期は約1ヶ月です)
 膠(にかわ)でできた古いローラーは水あめのように溶けていることがあります。
 手フートや台についている時は、熱いお湯などを使ってふき取ります。
・オーナーとの会話は機械のクセやノウハウを学ぶチャンスです。
・可能であればジャッキやファニチャなどの備品や資材も一緒に譲っていただきましょう。
・掃除は自分でする(オーナーの胴張りのテクニックを学ぶため)。
・構造を理解すれば、印刷トラブルにも対処しやすくなります。

価格は稀少な中古品ですので一物一価です。
また、要整備のものからオーバーホール済みまでコンディションによっても様々です。
業務用手フートは一般的なサイズで重量が約50㎏ありますので、運搬の方法や設置場所についてはよく検討してください。

今日のひとこと
「中古手フートを買うということは、オーナーの人柄を買うこと」

次回は「飼い主のお作法」です。

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