【Ask about our custom printing】
オールド活版印刷機でレタープレス、箔押し、エンボス、デボス、バーコ(盛上げ)、小口染めの印刷・加工をしている大阪の活版印刷所【なに活】です。

名刺、招待状、ステーショナリー、年賀状のカスタムプリンティング承ります。 ワークショップや、活版印刷機の時間貸しもしています。


 なにわ活版印刷所 ホームページ

 http://www.nanikatsu.jp/


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 活版ワークショップ in 大阪

 11月25日(土)は満席となりました。
  次回は2018年1月27日(土)開催です。
 参加者募集中です。
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 Prismショップ  レタープレスと紙雑貨

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 なにわ活字店 欧文活字と装飾活字の販売
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 なにわレタープレス製版所

 樹脂版の製版サービス

 

2017年11月18日土曜日

【印刷実験】水性インキと活版印刷

昨日は、ある作家さんの立ち合いのもとに作品の印刷を行いました。
12センチ弱の長方形の用紙に文字のみの印刷ということで、普通に刷る分には何の問題もないのですが、今回は特別なリクエストがありました。
「印圧を強くして文字に凹みをつけ、ムラやカスレと滲みが欲しい」とのこと。
当初は活字を使う案もありましたが、強圧を掛けることもあり見送ることに。
凹凸のある用紙を選び、胴張り紙にエンボス系の紙を用いることで意図的にムラやカスレを狙うことにしました。
5種類のエンボス紙を用意して、テスト開始です。
















印圧が低いとムラやカスレは出るのですが、文字が凹むほど印圧を掛けていくと期待するほど効果が出ませんでした。
また、滲みの効果はインキ量を多くして狙ってみるつもりだったのですが、カスレ、ムラにとっては逆効果。
そこで作戦を変更して水性インキを使ってみることにしました。
水性インキは業務で用いることはほとんどありませんが、ワークショップ用に用意してあるのです。
ローラー上の水分を調整してから版にインキを着けた後、水を含ませたウェスで部分的に版を湿して印刷することで、作家さんの意図した箇所にムラや滲みを刷り取ることができたのです。
作品の一部分でもお見せしたいところですが、発表前の作品ですので今回は控えておきます。
















当初は印刷立ち合いの予定でしたが、インキ量と水分量のコントロールが作品創りのキモとあって、結局全ての印刷を作家さんに委ねることにしました。
















原稿を忠実に再現するのを良しとする印刷人にとって、カスレ、滲み、ムラにはとても抵抗感がありましたが、制作意図に従ってコントロールする感覚はとても刺激的で創造的に思えました。
偶然性に左右される部分もあり、これもまた楽しいです。
良く考えれば木版画やフレキソ印刷でも水性インキを用いますので、活版で使ってはいけないという事はありませんね。
刷っている間にローラー上の乾燥が進むので、水分量のコントロールがポイントになるのと、金属製のローラーのケアに注意が必要なことでしょうか。
それと木活字の場合は表面のシェラックニスが傷みそうですが、リペアの覚悟と引き換えに面白い効果が狙えるかもしれません。
凹みがありながらも、カスレ、滲み、ムラを作る手法は引き続き研究課題にしたいと思います。
ワークショップでも水性インキをお選びいただくことができますので、研究したいという方がいらっしゃいましたらぜひお知らせください。

2017年11月14日火曜日

活版の楽しさ【光の版画】

前回の
活版の楽しさ【インスピレーション】
のつづきです。

樹脂版は活字と同様に、とても魅力的な版です。
光によって硬化する樹脂の特性を利用した版がアメリカのタイム社から発表されたのが1957年(昭和32年)です。
活版印刷の歴史からみれば最新の技術と言えるかもしれませんが、自分よりも先に誕生したという点では長らく実績を積み上げてきた先輩です。
その後各社から様々のタイプの感光性樹脂凸版が発売されるに至り、1970年には日本の新聞社にも導入されました。
今ではメインユーザーのシールラベル業界に向けて様々な特性を持った樹脂版が上市されています。

