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オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。
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2013年10月7日月曜日

LA Printers Fair 2013

今年もLAのThe International Printing Museumにやってきました。
10月5日に開催されたLA Printers Fairに参加するためです。
セールスパートナーのTimとブースを出店しました。
去年はとにかくガチガチに緊張していましたが、今年は少しリラックスして楽しめました。
去年出会ったRachelleをはじめ、1年ぶりの人たちがブースに遊びに来てくれて再会を喜びあえたのも凄く嬉しかったです。
Rachelleはレタープレスや手すき紙に取り組むアーティストであり、先生でもあります。
昨年の別れ際、彼女と来年も来ると約束したので再会の喜びも格別でした。

Barbaraは去年同じ会場にいながら会えずじまいだったけど、ようやく挨拶できました。
彼女はVandercookをリビングのグランドピアノの隣に置いているんです。
また、彼女はコロタイプで刷った本を出版したことのあるGeraldを紹介してくれました。

Timにブースを任せてGeraldのブースに遊びに行きました。
レタープレスとコロタイプという共通点からとても楽しくお話しできました。
Barbaraから私のことを聞いていた彼は、コロタイプの実験や原色版(活版のフルカラー)の魚のカードを知っていてくれました。
魚のカードが欲しいと言ってくれたのですが、お客さんが絶えずブースを離れられないので彼の元にデリバリーしました。

ニュージーランドからこのフェアを見に来たという彼も原色版の魚のカードを気に入って買ってくれました。
日本での活版はどうだい?と気になっている様子。
ニュージーランドでもここ数年レタープレスが盛り上がってきているそうです。

日本が大好きという方も遊びに来てくれました。
活字ホルダーに組んでいた「ありがとう」という活字を難なく読んだのはびっくりしました。
手フートくんの人形はキッズの人気者でした。
ママが向かいのブースで話に夢中になっている間、ウチの手フートくんを見に来てくれた女の子がいました。
「楽しんでいる?」と聞いたら、「楽しくない」だって。
話をしているうちに手フートくんのカードを気に入ってくれてママにおねだりしましたが、OKが出ず名残惜しそうに去っていきました。
今回はパンタパネルという折りたためるシートをカードの展示に使いました。
机に並べて置いた去年に比べ手に取って下さる方が増えたのと、コンパクトに収納できるのでとても良いアイテムです。
立てて使うこともできるし、オプションで便利なアタッチメントも用意されているので、フリマだけでなくPrismのディスプレーとしても活躍してくれそうです。
詳しくはこちらで。
Panto-panel
レタープレスの作品、活字や資材を並べるブースがたくさん出店しています。
新品の鉛活字のベンダーが昨年より1店増えていました。
どこだろうと思って見てみると、少し前に新刻活字のプロジェクトの揉め事が元で実質活動休止になっていたところで、在庫のみの販売という感じでした。
 木活字の良い物は早くに売れてしまいます。
LINOTYPEのオリジナルのType Drawings(書体の設計図)が売られていました。
ブースにあったのはELECTRA ITALICの11ptで、14×14インチサイズの一文字が$50でした。
他に60以上の書体の各サイズがあるそうです。
買いそびれたので、フライヤーの写真だけです。
レタープレスなトラック
シルクスクリーンでTシャツのプリントもやってました。
今年の機材販売は屋内になっていました。
入りきらないプレスが屋外にも。
レタープレスプリンターにとっては夢のようなテーマパークのよう。
大量のライノタイプのスラッグが。
廃棄するなら頂戴!と叫びたくなります。
アンティークなレバープレスには値札が見当たらなかったけど売り物?
なに活のVandercookを運んでくれたJimは出店すると聞いていたけどいませんでした。
急な仕事が入ったのかな?

