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2011年3月26日土曜日

手フートの飼い方④ レストアの準備

手に入れた手フートをどのように仕上げるか、自分の好みで決められるのもプライベート・プリンターの楽しみですね。

使い放しのラットなスタイルで飼うも良し。
手入れの行き届いた年代相応のスタイルで飼うも良し。
再塗装をして新品のようなスタイルで飼うも良し。
こだわり出すとこんな事になってしまいますが…。
なお、圧胴を外すと組み立て後の調整が必要になりますので、早く印刷したい人は圧胴や版胴を固定するネジは触らない方が良いでしょう。
ブログ「手フート再生物語

どのようなスタイルで飼うにしても、インキディスク、ローラーレール、ローラーコロ、版胴、圧胴を綺麗にしておかないと印刷トラブルの原因になります。
(ただし、ここの部位にヤスリや電動工具を使うことは避けてください)
特にローラーレールとローラーコロに油汚れがあると、ローラーがスリップして回転が止まり、インキの供給に問題が生じることがあります。
使わない時は錆予防の為にオイルや防錆剤を付けておくと安心ですが、印刷する時はいつも油分を取っておいてください。

【レストアを進めるにあたってのポイント】
・部品を外す時は、組み立てる時のためにデジカメやメモなどで記録を残す。
・小さなネジやワッシャーなどは紛失防止のため小箱に入れ、外した箇所がわかるように部品ごとに管理する。
・適切な工具で作業する。(合わない工具はネジやナットを壊します)
レストアを始める前に、まず古い胴張りを外しましょう。
大きなマイナスのネジが使われていると思いますので、ネジのサイズに合った大きめのマイナスドライバーを用意してください。
前オーナーの胴張りのノウハウを学ぶ絶好の機会ですので、じっくり時間を掛けて観察しましょう。

【胴張りの外し方】
胴張りは圧胴の上下にあるコの字形の金具で圧胴に固定されています。
圧胴の横にあるネジを緩め、コの字形の金具を倒して胴張りを外します。
写真の反対側にも2つのネジがあります。
下側のネジは、圧胴を閉じた状態にして緩めます。
ネジを外してしまう必要はありません。

胴張りは印刷の仕上がりを左右する大切なポイントの1つです。
凸凹などの痛みがあると印刷ムラになりますので再利用は避けた方が良いですが、外した胴張りは大切な参考資料です。
汚れが酷くても捨てないで取っておくことをおすすめします。
素材の種類、組み合わせ方、順番、厚さ、圧胴への取り付け方、見当合わせの方法をよく観察して記録しておいてください。
なに活が見た3台の手フートは、胴張りの厚さを3㎜前後で調整してありました。
この手フートも、
 ・トップシート(0.1㎜厚)
 ・ボール紙(0.9㎜厚×2枚)
 ・ゴムのブランケット(1㎜厚)
で合計約3㎜の厚さでした。
トップシートはカレンダーを再利用していて、見当合わせ用に活字が貼ってありました。
(大きめのメタルベースを使う場合は、活字とメタルベースが当たるため不可)
紙の厚みを測るのは、ダイヤルシックネスゲージが便利です。
測定器としては比較的安価ですので、プライベート・プリンターさんにもおすすめです。
胴張りの厚さは、印刷する用紙の厚みによって調整する必要があり、適正範囲から外れると上下にムラが生じてしまいます。
これは大切なポイントですので、後日詳しくご説明します。
「胴張りは一生勉強」と60年のキャリアを持つアメリカのオペレーターが言うほど奥が深い世界のようですから、なに活も日々心して修行に励んでいます。
デザインの内容(文字ものか、ベタがあるか)、版の種類(活字、金属凸版、樹脂凸版)、印圧(標準か強印圧か)によっても最適な組み合わせが変わります。

胴張りを留めるコの字形の金具を、写真の位置に倒したまま圧胴を強く閉じるとローラーレールを傷付けます。元の位置に戻してネジを留めて作業をすすめてください。
この手フートがどんなオーナーと、どんな仕事をしてきたのか知る由もありませんが、胴張りに残された胴刷りの痕跡を見ていると、これまで歩んできた歴史の片鱗を伺い知ることができます。
そしてまた、積み重なったインキ汚れを眺めながらレストアの構想を練っていると、この手フートが華々しく活躍していた時代のことを想像してしまいます。
現実と空想の世界を行ったり来たりしながらレストアの構想を練る一時はとても幸せな時間です。
今回は「手入れの行き届いた年代相応のスタイル」にしたいと思います。
【用意するもの】
・マイナスドライバー
・スパナ
・使い古しの歯ブラシ
・スチールウール
・真鍮ブラシ
・ボロ雑巾
・パーツクリーナー、洗い油または油汚れ用洗剤等
・手袋
※薬剤などを使う際は火気厳禁、換気に十分注意してください。
さらに、スクレーパー、金属磨き、スパナ、ラチェットレンチがあれば作業がはかどります。
インキディスクやローラーコロ、ローラーレールにこびり付いた汚れや錆は、ヤスリ、スクレーパーや電動工具などで削りたくなりますが止めた方が良いです。
傷を付けたり、偏磨耗させたりする原因になります。
専用のケミカルが便利ですが、DIY初心者は十分気をつけてください。
ピカピカに磨こうと欲張らずに、そこそこに止めておくのが良いと思います。
※薬剤などを使う際は火気厳禁、換気に十分注意してください。

今日のひとこと
「あれこれ構想を練るのはとても幸せな時間」

次回は「レストアの楽しみ」です。

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