過剰な印圧を掛けて文字や線画が太るから使えないという向きもありますが、それは使う側の勝手な理屈であって樹脂版には何の罪もありません。
金属版より安価であることから、安売りの道具として使うことにも違和感を感じています。
硬さのバリエーションがあることや、インキの着肉性の良さ、細密表現などの利点をどう活かすかという使い手の力量が問われる版であり、私が自家製版に拘る理由でもあります。

10年ほど樹脂版の製版をするなかで思うのが、樹脂版は「光の版画」と言えるということ。
露光の加減によって細密な表現のニュアンスも変わってくるのです。
また、データから出力したネガフィルムだけでなく、手工的に製作したフィルムを使えば表現のバリエーションが増やせます。
光を遮断すれば良いので、物質を直接置いても構いません。
下のフィルムはPETフィルムに霧吹きで水玉をつくり、その上から缶スプレーで着色したものです。
















この手法で制作したのがこれ。
まず地色のベタを刷り、次に水玉模様の版を琵琶湖の形にくり抜いて刷り、最後に木活字と金属活字という工程です。
「LAKE BIWA」





















マーブリング、墨流し、スポッタリング(ブラシに含ませたインクをはじく)、スクラッチ(ひっかく)など、いろんな技法が応用できますね。
スポッタリングで作った版でグラデーション刷り。





















木版を刷り重ねて。





















文字を木活字で刷って完成。
「YOU&ME」





















凸版とは異なる製版テクニックが必要ですが、凹版を製版することもできます。
墨流しの技法で制作したフィルムを使って制作した凹版のプリント。
「Quo moriture ruis? 」

















ここにも不自由さの中に自由を感じています。




2017年11月7日火曜日

活版の楽しさ【インスピレーション】

以前に取材を受けた「す・またん!」(読売テレビ)と「おはよう関西」(NHK)の放送が終わりました。
2番組とも異なる視点で活版印刷の魅力を取り上げていただけて良かったと思います。

おはよう関西(NHK)11月6日(月)放送分の動画はこちら(期間限定です)

どちらも短いニュース番組でしたので、伝えきれなかった魅力について書き加えたいと思います。
「す・またん!」で取り上げていただいた樹脂版の魅力については後日お話しすることにして、「おはよう関西」で触れていただいた、「紙と版に向き合う中で多様なデザインを生み出す表現方法」について。

文章を考えながら組版をするとき、活字とコンピュータでは言葉の選び方が変わってくる・・・両方の組版を知る方からそんな声を聞くことがあります。
活字を拾って組版をするには、時間が掛かるし、制約も多くなります。
また、一旦組んだ組版を大幅に修正するのも大変な手間が掛かります。
時間も手間もかかる分、言葉選びに影響を与えているのかもしれません。
活字という物質の重みが、言葉の重みに重なって感じられるからかもしれません。

活字が印刷の主役だった時代から写植、コンピュータの時代に移り、活字はとても不便な道具になりました。
その1つに書体やサイズごとに揃えなければならないことが挙げられます。
弊社は1980年代に全ての活字と活版印刷機を処分したため、この10年であらたに集めなおす必要がありました。
自身の作品づくりにおいて使いたいサイズや書体が無いということが頻繁にあるため、手持ちの活字でいかに表現するかに苦心することになる訳です。
例えばこれは大文字のPですが・・・
















上下を逆さにして小文字のdとして使ってみたり。





















感嘆符と疑問符が一緒になったインテロバングを眺めていたら・・・
















思いついたことばを刷ってみたり。





















活字が目や口に見えてきたり。
















ハロウィンのカボチャに見えてきたり。





















干支に見えてきたり。





















いろんな書体をパズルのように組み合わせたり。





















文字と装飾活字を組み合わせてバンドのロゴをデザインしたり。
下に伸びる5本線は5人のメンバーと、リズム、ダイナミクスの意を込めて。





















私はコンピュータでのデザインは全く出来ないのですが、活字を眺めたり触ったりしているとインスピレーションが湧いてくるのです。
それは不自由さの中に自由を感じるという不思議な感覚です。