屋内の展示は次回にて。

続きは「LA Printers Fair 2013 その2」へ
http://kappan.did.co.jp/2013/10/la-printers-fair-2013_20.html


昨年のレポートはこちら

LA Printers Fairに行ってきた(1)
http://kappan.did.co.jp/2012/10/la-printers-fair.html

LA Printers Fairに行ってきた(2)
http://kappan.did.co.jp/2012/10/la-printers-fair_22.html

LA Printers Fairに行ってきた(3)
http://kappan.did.co.jp/2012/12/la-printers-fair.html




 Linotype (ライノタイプ)
1886年、Ottomar Mergenthaler (オットマー・マーゲンターラー, 1854-99)によって発明された欧文の自動鋳植機。
自動植鋳機とは、活字を自動的に鋳造すると同時に植字(組版)をも行う機械。
原稿に従ってキーボードを押すと、上部の母型庫から母型が1本づつ落下してきて並び、一行がいっぱいになると鋳型に送られ、一行分の文字が塊、slug(スラッグ)になって鋳込まれる。
鋳込みを終えた母型は、自動的に分類されて母型庫に戻る。

Line of type(一行の活字)という意味からLinotypeという名称が生れた。
鋳造能力は7,000~11,000字/時。
ボディから字面がはみ出たKerned letter(カーンドレター)は鋳込むことができない。
Linotype以前にも様々な自動植鋳機が考案されたものの、実用化には至らなかった。
鋳造してから植字をするという方法ではなく、植字してから鋳造するという方法が実用化に成功した一因とされる。

同様の機械に、Linotypeに改良を加えたIntertype(インタータイプ)がある。
訂正がある場合は一行単位で打ちかえる必要があるが、スピードが求められる新聞や雑誌を中心に導入が進んだ。
日本には1903年(明治36年)に印刷局に導入され、英字新聞社などに採用された。

2013年10月3日木曜日

【お見積り、お問い合わせ対応について】


10月4日(金)~8日(火)までLA Printers Fairへの参加のため、お見積もり、お問い合わせ業務をお休みさせていただきます
回答は9日(水)以降になります。
期間中は何かとご不便をお掛けし、大変申し訳ございません。

動画は昨年の様子です。
ライノタイプで希望の文字を鋳込んでもらっているところです。

2013年9月20日金曜日

名塩和紙の過去、現在、未来を見に行く


最盛期には「名塩千軒」と言われるほど紙漉きが盛んだった兵庫県西宮市の北部にある紙漉きの里、名塩(なじお)。
400年の歴史を持つ名塩紙を継承するのは、今や二軒だそうです。
そのうちの一軒、谷徳製紙所の谷野武信さんを訪ねました。

地元産の土粉(泥土)を加えて漉く名塩紙は、虫がつかず、熱に強く燃えにくく、伸縮が少なく、変色を防ぐといった特長があり、江戸時代には藩札にも用いられていたそうです。
谷野さんは、襖紙やその下張り、壁紙、文化財の修復、書画用紙などに用いられる間似合紙(まにあいがみ)のほか、金箔や銀箔を打ち延ばす際に使う箔打紙を漉いておられます。
間似合紙と呼ばれるようになったのは、襖の幅の半間(三尺、約90㎝)に「間に合う」大きさであるほか、「間に合わせる(遣り繰る)」というニュアンスもあるそうです。

泥土には白、青、黄、茶の4色があり、これを水に溶き、紙料に加えて漉くと紙の色になります。
白茶は混ぜ合わせて作り、5色ができます。
目の細かい木綿袋で濾した泥土の水は、時間が経っても粒子が沈殿することはないそうです。

名塩和紙は雁皮(がんぴ)を用います。
細密で光沢のある繊維により、なめらかな紙肌が特徴ですが、栽培が難しく、自生しているものを採取するしかありません。

大きな釜で原料を煮熟(しゃじゅく)し、セルロース(繊維素)以外の成分(ペクチン、リグニンなど)を取り除きます。

煮熟を終えた原料は不純物やゴミを取り除き(ちり取り)、薙刀ビーターで繊維を解きほぐす叩解(こうかい)をします。

漉き返しという再生紙も漉いておられます。
大正~昭和初期の和紙の故紙をソーダ灰で煮て脱墨し、紙料に再生します。
昔の公文書には、三椏(みつまた)が用いられていたそうです。

一通りのご説明をお聞きした後、間似合紙の紙漉きを見せてくださいました。
漉き舟の前の窓からは、お庭の木や草花が見えます。
集中とリラックスの心地良いリズムを導いてくれそうな素敵な窓です。
漉き舟には青い泥土入りの漉き返しの紙料が入っていました。

名塩和紙の製法は、私が今まで見た産地のそれとは異なる特徴がいくつかあります。
谷野さんは座って漉かれます。

溜め漉きで、簀桁(すけた)は糸などで吊らずに手だけで保持し、二組の簀で交互に漉きます。
奥(下の写真の上中央)に見えるのが漉いたばかりのもので、斜めに立て掛けて水切りをしています。
ヤダケの簀には柿渋を塗った麻の布が重ねてあります。
夏は基本的に紙漉きを休むそうで、その期間に簀や道具を作ったり、修繕をご自身でされるそうです。
泥土が入っている証が独特の製法のあちこちに見られます。

