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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2011年3月11日金曜日

手フートの飼い方③ 飼い主のお作法

ご縁あって中古の手フートを入手できたら、まず最初にして欲しいことはオイルを差してやることです。
軸の部分を観察すると、小さな穴がいくつか開いているのが判ると思います。
この穴に注油するのですが、管理が悪いと汚れやホコリが溜まっていることがあります。
その場合は注油をする前に爪楊枝などを使って耳かきの要領で綺麗にしてください。
くれぐれもゴミやホコリを穴の奥に押し込まないように注意してください。
全体的にホコリの付着が酷いようでしたら、注油口を養生テープなどで塞いで先にホコリを落としてしまいましょう。
車の洗車と同じで上から下へと順に掃除するのがお約束です。
全ての注油口を綺麗にしたらオイルを差してください。
使う度に少量づつ差してやるのが理想的ですが、高速で回転する訳でもありませんので、プライベート・プレスではあまりシビアに考えなくても良いと思います。
でも、穴の湿り具合はいつも気に掛けてあげてください。
このようなオイル差しを使うと便利です。
なに活は風車(ハイデルのWindmill)で使っている粘度の高いShellのオイルを使っています。
ミシンオイルのようなサラサラしたオイルや、スプレー式の潤滑剤は避けた方が良いと思います。
オイルをやりすぎたり、柔らかいオイルを使うと隙間から滲んで漏れてきますのでご注意ください。
次にすることはインキローラーの新調です。
膠(にかわ)で出来た古いローラーは大抵下の写真のように芯棒を残して水飴のように溶けています。
ウレタン製やゴム製のものは一見しただけでは寿命の見極めが付きにくいものです。
古いウレタンローラーは当初の硬度を失ってグミのようにグニョグニョかもしれませんし、インキが染みこんだ古いゴムローラーはせっかく練った淡い特色インキを汚すかもしれません。
2本しかないローラーがインキ元ローラーとインキ付けローラーを兼ねていますので、このローラーのコンディションが印刷品質の決め手になると言っても過言ではありません。
ここは奮発して新しいローラーに替えましょう。
新品のインキローラーは入手できないと思いますので、古いローラーから鉄の芯棒を取り出して再生することになります。
納期は約1ヶ月掛かりますので、インキローラーを待つ間、次回以降にお話するレストアの時間に充ててはいかがでしょうか。
(風車やデルマックスなどは今でも新品のローラーが入手できます)
本格的に使う場合は予備のローラーを持っておきたくなるものです。
仕事で使っていたオーナーさんなら予備のローラーか芯棒を持っている可能性が高いので、手フートを入手する際に聞いてみてください。
巻き替えをどこに頼めばよいか判らない方はオーナーさんに教えてもらいましょう。
なに活がサポートしているプライベート・プリンターさんでしたら、こちらで手配を致します。
(お使いの版(活字)の高さをお知らせください)

ローラー巻き替えの覚悟ができたら早速外しましょう。
芯棒を外す順番は右から左です。
まず芯棒の固定用のピンを引き抜きます。
このピンは右側にしかありません。
紛失していて付いていない事もあります。
(機種によっては左右4箇所ボルトで留めているものもあります)

芯棒を止めている部品を手前に持ち上げ、ローラーを奥にずらすと芯棒が外れます。
少しコツが必要ですが、すぐ慣れると思います。
ローラーコロを落とさない様に注意してください。
落として傷を付けると大変ですので、先にコロを外して安全な場所に置いてください。
左の芯棒の外し方は、右と少し異なります。
芯棒を止めている部品を少し持ち上げ、ローラーを右にずらすと外れます。
この時もコロを落とさないよう注意してください。
先にコロを外して安全な場所へ。
2本目のローラーも同様に右→左の順で外します。
くどいですが、コロに注意です。
ローラーを取り付けるときは逆に左→右の順です。

このローラーは巻き替えるので床に直接置いていますが、本当はいけません。
芯棒で受けて、ゴムがどこにも触れない状態で保管します。
インキローラーはプリンターの魂。
手フートに付けて保管する時も、同じ理由でインキディスクに載せたままはバツ。

【安全について】
手動式で操作も簡単ですから普通に使う分には安全な機械ですが、それでも使い方を誤ると大きな怪我をする可能性があります。
例えば付き添い人が介添して手を出し、圧胴や稼動する部品などに手や指を挟んでしまうケースなどです。
特に小さなお子様には十分気をつけてあげてください。
小さな機械ですが、絶対ナメたらだめです。
介添え禁止!必ず徹底してください。
また、台に載せて使うときは、必ずボルトなどで固定してください。
強い印圧を掛けると機械が動いてしまうことがあり危険です。
約50kgの重量がありますので、移動の際にも気をつけてください。

今日のひとこと
「中古の手フートを買う時は、ローラー巻き替え費用も予算に入れておく事」

次回は「レストアの準備」です。

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