定期的に開催しているワークショップでは、樹脂版を用いたレギュラークラスの他、金属活字や木活字を組む活字クラスがあります。
来年からスタートする、いろいろ木活字クラスでは、様々のデザインの木活字からインスピレーションを受けて作品づくりをします。



珍しいオーナメントも使えます。
















組み合わせて絵柄を作るのも楽しいです。
















活字から湧いてくるインスピレーションを一緒に刷り取ってみませんか。
















活版ワークショップ大阪
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/

2017年10月30日月曜日

臨時休業のお知らせ

明日10月31日は終日出張いたしますため、臨時休業といたします。
お客さまにご不便をお掛けしますが何卒ご容赦の程お願いいたします。

2017年10月23日月曜日

活版ワークショップ大阪 参加者募集のお知らせ


次回の活版ワークショップ大阪は11月25日(土)開催です。
ただいま参加者募集中です。
詳細はこちら
















レギュラークラスでは、お客さまがデザインされたデータを樹脂版に製版するところから体験していただけます。





















既成デザインクラスでは年賀状デザインをお選びいただけます。
お申込みの際にご希望のデザイン番号をお知らせください。

































全てのクラスで、手フートはお一人一台の割り当てですので、思う存分刷りをお楽しみいただけます。
現役の印刷職人がご案内しますので、初めての方から経験者の方まで安心してご参加いただけます。
(活字クラスは休講となります)

活版ワークショップ大阪 ホームページ
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/

2017年10月21日土曜日

活版westに出展しました

10月14日(土)15日(日)に開催された活版WESTに参加してきました。
なに活は14日のみの出展でしたが、開場間もなくから終日にわたって多くのお客さまがご来場されていました。
関東や海外からのお客さまにもお越しいただいて、会場は熱気に溢れていました。
















活字鋳造が途絶えた関西の地で、今回、私はどうしても現役の鋳造所の活字を紹介したいと思っていました。
そして、築地活字の平工さんにご協力をいただいて活字セットの展示販売を行うことができました。
平工さんご自身にもご来場いただき、お客さまへのご説明もお願いすることができました。
お客さまと作品制作のプロセスをお話しする中で、活字鋳造の今を知っていただく機会ともなった事は嬉しい限りです。
















複数のメディアの取材もあり、これからさらに関西の活版シーンは盛り上がってくることでしょう。
凹みやカスレをきっかけに興味を持たれた方たちが、さらに多くの活版の魅力に触れていただくきっかけになれば嬉しい限りです。
直近では来週24日(火)読売テレビの朝の番組「す・またん!」で活版を取り上げるそうです。
予定時間は6時25分ころとお聞きしています。
なに活も撮影にご協力させていただきましたので、ぜひご覧ください。
















最後になりましたが、ご来場いただきました皆さまと、企画・運営を担っていただいた活版WEST実行委員会の皆さまに改めて御礼申し上げます。

2017年9月29日金曜日

メディアの取材を受けることにしたのです

これまでメディアの取材は一切お断りしていたのですが、あるディレクターさんとの出会いで考えを改めることにしました。
今日は二度目のミーティング。
正式に取材をお受けすることにしました。

私が活版をはじめて10年。
お仕事のご依頼やワークショップを通じてたくさんの方との出会いがありました。
ただ残念なことに、活版に飽きてしまった方もたくさん見てきました。
これまでのメディアでの取り上げられ方はステレオタイプで、凹みが、味わいが、風合いがといった調子。
確かにそれは活版の魅力の1つではあるけれど、それだけじゃ直ぐに飽きちゃうのは目に見えています。
もっと活版の楽しさがあるのに、、、そんな思いでワークショップを続けてきました。
そんな活版ギークの話しを聞きたいと会いにきてくれたのがそのディレクター氏。