溜め漉きですがネリを加えてあり、時おり捨て水の動作も入ります。

大きな簀桁の隅々まで目を配るため、頭を左右に振りながら漉いていかれます。
見ているだけでは簡単そうに思えますが、それは気のせい。
2002年に重要無形文化財保持者(人間国宝)として認められた谷野さんですが、一生稽古とにっこり。

漉き終わったら簀桁を一旦漉き舟の上に仮置きします。
先に漉いたもの紙床(しと)に移したあと、漉桁を斜めに立て掛けて水切りします。
ネリが入っているので、漉いた紙を重ねていっても、くっついてしまうことはありません。

ネリにはニレとビナンカズラを使うそうです。
トロロアオイではないのですねとお聞きすると、粘りが合わないんだそうです。

ニレの皮は軒下の壺の中で自然発酵。手に取るとネバネバです。

ビナンカズラはお庭に生えています。ネリとして使うのは夏だそうです。

全て漉き終わったら重石を乗せて脱水します。
重石は一度に載せず、徐々に増やしながら、ゆっくり時間を掛けて脱水します。
こちらは前日に漉いたもの。

イチョウの干し板に湿紙を貼り、屋外で天日乾燥されますが、あいにくのお天気で屋内に。

馬の毛でできた刷毛を使って干し板に貼ります。

干し板に貼ったあと、さらに布を被せ黒いヘラで撫で付けます。

乾燥を待って完成です。

見学を終えたあと、これまでに漉かれた紙のこと、国宝や文化財の修復のことなどのお話しを聞かせていただきました。

こちらは染めた紙料で雲のような模様をつくる打雲紙です。

名塩和紙の始祖とされる東山弥右衛門さんのことや、名塩千軒と言われた全盛期のことなど興味深いお話しも聞かせてくださいました。
近くの墓地に弥右衛門さんが祀られていて、慰霊祭もあるそうです。

山間の紙漉きの里に銀行があり、ご近所には3階建ての蔵を持つお宅があったとか。

世代を超えて受け継がれている史料を拝見してもシミや変色、虫喰いは認められず、長期の保存性に優れていることが判ります。
アーカイバル性が求められる国宝や文化財の修復に欠かせないというのも納得です。

襖、屏風、壁紙といった目につくところばかりでなく、下張りにも名塩紙の特長は活かされます。
下張り紙の質が悪いと、シワや波打ちが出て美観を損なってしまいます。

江戸時代には藩札の用紙として用いられました。

名塩紙の過去と現在をたっぷりお聞きしているうちに予定の時間をすっかり過ぎてしまいました。
これまで何度も同じ事を聞かれたことと思いますが、大変親切丁寧に質問にお答えいただきました。
たくさんお話しを聞かせてくださいましたが、「一生稽古」と、「道具の製作、修繕は自分で」が特に印象的でした。

三代目の谷野雅信さんが谷徳製紙所内に「名塩和紙 洪哉 こうや」という屋号を掲げられ、名塩和紙の更なる普及、発展に励んでおられます。
名塩和紙のこれからに注目です。

(名塩和紙の活版名刺)
洪哉さんの耳付き名刺が入荷しました。
雁皮(名塩鳥の子)、雁皮間似合(泥入り)、普通間似合(漉き返し泥入り)の3種です。
極少量の入荷の為、在庫はお尋ねください。

手前より(左)雁皮、(中)普通間似合、(右)雁皮間似合

谷徳製紙所/名塩和紙 洪哉 (こうや)
兵庫県西宮市名塩2-2-23
0797-61-0224



(名塩和紙学習館)
近くの名塩和紙学習館では、定期的に紙すき教室が開催されています。

この日は、雁皮、楮、パルプを漉くことができました。
小規模ながら資料展示室もあります。

名塩和紙学習館
兵庫県西宮市名塩2丁目10-8
0797-61-0880
http://www.nishi.or.jp/homepage/kyodo/najio/najio-top.htm

名塩和紙学習館 11月の紙すき教室
http://www.nishi.or.jp/contents/00020247000400048.html



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