若いディレクター氏は、なぜ今も活版印刷なの?と問いかけてきます。
短い時間の中でどこまで語れるか判りませんが、自分の想いを話してみたいと思います。











2017年8月7日月曜日

手漉き紙と手組みの活字組版と

名塩の手漉き紙で名刺を作りたいとのことで、ご相談をいただきました。
地産地消とでも言えましょうか、お住まいの近くで漉かれた紙を使いたいとのことで名塩和紙のご指名でした。
名塩の谷徳製紙所さんと洪哉さんは以前、ブログでも取り上げましたが、雁皮や漉き返し(再生紙)に六甲山系の土粉(泥土)を配合するのが特長です。
泥土には白、青、黄、茶の4色あり、混色してつくる白茶をあわせて5色のバリエーションがあります。
今回は青と黄でお作りすることになりました。

「名塩和紙の過去、現在、未来を見に行く」
http://kappan.did.co.jp/2013/09/blog-post.html





















お客さまは帽子を創っておられる作家さんで、海外出張も有るという事で欧文名刺を作成したいとのことでした。
活字組版をご希望で工場見学も兼ねて書体を見たいということでご来社いただきました。
活字を使って紙を凹ませる刷りはやらないので、まず最初にご説明を。
幸いにも凹みはご希望でありませんでした。
続いて伝統的な書体とユニークなディスプレー書体をご覧いただきながら、特徴や由来などをご説明させていただきました。
ちょうど校正機が空いていたので刷ってしまうのが早いということで、お客さまのイメージをお聞きしながら書体の候補を絞っていきました。





















校正刷りではギャレーマグネットという磁石で組版を固定することが多いです。
すごく強力な磁石なので、ずれることはありません。





















デザインの方向性が決まったところで、次は刷り色の打ち合わせ。
青の方はスミ、黄の方は濃茶にすることに。
紙の裏表についてお尋ねがあり、裏面のラフな素材感も捨てがたいとのこと。
そこで黄は裏面に、青は表に刷る事になりました。
校正刷りのやり取りで微修正を重ねて校了をいただき、いよいよ本刷りです。
















パルプを配合した耳付き紙は自動機で刷ることもありますが、耳付き紙は基本的に手フートで刷っていきます。
耳の形状や紙厚を確認しながら1枚づつ丁寧に刷っていますので自動機よりも時間が掛るため、印刷費もちょっぴり割高になりますがご容赦ください。
活字組版の位置合わせには欧米で一般的なゲージピンを使っています。
位置決めした後の微修正はこれが一番使いやすいです。






















カチャーン、カリカリカリ…心地よいリズムとインキの匂いに包まれて。
時折不思議そうに眺める通行人の視線を感じながらの印刷タイム。





















(お客さまのメールから)
凄く素敵な名刺になり、大変嬉しいです。
お仕事場にも行かせて頂き、何度も相談に乗って頂きまして、本当にありがとうございました。
これからも、宜しくお願いします。

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お客さまにはお喜びいただけたようで良かったです。
お話させていただく中で、どんどんアイデアが膨らんでいく過程がとても楽しかったお仕事でした。
想いをカタチにする仕事ですから、その想いを共有するというプロセスをこれからも大切にしたいです。
スピード重視の世の中ですが、これだけは譲れないトコです。

2017年8月4日金曜日

【印刷実験】エンボス編

こんにちは。
暑い日が続きますね。
ダルくてやる気が出ないという時こそ印刷実験!
限界までエンボスで盛り上げるとどうなるか?










ジャジャーン
















答えは「紙が破れる」でした。
これは極端な例ですが、少しでも破れがあるとアウトですので、圧の調整は慎重に決めないといけません。

印刷用の版に色々な種類があるのと同様、エンボス版にも材質や製法のバリエーションがあります。
下の画像ですが、上下で盛り上がりが違うのがお判りいただけると思います。
これはオス版の材質の違いによる差です。
















上が樹脂版、下が金属版で加工したものです。通常はオス版に樹脂版を使うことが多いですが、細かい絵柄や硬い紙の場合は金属版を用いることがあります。
















裏から見ると違いが良く判りますね。
どちらが優れているかというより使い分けが肝心です。
デザインや用紙の種類によって最適な版を選びますので、お見積りのご依頼にはデザイン案を添えて頂けると有難いです。

2017年7月24日月曜日

活版TOKYOに出展しました

7月14日(金)から16日(日)の3日間にわたって、本の街、東京の神田にて開催された活版TOKYOに参加してきました。
開場間もなくから終日にわたって多くのお客さまがご来場されていました。

















昨年に続いて15日(土)と16日(日)の二日間、なに活も出展させていただきました。
若い方から年配の方まで幅広い年齢層のお客さまにお越しいただいたのが印象的でした。
装飾活字の組版についてお尋ねいただいたり、LINOTYPEの母型やスラッグに関心を寄せられる方がいらっしゃるなど、活版についてお詳しいお客さまもたくさんいらっしゃいました。
昨年もそうだったのですが、普段はめったに売れない「校了」カードが売り切れてしまうのは土地柄でしょうか。

















活版の先輩がブースにお立ち寄りになられたので、以前刷った原色版(活版のカラー印刷)のカードをご覧いただいたところ、線数やら版の種類などで話題が尽きません。
出展者のMさんも原色版の話しとなると止まりませんし、原色版の話題だけでもこれだけ盛り上がることができるのも、このイベントならでは。
1年ぶりに会う出展者の方たちとの情報交換も楽しみの1つ。
紹介していただいたり、紹介したりと活版の輪が拡がります。
作品を見せていただいたり、史料に関する情報交換をしたり、懇親会でおバカな話しではしゃいだり。
凄いなと思う方々には敬意を込めて「ヘンタイ」と呼んでおりますが、たくさんのヘンタイさんが一同に会する懇親会場は熱かったです。

















今回の戦利品。
「活版印刷の話が聞きたい」は読みごたえがあって楽しかったです。
活版好きにはおすすめです。
会場でお会いした活版の先輩からは手フートをお譲りいただくことになりました。


















活版TOKYOは作品発表の場としてだけでなく、交流の場でもあり、学びの場でもあることが魅力のイベントですね。
ご来場いただきました皆さまと、企画・運営を担っていただいたスタッフの皆さまに改めて御礼申し上げます。

2017年5月24日水曜日

アメリカに新しい活字鋳造所が誕生!!!

世界で最も新しい活字鋳造所The 3 Ton Bridge Type Foundryがアメリカのニューヨーク州スカニアトレスに誕生しました





オーナーのジェシーはカレッジでブックアーツを学んで2013年に卒業したのち、スカニアトレスで活字鋳造と印刷を手掛けるBixler Press & Letterfoundryで活字鋳造を学びはじめました。 Bixler Press & Letterfoundryのマイケルとウィニーはオープンな活字鋳造所をモットーに、鋳造を学びたい人たちに門戸を開いています。 私もこれまでに2度訪問してジェシーに出会ったことをブログにも書いたので覚えている方もいらっしゃるかもしれません。 古くからの友人と錯覚するほどフランクな人柄と、友人とコラボレーションして新しいデザインの装飾活字を鋳造するなど、活字鋳造への情熱と精力的な活動から今後の活躍がとても楽しみです。





レタープレス修行の旅 2016年 http://kappan.did.co.jp/2016/12/20162.html レタープレス修行の旅 2015年 http://kappan.did.co.jp/2015/12/20153.html マイケルが「鋳造機はジェシーのものさ」というくらい鋳造技術を磨いたジェシーはついに自身の屋号で鋳造所を立ち上げることになりました。 屋号は鋳造所のすぐそばの小川に掛かる小さな橋の名に由来します。














伝統的なモノタイプ書体のほか新しいデザインの装飾活字にも取り組む鋳造所です。
日本からのオーダーも受け付けてくれますが、オーダーに自信の無い方には輸入代行も承ります。
オンラインストアは装飾活字と見出しサイズの一部のラインナップですが、これは保有母型のほんの一部。
これから拡充されるのを楽しみに待ちましょう。
The 3 Ton Bridge Type Foundry

2017年3月9日木曜日

4月度 活版ワークショップ大阪のお知らせ

【活版ワークショップ大阪】
4月22日(土)参加者の募集中です!
 ※活字クラスはお休みです
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/

新たな出会いが多くなる春に向けて、活版印刷で新しい名刺をつくりませんか。
デザインが苦手な方には既成デザインクラスがおすすめです。
データはこちらで制作致しますので、印刷内容をお知らせいただくだけでOKです。












その他の既成デザインはこちら
http://www.did.co.jp/nanikatsu/workshop/template.html

2017年2月23日木曜日

活版印刷って面倒くさいんです

あまり気のりしないのだけれど、他社の製品についてセカンドオピニオンを求められたり、刷り直しを依頼されることがあります。
そんなご相談がこのところ増えてきていて、昨日もそんなお電話がありました。
不満の内容にはそれぞれ色んな理由があるのですが、大半の原因は情報の偏りと意志疎通の不足によるものと思います。
正直、またかよって思ったので発注者の方に知っていただきたいことを整理したいと思います。

オフセット印刷との違いを理解する
まずご理解いただきたい事は、高度にシステム化・自動化が進み、用紙の銘柄も限定的な最新のオフセット印刷と、手工的な要素さえ色濃く残る活版印刷や特殊加工の発注を同じように気軽にできると考えるのは無理があるという事です。
これは活版印刷が古いアナログ的な仕事だからというだけでなく、版から紙に直接インキを転移させる直刷りという特性への理解も大切です。

直刷りには限界がある
オフセット印刷の基礎となった石版(平版)も当初は直刷りでしたが、印刷中の失敗がきっかでブランケットによる転写(オフセット)の方が綺麗に刷れる事が判明し、これがオフセット印刷の発明となったことは印刷人であれば誰もが知る歴史です(正確には再発明ですがここでは触れません)。
それほどゴムブランケットの有無による影響は大きいのです。
デザインをする上で直刷りの特性についての理解は大変重要です。
詳細は次の機会に譲りますが、特にご注意いただきたいのがアミの再現性の限界(通常は100線を基準に用紙と絵柄を考慮して決める)と、重い絵柄と文字の両立が難しいことです。
これらの直刷りの特性への対処法はありますが、用紙の種類が限られたり、コストアップになるのを許容できるほど拘るポイントかという事で、たいていの方はNOのお返事になります。
100線のアミは肉眼で視認できますので、文字のアミ掛けは基本的に避けていただくのが良いでしょう。
あえて昔の新聞の写真のようなアミの粒子感を狙うのであれば、画像編集ソフトで100線以下をお試しいただくのが良いと思います。
ほとんどの機械が単色機であることと、アミの再現性の点から、最近の活版印刷で掛け合わせで色を表現することは少なく、特色ならではの発色の良さをデザインに取り入れるのが一般的です。
コストの制約さえ除けば何版であろうと印刷可能です。
なお、活版全盛期には3色または4色によるフルカラー印刷が行われており、活版印刷でフルカラー印刷が出来ないというのは都市伝説です。
ただし、胴仕立てには特殊なノウハウが必要で、濃度管理も難しく、平滑度の高いアート紙でも150線程度となるため、今でもフルカラーで刷っている活版印刷所は日本では皆無に近いと思いますが、凸版を用いるという点で共通点のあるフレキソ印刷業界ではフルカラー印刷のノウハウを持つ印刷会社があります。

雑誌やネットだけが情報源では危ない
特殊印刷や特殊加工に興味のある方ならば、専門書やインターネットで調べものをされた事があると思います。
詳しい解説や写真、動画など、眺めるだけでも楽しいくらい豊富な情報に触れることができますが、誰でも同じ物が出来ると思うのは危険です。
1mm厚の柔らかいコットンペーパーでがっつり凹んでいる画像と同じようにしたいと言っても、0.3mm厚の薄くて硬い紙では凹み代がありませんもの。
どうしてもとなれば、出来損ないのエンボスよろしく裏面に凸が出るようにするしかないですし、文字の品質と引き換えになってしまいます。
同じ仕様でないと、同じ仕上がりにならないというのは理解しやすいと思います。
ややこしい事に、同じ仕様でも印刷機が違うと同じ仕上がりにならない場合があるのです。
また、空押し(デボス)とエンボスを混同したお問合せも多く、デザイン案を拝見してデザイン、加工方法、用紙のミスマッチに気づくケースが多いです。
何度かブログで取り上げていますが、いまだ定番の事例です。
特殊印刷・加工に不慣れな内は早めにご相談いただくのが良いと思います。

印刷機の種類と仕上がりの違い
活版印刷機には手動式、自動式、平圧式、円筒式、(輪転式)と様々な構造を持つ機種があり、それぞれ得手不得手という個性があります。
簡単に言えばオフセット印刷機よりも基本構造のバリエーションが多いという事です。
例えば名刺を刷る機械といっても様々の種類があり、それが印刷所の得手不得手ともなる訳です。
ベタを依頼するのに、手動式でローラーが2本の印刷機となれば自ずと仕上がりに限界がある訳です(あえて不完全さを狙うのであればアリです)。
では自動機が万能かと言うと、そうとも限りません。
手漉き和紙には手差しの機械でないと刷れないものもあるのです。

オペレーターの価値観
驚かれる方が多いですが、活版印刷の全盛期は用紙を凹ませるのは下手の証しという価値観でしたから、今でも用紙を凹ませることに強い違和感を感じる印刷人がいることも忘れてはいけません。
活字を使った印刷の場合は特にそうで、強圧をリクエストしても断られることが多いはずです。
凹みを付けるか否かで版の種類を考慮したり、胴張りの仕立て方からオペレーションまでを変えなくてはなりません。
柔らかい胴のまま強圧を掛けると、出来損ないのエンボスの出来上がり。
仕上がりのイメージがオペレーターと共有できていれば、おかしな物にはならないはずです。

凹みに関わるパラメータ
印刷機の構造(平圧かシリンダーか)と胴張りの仕立て方は凹み具合に影響しますが、その他に、
 ・絵柄の面積
 ・絵柄の混み具合
 ・紙の厚さ
 ・紙の硬さ
 ・版の硬さ
 ・版のエッチの深さ
 ・版の温度(熱空押し)
という要素が加わります。

カスレ・ムラについて
古い木活字を刷った時のような偶然のカスレやムラを期待される方もおられるかもしれません。
私は自分の作品以外であえてカスレやムラを出す事は基本的にやりませんので、カスレやムラはデータ上で再現していただくようお願いしております。
製版したばかりの樹脂版では着肉性もよく、あえてカスレさすのが難しい位です。
それでも絵柄の面積がベタに近かったり、硬いエンボス系の用紙の場合は出ることがあります(いつも決まった銘柄なのですが、固有名詞は避けておきます)。
圧を強くしたり、インキ量を増やしたりという対策はあるのですが、樹脂版の場合は文字が太ったり潰れ気味になることがあります。
そういう時は潰れかカスレのどちらを優先するかということになります。
どちらも譲れないとなれば、版種を変えたり、版を分けたりという選択肢も出てきます。

つまり活版って面倒くさいんです
文字ばかりでウンザリした方も多いでしょう。
そうです。活版て、すごーく面倒くさいんです。
だから商業印刷の主役でいられなくなったんです。
初めての印刷所にデータ投げるだけで思う通りのモノが出来上がってきたら、それは運が良かっただけですね。
お客さまにも喜んでいただけて、自分も良い仕事できたなって実感できる仕事の共通点は、見積もり段階からお互いにゴールを共有できていた気がします。
遠距離で直接お目に掛かった事のないお客さまでも、距離感を感じないんです。
仕上がりに不満があっても、当事者同士でそれを話し合うこともなく(または、その機会を持てずに)また他所に依頼するという方法では、いつまでたってもゴールに辿り着けない気がします。

見積りについてのお願い
今、なに活には2台の自動式プラテン機、2台の手動式シリンダープレス、5台の手動式プラテン(手フート)があります。
先に述べた通り機械によって得手不得手があり、仕事の性質によって使い分けています。
名刺1色いくら?という様に値段ありきのお問合せだと、まずはデザインの内容、用紙、版種、凹みの希望、枚数などをお尋ねしていきます。
お客さまにはお手数をお掛けしますが、ゴールを共有するための大切な過程と考えています。できる限り詳しくご要望をお聞かせいただけると有難いです。
お悩みの点や不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。

2017年2月21日火曜日

樹脂版と金属版

樹脂版と金属版の違いについてよく聞かれますので書いてみます。
樹脂版と言っても様々の種類がありますし、金属版についても亜鉛、マグネシウム、真鍮、銅と様々で一概には言えませんが、一般的には

 コスト(安価) 樹脂>金属

 硬さ 金属>樹脂 

と言えます。
樹脂版は優れた版ですが、その特性を理解しないままコストだけで選択すると後悔することになるかもしれません。
(再現性(精度)、着肉性、耐久性などその他の特長は銘柄によって変わりますので、私が使用している銘柄という前提で進めます)

さて、下の画像は私の名刺ですが、左右どちらが樹脂版、亜鉛版かお判りになられますでしょうか?















ちょっと判りにくいですね。拡大して見ましょう。

















正解は左が樹脂版で右が亜鉛版です。
印刷条件は印圧以外が同じで、樹脂版が標準印圧で亜鉛版が強印圧です。
樹脂版は着肉性が良い分、少し濃度が上がっているようです。
本当は標準印圧同士で比較しなければなりませんが、刷るのを忘れてしまいました。
用紙の凹みはさて置き、文字の品質で樹脂版が劣るという事はありません。
ちなみに、下の画像の左は以前使っていた国産の亜鉛版で、右が輸入の亜鉛版です。
印刷時期が違うため印刷条件は異なりますが、左の方が僅かにシャープです。
原稿より少し痩せているのですが、こちらを好む方もおられるかもしれません。
同一データですが、FAXのセリフにも違いがありますね。
国産の亜鉛版は製造中止になったため、以前と同じニュアンスというのが難しくなってしまいました。

















樹脂版のお話しに戻りましょう。
優れた特性を持つ樹脂版ですが、用紙が凹む位に印圧を掛けると文字や線が太ってしまいます。
左が樹脂版で、右が亜鉛版、共に強圧です。
並べて見なければ気にならないかもしれませんが、凹みを求めてさらに圧を加えるとますます太くなっていきます。

















名刺で凹みが欲しい方にまず金属版をおすすめするのはこのためです。
ただし、大きいサイズの太ゴという場合には、太りが判らないために樹脂版で問題無い場合もあります。
また、凹み具合は
 絵柄の面積、密度
 用紙の硬さ、厚さ
 裏面への影響
によって変わります。
硬い紙に大きな絵柄という場合には、絵柄が太るばかりで凹まないという事も考えられます。
これらの点を踏まえて版の選択をお考えいただければと思います。
樹脂版と金属版はどちらも優れた版ですので、その特性を理解した上で使い分けるのが最善だと思います。
版種の選択に迷われたら提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。




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